チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

紀平梨花時代到来

さてさて紀平梨花ちゃんGPファイナル制覇の衝撃からいまだ醒めやらず。
去年のジュニア時代からトリプルアクセルは飛んでいたし、いずれはフィギュア界を背負って立つ存在になるとは思っていたが、まさかシニア1年目からロシア勢を打ち破って世界の頂点に立ってしまうとは正直思わなかった。
トリプルアクセルももちろん凄いが、彼女の場合決してそれだけではなく、驚いたのは通常1年目は低く抑えられがちな演技構成点があのザギトワにほぼ負けていなかったこと。

ザギトワも決して本調子という感じではなかったが、演技構成点でここまで迫られてしまうと、全盛期の短いロシアっ娘ということもあり、来季以降はどうなるかわからない。

五輪金メダリストソトニコワを始めとしてラジオノワもポゴリラヤも今季はGPシリーズの出場はなく、どこへ行ってしまったのか…。(一番好きだったリプニツカヤは引退してしまった)
そんな中で我らがトゥクタミシェワたんの復活は嬉しい。

心配なのはメドベージェワ。ロシアのエテリコーチから離れカナダのオーサーコーチの元に拠点を移したことでまだまだ変化の途上とは言え、今季の演技は一体どうしたことか。昨季までのオーラがすっかりなくなってしまった。

しばらくはこの紀平梨花ちゃんの快挙の余韻に浸っていたいが、彼女とて決してうかうかしてはいられない。
来季以降は恐るべき4回転のトゥルソワ、シェルバコワをはじめ驚異のロシアっ娘ジュニアたちが続々と上がってくる。
紀平さんも4回転はもう既に練習では飛べているので来季以降は当然組み込んで勝負することになるだろう。
これからもますます女子フィギュアから目が離せない。

 

今更ながらの後追いで聴くユーミンアルバムレビューーその7ー(1993-1997)

80年代後半から90年代にかけてのバブル絶頂期のバカ売れ時期を過ぎ、社会的にはバブルは弾けるも更なるセールスを求められる中、新たな音楽を探求し続ける試行錯誤の時期に入った感がある。

さて、そんな状況で90年代のユーミンは一体どんな作品を作っていったのだろうか。
非常に興味深い。

 

25. U-miz('93)松任谷由実

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2作前の『DAWN PURPLE』あたりから作風に現れ始めたワールドミュージックエスニック風味が、ここでついに大ヒット曲『真夏の夜の夢』として一気に結実する。

当時はよくわからなかったが、こうして時系列で聴いていくと、この曲の衝撃度がよくわかる。
曲調といい歌い方といい、これまでのユーミンからはちょっと想像つかない大転換だったのだな。
おそらく以前からのファンは当時この変化にかなり驚いたのではないだろうか。
それでも大ヒットさせてしまうという所がまさにユーミンユーミンたる凄い所。

この『真夏の夜の夢』のインパクトと完成度があまりにも強烈なこともあってか、このアルバムは他の曲の印象がすっかり霞んでしまっている。

色々と新たな試みをしようとしているのはわかるのだが、やや迷走気味で、成功したのは『真夏の夜の夢』だけだった、という感じ。

★5

 

【この1曲】

真夏の夜の夢

というわけで一曲を選ぶとしたらもちろんこの曲。 

言わずと知れたユーミン最大のヒット曲だし、この曲が主題歌だったドラマも観ていたので自分もよく知っている曲だが、正直当時はアクが強すぎてあまり好きではなかった。
しかし今聴くとキャッチーで本当によく出来たいい曲だとわかる。
おそらく自分もここまでの全アルバムを聴いてきて「ユーミンの曲の楽しみ方」をしっかりと掴んだということもあるだろう。
アレンジに関しても、当時松任谷正隆氏が多用していてやや食傷気味だったオーケストラヒットが、この曲にはバッチリハマっている。
「冬彦さ〜ん!」あ、これは「マリオさ〜ん!」の方か。

 

 

26. THE DANCING SUN('94)松任谷由実

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しばらく迷走が続いていた中、ついに『真夏の夜の夢』の大ヒットで自信を取り戻したユーミンが満を持して世に送り出したのが、大ヒット曲『Hello,my friend』。
やや変化球気味だった前作『真夏の夜の夢』に対して、こちらは原点に立ち返ったかのような下降ベースの堂々たるポップスの王道で、漲る自信をひしひしと感じる。

