一見全く無関係に見えるが、メディアの報じ方という点で、ある共通点があることに気づいた。
まず貴乃花に関して。
発端となった日馬富士による貴ノ岩への暴行はもちろんあってはならないことであり、その件に対する貴乃花の言い分は正しい。
しかしそれにまつわる彼の一連の行動には首を傾げざるを得ない。
極端な言い方をすれば、自分の「正義」を信じて手段を選ばず突き進んだ連合赤軍やオウム真理教が重なって見えてしまう。
もちろん暴力は許されざることだし、相撲協会の体質にも大いに問題があるが、逆にこじらせてしまっているように見える。
現役時代は立派な横綱だったし、引退後も改革者として期待していただけに、どうしてこうなってしまったのか、とても残念だ。
しかしこの一連の騒動のメディアの報じ方は、当初一貫して「正義の味方貴乃花が悪の組織相撲協会と闘う!」という図式だった。
ようやく最近になって、全く黙殺されていた相撲協会の言い分や、貴乃花本人の人間性などが少しずつ報道されるようになってきて、当初の一方的な「貴乃花正義の味方論」に変化が見られるようになり、さすがに疑問に感じる人も増えてきたように思えるが、まだ当初の報道通りの図式で彼の行動を盲信する人も多いだろう。
さて一方のモリカケ問題。
まず森友学園問題は、関西特有の土地にまつわる闇と、稀代の詐欺師的人物の恫喝に屈し、勝手に「忖度」した財務省のミスと、そのミスの隠蔽工作。
もちろんそんな人物の口車に乗り。安易に名誉校長を引き受けて利用されてしまった首相夫人の軽率さは批判の謗りを免れないが。
そして加計学園問題は、長年に渡る獣医師会の利権と文科省との癒着という構造を、愛媛県が国家戦略特区を利用して突破しようとしたことが事の本質としてあり、首相のお友達優遇などという単純な問題ではない。
どちらの問題もここまで明らかになっているのにも関わらず、一部メディアと野党は完全に倒閣運動に目的化してしまっているが故に、相も変わらず首相の疑惑としての図式のみでしか物を言わず他の問題に目をつぶるから、これだけ時間が経ってもダラダラと不毛な堂々巡りで全く埒があかない。
多くの国民はどれだけほじっても結局何も出てこないモリカケなどにはとっくに興味がなく、政策を論じる場である国会でいつまでも不毛な足の引っ張りを続ける野党に嫌気が差していて、その結果は下る一方の野党の支持率に如実に現れている。
もちろん自民党もそこには気づいており、あえて野党に国会でモリカケをやらせているようなフシさえ見える。
しかしそのどちらにも共通するのは、最初に「正義の味方貴乃花 vs 悪の組織相撲協会」と「首相の疑惑」という大衆の飛びつきやすい図式を作ってしまったが故に、いかに他の事実が出てこようともそこに硬直化してしまい修正することの出来ない一部メディアの姿であった。
メディアはとかく、善と悪という対立構造の図式を作り出し煽り立てるが、物事はそんなに単純な図式で割り切れるものではない。
どちらか一方に肩入れするのではなく、冷静で公平な報道が求められる。
それは我々受ける側にも言えることで、扇情的な報道にけしかけられて安易に物事を判断するのは慎まなければならない。冷静な情勢判断が求められる。