しかしこれだけにはとどまらず、更に続けざまに送り出したのが、ユーミンの生涯を通じての代表作と言っていい『春よ、来い』というのだからこの時期の充実ぶりは凄まじい。

そんな大ヒット曲2曲が収録されているというだけで充分に名盤と呼べるのだが、それ以外の曲もこの時期の好調さを反映してかなりのクオリティを誇る。

中でも忘れてはならない重要曲が『砂の惑星』だろう。
近作見られていたワールドミュージックエスニック趣味が、『真夏の夜の夢』を経て更にここに深化している。
このアルバム全体を聴いて気付くのは、ユーミンの声や歌い方がこれまでとは変わりつつあるということ。
まあ若い頃からおばあちゃんのような不思議な声ではあったが、そんな中に時折見せる可憐な表情にキュンとさせられていたのが、このあたりになるとその可憐さが影を潜める。
特にこの曲などでは、ユーミン特有のちりめんビブラートをあえて強調し、更にホーミー的発声をまじえることで、さながら呪術師の老婆のような得も言われぬ妖しさを際立たせている。
この変化は、おそらく加齢的な声の変化が大きかったのだろうが、それを逆手に取って新たな表現の世界を手に入れるという、転んでもただでは起きない強かさが実に素晴らしい。
当時の自分はこの声がどうも受け付けなかったのだが、ユーミンの歌の楽しみ方を知った今では何とも言えず味わい深いものだ。

 久しぶりに90年代のユーミンに堂々たる名盤が誕生した。

★8

 

【この1曲】

『春よ、来い』

『Hello,my friend』も名曲だが、やはりここは『春よ、来い』にとどめを刺すだろう。。

近作のワールドエスニック趣味で無国籍調の曲が多くなってきたが、それが最終的にたどり着いて結実したのが、自らの生まれ育った「和」だったということか。
その純日本的「和」を表現するのに、安易に琴や尺八などの和楽器を使わずやり切るところに、松任谷正隆氏の心意気を感じる。

耳に残る印象的なピアノのイントロからラストの童謡『春よ来い』のコーラスに至るまで、どこを切っても完璧な紛うことなき名曲中の名曲。

 

 

 27. KATHMANDU('95)松任谷由実

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前作は久しぶりに入魂の傑作だったが、ここではやや力が抜けて趣味に走った感じで、例によってワールドミュージックエスニック風味があらゆる場面で全開。

特に『真夏の夜の夢』〜『砂の惑星』と繋いできた路線を受け継ぐのが『輪舞曲(ロンド)』。
これもまたコッテリしたむせ返るようなエスニックの香りがする曲。

そんな中にあって『Baby Pink』『Delphine』『Midnight Scarecrow』『Walk on,Walk on by』などはかつてのユーミンを彷彿とさせるような作風をアシッドジャズなど新しいアレンジで彩った楽曲で、古くからのファンは一安心したのではないだろうか。

とはいえ前作に入魂しすぎて力尽きたか、今作は全体的にかなり地味で印象に残らない曲が多い。(追記・この印象はしばらく聴いたのちに一変する。聴けば聴くほど良くなるスルメのようなアルバム)

声の変化は前作から更に進行していてやや心配なレベル。

★9

 

【この1曲】

『Walk on,Walk on by』

中々一曲を選ぶのも難しい楽曲群だが、敢えて選ぶならばこれか。
バカラック風味満載のアレンジで、メロディはかつてのユーミン節満開で安心する。
彼女はきっとこういう曲ならいとも簡単に、鼻くそほじりながらでも出来てしまうんだろうな。




28. Cowgirl Dreamin'('97)松任谷由実

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ジャケットを見て、「げっ、またバブリー路線に戻ったか!?」と不安になり、冒頭2曲は今までのユーミンには見られなかったハードなギターロックが続き、あげくの果てにはファイナル・カウントダウンのようなこっ恥ずかしいシンセブラスのイントロなんかも出てきちゃったりして「どうしたユーミン!?」と思ってしまった。

しかし全体を見れば『最後の嘘』という名曲を筆頭に、まずまずの佳曲が並ぶが、ラストの『まちぶせ』のセルフカヴァーは、残念ながら三木聖子や石川ひとみバージョンに遠く及ばない。どうして入れたのかな?

前作で心配された声だが、今作ではやや持ち直してしっかり出ている。

★6

 

【この1曲】

『最後の嘘』

堂々たる安心安定のユーミン節全開の名曲。
有無を言わせず圧倒的な感動を呼ぶ。

 

 

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今更ながらの後追いで聴くユーミンアルバムレビューーその6ー(1989-1992)

時代はついにバブルに突入し、ユーミンのアルバムもシンクラヴィアを導入したド派手なデジタルサウンドや歌詞の内容などにその影響が色濃く現れるようになってきた。

 80年代前半はクオリティの高いアルバムを連発していたが、前作でその勢いが突然失速したことで一抹の不安を抱えながらも、そんなことにはお構いなくアルバム売り上げはうなぎのぼりに異次元のレベルで上昇して、いよいよバブル絶頂期へ。

 

21. LOVE WARS('89)松任谷由実

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バブル絶頂の年にリリースされたこのアルバムは、ジャケットもサウンドもまさに絵に描いたようなバブリー!

相変わらずドッシャンバッシャンキラキラとド派手で本当にやかましいバブリーサウンドで、楽曲はアレレ?だった前作と比べたらやや持ち直しているが、曲によって大きな出来のムラを感じる。

いい曲もあるのだが、全体を通して歌詞もサウンドも聴いていてまるで何かに急き立てられているかのようで、聴き終わるとぐったり疲れる。

まさに色々な意味でバブルという時代を象徴するアルバムと言えるのかもしれない。

ユーミン独特の、本人の多重録音による動きのない機械的でグシャッと密集したクローズドなハーモニーのコーラスはこの辺から始まるのかな?
これは気持ちよくて好き。

★6

 

【この1曲】

『Valentine's RADIO』

このアルバムの代表曲といえば『ANNIVERSARY』なんだと思うが、個人的にあまり好きではないので、めっちゃお洒落な『Uptownは灯ともし頃』と悩みつつもアルバムトップを飾るこちら。

ユーミンお得意のアルバム1曲目冒頭のワクワクするようなお洒落で軽やかなソプラノサックスのイントロから、巧みに転調をからめることで、A〜Fくらいまで構成がたくさんあるように感じる曲。

ほとんどのフレーズが「・タラララ〜・タラララ〜」という全く同じリズムで構成されているのにそう感じさせないという非常によく考えられた曲。

 

 

22. 天国のドア('90)松任谷由実

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一曲目はまるでプリンスかと思った。
まあまさしくそんな時代だね。

とにかくバカ売れしたようで、史上初めて200万枚を突破したお化けアルバムとして記録されているようだが、正直言ってユーミンのこの数年前、80年代前半の一連のアルバムと比較すると出来は格段に落ちる。
時代の勢いというのは恐ろしいものだ。

自分がこれまでユーミンにあまりいい印象を持っていなかったのは、もしかするとこの時期にラジオなどでさんざん流れていたのを嫌でも耳にしていたから、というのもあるのかもしれない。

★6

 

【この1曲】

『時はかげろう』

カルロス・トシキ&オメガトライブに提供した曲のセルフカヴァー。
オメガトライブバージョンも好きだったが、ユーミンバージョンもなかなか。

オメガトライブバージョンとキーが半音しか違わず、おまけに後半転調しているので、オメガトライブバージョンを聴いた直後にユーミンバージョンを聴くと同じキーに聴こえる。
超美メロ曲。
 

 

 23. DAWN PURPLE('91)松任谷由実

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4作続いたドッシャンバッシャンキラキラのいわゆるバブリーサウンドが、ここでようやく落ち着きを取り戻してくれた。
バブルの狂騒がようやくここに終焉したか。

そして久しぶりに冒頭から畳み掛けるように4曲も良曲が続く。
これは今後に向けていい兆しと願いたい。

しかしその後は相変わらず曲ごとの出来のムラが大きい。
間に合わせで作ってしまった(実際はそんなことないんだろうけど)ような、首を傾げたくなるような曲も入っている。

 ハウスやワールドミュージックの影響が見て取れる。

★7

 

【この1曲】

『情熱に届かない〜Don't Let Me Go』

サビのメロディは今までのユーミンにはあまりなかったタイプで、とても力強くてグッとくる、ユーミンの新境地。
ティアーズ・フォー・フィアーズへのオマージュがあからさますぎるが(^_^;)久しぶりに「ユーミンの名曲!」と呼べる曲かも。
 

 

24. TEARS AND REASONS('92)松任谷由実

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落ち着きを取り戻したかに見えた前作とは打って変わって、冒頭2曲がまた派手派手に戻ってしまって一瞬どうかと思ったが、その後はユーミンらしいミディアムな佳曲が多い。

バブルの時期を乗り越えてかつてのようなお洒落で落ち着いた作風が戻ってきたのは嬉しい。

『So High』では『青春のリグレット』で見せてくれたようなクロマチックな和音上昇が再び現れてニヤリとさせてくれる。

ただここ近作で、これまで一心同体で寄り添ってきたユーミンの曲と松任谷正隆氏のアレンジの齟齬を感じるようになってしまった。
「え、この曲でそのアレンジ?」というちぐはぐさが随所で浮き彫りになっている気がする。
たとえば『ミラクル』などは、曲自体もとてもいい曲だし、ベーシックなアレンジもお洒落で心地いいのに、無粋なオーケストラヒットがぶち壊している。
しかも92年といえば自分の記憶ではオーケストラヒットはもう既にかなり古臭いものになっていたはずなのだが…。

ユーミンのアルバムはそれぞれその時代の流行りものを取り入れているのが特徴だけど、このアルバムにもマイケル・ジャクソンかよ!?というアレンジも。

そしてハウスミュージックへの傾倒は更に深まっている。

★7

 

【この1曲】

『瞳はどしゃ降り』

このアルバムで一番の有名曲はトップの『無限の中の一度』かな。
ただ楽曲自体はサビがキャッチーでとても素晴らしい曲なんだけど、ハウスっぽいアレンジが地に足がついていないような感じがしてあまり好きではないので、このアルバムで数曲見られるかつての曲調に回帰した中のこの一曲。

歌い出しがいきなりⅡm7/Ⅴから始まるのも驚きだが、そのまま解決しないでどんどん展開していく所がいかにもユーミンらしい。

フリューゲルホルンとスライドギターがうっとりするほど気持ちいい。

 

 

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今更ながらの後追いで聴くユーミンアルバムレビューーその5ー(1985-1988)

ユーミンのアルバムを時代順に1枚ずつじっくり聴くことを始めて、少しずつ時代を追って追体験していくうちに、いつしか「次のアルバムはどんなだろう?」と、ワクワクしてきている自分に気づいた。
同時に当時の時代の空気なんかも併せて思い出すことで、その昔夢中で音楽を聴いていた頃のあの感覚が蘇ってきて、これは思わぬ効果でとても嬉しい。

そして、聴き込めば聴き込むほどユーミンが好きになり、今や完全にユーミンの魅力にハマり込んでしまっている自分がいる。

どうやらユーミンの曲は聴けば聴くほどスルメのように味わいが出てくるようで、以前酷評してしまったアルバムの曲を聴き返すと、「あれ?こんなにいい曲だったのか!」というケースもよくあり、最初の頃はファーストインプレッションのつもりで書いていたのがこれではいかんと思うようになり、今は最低5回は聴き込んでから書くようにしている。

それにしても後追いではあるものの、ユーミンの音楽に出会うことが出来て本当によかった。こんな機会を与えてくれたサブスクリプション音楽配信サービスには感謝するしかない。本当に便利な時代になった。

リアルタイムでユーミン聴いてたら、もしかしたら自分ももっといい曲たくさん書けていたのかな〜…なんて思ったりもして(^o^;)

 

17. DA・DI・DA('85)松任谷由実

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前作『NO SIDE』が、めくるめく名曲のオンパレードの超名盤だったことで、それに続く今作もドキドキしながら聴いた。

1曲目はこの時代らしくスクラッチの音から始まる『もう愛は始まらない』だが、イントロでいきなりハードなギターが出てきて、「これはもしや俺の苦手なロック寄りのユーミンか?」と一瞬思ったが、いやいやとんでもない!これも前作同様名曲揃いの名盤だった。

どの曲も楽曲のレベルが高いし、それぞれ趣向を凝らしたアレンジが施されており、とにかくお洒落で手抜きなし!
その丁寧な仕事ぶりは今聴いても古さを感じない。

名曲『シンデレラ・エクスプレス』はその美しさにうっとりトキメイてしまうし、『青春のリグレット』のクロマチックに上昇していくハーモニーは何度聴いても衝撃的だし、『たとえあなたが去っていっても』のコーラスは最初聴いた時は大袈裟だな〜と思ったが、何度目かで突然その力強さに感動してしまう。
どの曲も本当にクオリティが高い!

サウンド面で一聴してすぐに気がつく変化は、何と言ってもデジタルシンセサイザーYAMAHA DX7の導入だろう。
これまでのユーミンサウンドの最大の特徴は、ほぼ全ての曲で聴かれる松任谷正隆氏奏でるフェンダーローズの音色だった。
それがこのアルバムではついに一部の曲で当時世界中で一世を風靡していたDX7のエレピの音色に置き換わった。

どちらかというとくぐもった温かい音色のフェンダーローズと比較して、DX7のエレピは硬質できらびやかで透明感があるので、一聴して明らかにそれまでとアルバム全体の雰囲気が変化したのがわかる。
早速その特徴をふんだんに活かした『シンデレラ・エクスプレス』という名曲が誕生した。

当時あまりに世界中で多用されまくったことで、当時の時代性を強烈に感じてしまう音色ではあるが、楽器一つでこれだけ音楽の雰囲気を一変させてしまうほどのインパクトある音色はやはりエポックメイキングな楽器だったと言える。
ちなみに自分ももちろん大好きで、初代DX7DX7Ⅱの2台所有していた(^_^;)

DX7の他にも、ドラムにゲートリバーブが掛かったりなど、いわゆる80年代後半サウンドに着々と近づいているが、いわゆるドッシャンガッコンといったこれみよがしな感じではなく極めて抑制的な使われ方にとどまり、 安心して聴くことができる。

★10

 

【この1曲】

メトロポリスの片隅で』

アタマから最後までいい曲ばかりのこのアルバムの中でも有名曲は『シンデレラ・エクスプレス』『青春のリグレット』などもあるが、極めつけはこの曲!

メロディ、アレンジ、サウンド全てが不思議なほどどこを切っても完璧で、ユーミンはここにポップミュージックの真髄を極めたのではないか。

特にサビをもう一度繰り返してもいいところをそうせずに「♪私は夢見るSINGLE GIRL〜」と展開する所が溢れ出る才能を抑えきれない感じがして震撼する。

しかもそれだけにはとどまらず更に畳み掛けるようにシンセでそのメロディを追いかける所に至ってはもうどうにでもして〜とメロメロになってしまう。

 

 

18. ALARM a la mode('86)松任谷由実

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このアルバムはシングルになったような有名曲がないので一見地味に感じるが、何度も聴いてみたくなるような味わい深い佳曲ばかり。

『白い服、白い靴』や『20 minutes』のような、どこかコミカルなストーリー仕立ての曲が多く、普段は意識して何度も聴かないと歌詞を聴き取れない自分にも一回ですんなり歌詞の世界が入って来るのは見事。

ユーミンの歌も『ジェラシーと云う名の悪夢』で顕著なように、珍しく(笑)上手く歌おうとしているようでよく声も出ているし、その分歌詞も伝わってくる。

『白い服、白い靴』はかつての『曇り空』を彷彿とさせる歌詞だが、あの頃のような重苦しさはなく、やはりどこかコミカルでフワフワした描写が心地いい。
それにしても女心はわからんね・笑

『Autumn Park』はUTYのスポットニュースで使用されており、山梨県民なら誰もが聴いたことのあるイントロ。
ユーミンの曲だったのか〜!
とてもいい曲。

『3-Dのクリスマスカード』のサビはアレンジ込みで何故か無性にグッとくる。
一体何なんだろう?

サウンド面に関しては、前作で目立ったDX7の音が影を潜め、再びフェンダーローズに戻ったようだ。マンタさんのお気に召さなかったのかな?

ドラムの音が少しずつ派手になりつつあるものの、全体的にはまだまだ落ち着いたサウンドでとても聴きやすい。

聴けば聴くほどスルメのように味が出てくる、地味だけど大好きなアルバム。

★10 

 

【この1曲】

『20 minutes』

特にこの曲は歌詞が非常に面白く、アレンジもそれに合わせてどこかすっとぼけた味わいで、何度も聴きたくなる摩訶不思議さ。
その秘密を探りたくなる。
「いやだ久しぶりね」の歌い方が最高!

途中でおもむろに脈絡なくオーケストラヒットが出てくるのは、ま〜この時代らしい。

 

 

 19. ダイアモンドダストが消えぬまに('87)松任谷由実

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前作では落ち着きを見せていたサウンドだったが、ここに来て一気に80年代後半のいわゆるド派手なバブリーサウンドに突入!
そのデジタルな肌触りはこれまでとは明らかに一線を画す。
このタイミングだったか〜。

調べてみると今作からシンクラヴィアを導入したとのこと。

シンクラヴィアか〜…、当時雑誌などで「1億円近くする世界一高価な楽器」として存在は知っていたが、「日本で所有しているのは加山雄三だけ」などというまことしやかな噂が囁かれるほどで、当然のごとくそんな庶民にはとても手の届かないような楽器は楽器屋さんにも置いているはずはなく、一体どんな音がするのかはいくら想像を膨らませてもサッパリわからなかった。

どうやらサンプラーでもありFMシンセでもありワークステーションでもあり、当時出来ないことはないとまで言われるほど万能で画期的な楽器だったようだ。

だから何でも出来る分、DX7のようなその楽器特有のコレといった個性的な音があるわけでもなく、音色としてはとらえどころのない正体不明な楽器だったことは仕方のないところか。

まあとにかくこのアルバムのデジタルな質感はそのシンクラヴィアによるもののようで、ドラムの音はドッカンバッシャンとにかく派手でうるさくなり、打ち込み主体のデジタルで硬質なサウンドになった。

しかしそれにより相対的に歌のレベルが小さくなってしまった。
今回の歌詞の世界は以前にも増して更に研ぎ澄まされた感があり非常に面白いのに、歌が小さくなったことでせっかくの歌詞が聴き取りづらくなってしまったのは残念。

とはいえ楽曲のレベルは相変わらず非常に高く、今回も良曲揃い。

全体的に派手な音作りではあるが、ラストの『霧雨で見えない』は今までのようなアナログで暖かいサウンドで安心させてくれる。

★9

 

【この1曲】

『ダイアモンドダストが消えぬまに』

キャッチーなメロの『思い出に間にあいたくて』と迷ったが、ここはやはり表題曲で。

聴いていて気分がワクワク高揚してくるポップでお洒落で本当に素敵な曲。
それなのにこの曲がシングルじゃなかったというのが驚き。
といっても歌詞は意外と寂しかったりするのね。

イントロでは「あ〜ジョー・ジャクソンが好きだったのね〜」というのが伝わり過ぎるくらい伝わってきて微笑ましい(^_^;)

 

 

20. Delight Slight Light KISS('88)松任谷由実

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さて、前作では一気にバブリーサウンド全開に変貌したわけだが、今作のサウンドは前作から更にドッカンキラキラと派手さを増し、ドラムがとにかく硬くて耳に痛くてうるさい。
前作はそれでも相変わらず高クオリティの楽曲が揃っていたのだが、今作は…、あれれ?ユーミンどうしちゃった???と言いたくなってしまうくらい楽曲が低調な感じ。

まるでこれまで曲にかかっていた魔法が一気に解けてしまったかのよう。

ここまでずっと連続して何作も生涯愛聴したいほどの愛聴盤を連発してくれていたのが、ここに来てさすがのユーミンにも疲れが見えてきたか。
売上は凄かったようだが、この先どうなってしまうのか一抹の不安が募る。

★5

 

【この1曲】

『リフレインが叫んでる』

そんな中でも唯一この曲だけは別格。

冒頭の「♪どうしてどうして僕たちは出会ってしまったのだろう」というフレーズは、これをキャッチーと言わずして何をキャッチーと言うのかと思うほど超強力で、ユーミンの楽曲の中でも一二を争うくらいのキャッチーなメロディと歌詞の融合ではないだろうか。

 

 

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今更ながらの後追いで聴くユーミンアルバムレビューーその4ー(1982-1984)

前作、名盤『昨晩お会いしましょう』からいよいよユーミンの80年代快進撃が始まった。

13. PEARL PIERCE('82)松任谷由実

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前作『昨晩お会いしましょう』に引き続き、落ち着いたAORサウンドに更にブラック・コンテンポラリー要素が加わった感じで、聴いていてとても心地よい。

 これも前作同様、1曲目の『ようこそ輝く時間へ』のイントロが始まった瞬間の名盤の予感ひしひしのワクワク感がハンパない。
そしてその後の展開もその期待を裏切らない、お洒落で落ち着いた良曲が満載。

ユーミンの楽曲と松任谷正隆氏はじめ制作陣が冴え渡っている。
この時期の絶好調が伝わってくる。

★10

 

【この1曲】

『DANG DANG』

このアルバムで有名曲と言えば『真珠のピアス』と並んでこの曲かな。

かなり渋めのメロディの曲が多い中で、この曲は特にキャッチーで耳に残る。

 

 

14. REINCARNATION('83)松任谷由実

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『昨晩お会いしましょう』『PEARL PIERCE』と2枚連続で傑作が続いて、次もと期待したが、おっと何だこれは???

 これまではアルバム冒頭の1曲目で「おっ!」とワクワクさせてくれたが、これはその感覚は全くなく、それどころかアタマから2曲続けてダサダサで正直ガッカリ。

とはいえもちろんこの時代の作品を現代の感覚で振り返っているわけで、当時の「時代性」を加味しなくてはいけないことは充分承知しているつもりだが、それにしたってこれはちょっと…。

そもそもREINCARNATIONというタイトルからして仰々しいし、アルバム全体を通して、「姫、ご乱心!?」と言いたくなるような、どこか浮足立って地に足がついてない印象。

2作続けて落ち着いた良作を作ったことでイメージチェンジを図ろうと冒険したのかもしれない。

ユーミンの場合は、ロックに寄せてくると途端にダサくなるのかな〜。

★7

 

【この1曲】

『NIGHT WALKER』

そんなわけでこの中から1曲を選ぶのも難儀だが、強いて選ぶとすればこの曲か。

浮足立った雰囲気の中で唯一前2作のような落ち着いた音作りで、地に足がついている感じ。

 

 

 15. VOYAGER('83)松任谷由実

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前作では驚かされたが、ここでは落ち着きを取り戻してくれたようでホッと一安心。

楽曲は、当時アイドルへの楽曲提供が盛んだったことを反映してか、 メロディアスでポップな佳曲が並ぶ。

個人的にはこのアルバムでユーミンがヒット曲のメソッドを完全に掴んだような気がする。

★9

 

【この1曲】

『不思議な体験』

このアルバムの有名曲と言えば『ダンデライオン〜遅咲きのたんぽぽ』と『時をかける少女』だと思うが、そのどちらもいいが自分が一番好きなのはこの曲。

とにかくサビのメロディとハーモニーには神が舞い降りている。

 

 

16. NO SIDE('84)松任谷由実

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このアルバムはとにかく2曲目からの
ノーサイド
『DOWNTOWN BOY』
『BLIZZARD』
という怒涛の名曲3連発が強力すぎる!

この3曲だけでもう完全にノックアウトレベルなのだが、更にB面の
『破れた恋の繕し方教えます』
『午前4時の電話』
『木枯らしのダイアリー』
の地味ながら隠れた強力3連発畳み掛けも凄い。

『破れた恋の繕し方教えます』なんかはイントロで「えっ、CCBか!?」と一瞬あ然としてしまうだが、歌が入れば大丈夫(笑)。
サビなんかホントにキャッチーで最高のメロディ。
ルイス・ジョンソンのベースは正直うるさい(^o^;)

それにしてもよくぞこんなにいい曲を集めたものだ。
ノリにノッてるユーミンの文句無しの傑作アルバム。

しかし自分は『SHANGRILAをめざせ』だけはダメ(;´Д`)
あまりにもギャップが激しすぎるが、こういう振れ幅の大きさもユーミンの特徴の一つなのだろう。

★10

 

【この1曲】

『BLIZZARD』

本当に名曲揃いのこのアルバムだが、自分にとってはやはり、ある時この曲と同じ状況の吹雪の中スキー場に向かう車の中で偶然聴いて感動し、それまで聴かず嫌いだったユーミンを改めて聴いてみようと思わせてくれたこの曲に感謝したい。

本当にアレンジも含めてよく出来た素晴らしい名曲で、特にサビの「♪包め〜世界を〜」で、ⅥマイナーからⅥメジャーに変わる瞬間の、歌の伸ばしにエレピの上昇フレーズが追い越していく所がギリギリ際どくてスリリングでドキドキして何度聴いてもたまらない(*°∀°)=3

 

 

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高橋ユキヒロ『Saravah Saravah!』

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1978年発売の高橋ユキヒロ『Saravah!』。

数年あと追いだったが、子供の頃の自分にとって多大な影響を及ぼし、まさに擦り切れるほど聴き倒した「超」をいくつ付けても足りないほどの超名盤。

そんな名盤がこの度、40年の年月を経てヴォーカル新録音でリミックス(!)・リマスター盤として現代に蘇った。

早速聴いてみると、薄皮が何枚も剥がれ、全ての楽器がまるで目の前で演奏しているかのようにクリアになったことで奥行きと立体感が幾倍にも増し、坂本龍一の弦とブラスをふんだんに使った洒脱でゴージャスなアレンジが一層引き立つ素晴らしい出来上がり。

奇跡的に当時のマスターテープが現存しており、リミックス&リマスターが成されたことで、例えば『C'EST SI BON』の冒頭ヴァース直後のスネアのフィルのキレの良さだったり、才気ほとばしる若き坂本教授のハードコア・フュージョン『ELASTIC DUMMY』でのブラスの生々しさで改めてこんなにカッコいい曲だったのか!と気付かされたり、『LA ROSA』のとろけるようなハモンドの音は何度聴いてもいい。

高橋ユキヒロも坂本龍一も当時26歳。この若さでこんな音楽を作れた才能と実力は尊敬するしかない。
26歳にしてエリントンナンバーの『ムード・インディゴ』をカヴァーするなんていくらなんでも渋すぎる。

ふと気づいたのだが、このアルバムがリリースされた1978年というのは、自分にとって好きなアルバムがとても多い。

たとえばYMOにしてみたら結成直前、ユキヒロさんのこのアルバムをはじめ、坂本龍一千のナイフ』、細野晴臣『はらいそ』と、3人とも素晴らしいソロアルバムを作っている。

他に考えてみると、この界隈だけでも大貫妙子『MIGNONNE』だったり、ムーンライダーズだと『NOUVELLES VAGUES』だったりとか、ユーミンの『悲しいほどお天気』とオフコースの『Three and Two』は…どちらも79年か、まあとにかくこの時代は好きなアルバムばかり。

フェンダーローズとウォームなギター、きっと自分はこの年の音が特に好きなんだろうと思う。

翌年の79年になると、ニューウェーヴの嵐が押し寄せ、尖った音ばかりになる直前、成熟しきった最後の幸せで優しい音の中にも、その後の時代を担う若き才能が現れ、ニューウェーヴ前夜の高揚が密かに伝わってくる感じ。

細野さんが『はらいそ』のラストで、曲が終わった後わざわざ走って戻ってきて「この次はモアベターよ!」とエコー付きで叫びたくなった興奮がよく分かる、そんな高揚した時代。

そんな年にまるで何かに引き寄せられるように出会った3人の若き才能が、YMOとして次代の音楽を引っ張っていったのは必然だったのだろう。

今更ながらの後追いで聴くユーミンアルバムレビューーその3ー(1980-1981)

いよいよここからユーミン黄金の80年代に突入する。

70年代最後の前作『悲しいほどお天気』が名盤だっただけに期待したい。

 

9. 時のないホテル('80)松任谷由実

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というわけで黄金の80年代の記念すべき1作目。

名盤『悲しいほどお天気』に続くアルバムで、こちらも巷では名盤との誉れ高いようなので楽しみにしていたのだが…、 んーやや期待はずれ。

このアルバムの最大の特徴は歌詞だろう。
これまでどこか私小説風とも受け取ることが出来るものが多かったが、ここでは完全フィクションのストーリーテラーに徹していて、それぞれが一篇の短編小説のよう。

とはいえこの当時は新しい試みで新鮮だったのかもしれないが、歌詞の内容が必要以上に重くて暗くリアリティに欠け、楽曲とアレンジももう一つ冴えない印象。

新境地を切り開こうという意欲を感じ、とても丁寧に作られていることはわかるが、残念ながら自分には合わなかった。

★8

 

【この1曲】

『水の影』

なので1曲選ぶのも中々難儀だが、そんな中でラストを飾るこの曲はかつての荒井由実時代の安定のユーミン王道の曲調で安心して聴かせてくれる。

 

 

10. SURF & SNOW('80)松任谷由実

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そんな前作の反動なのか、一転して明るく脳天気な、どポップアルバム。

しかしこの脳天気な世界は今聴くと無性に気恥ずかしく、いたたまれなくなる部分もある。

重苦しいものから脳天気なものへ、あまりにも振り幅が大きくて戸惑ってしまう。

うーむ、この後もこんな感じが続くようだと、ユーミン全アルバムを制覇しようという当ブログの壮大な企画も早くも存続の危機か?

★7

 

【この1曲】

恋人がサンタクロース

とはいえやっぱりユーミンの代表曲といえばこの曲だろう。

アレンジは今聴くとダサダサだが、この歌詞は何度聴いても素晴らしい。
聴くたびにキュンキュンして目が潤んでしまう。

楽曲に関しても、サビの「♪つむじ風追い越して〜」の所の II/VIIm7 - III7 という進行はかなり斬新だったのではないだろうか。

 

 

 11. 水の中のASIAへ('81)松任谷由実

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二作続けて両極端に振り切った作品を出したことで、ここは一つリセットの意味もあったのか、アジアをテーマにした企画モノのミニアルバム。

しかしこの試みはかなり成功していて、企画モノとは言えど中々クオリティは高い。

★7

 

【この1曲】

『スラバヤ通りの妹へ』

インドネシアを舞台にした曲で、その後ワールドミュージックブームでインドネシアが注目されるはるか以前に目を付けていたのはさすが。

 純粋にいいメロ、いい曲。

 

 

12. 昨晩お会いしましょう('81)松任谷由実

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そして並々ならぬ気合で満を持してという感じでリリースされたと思われるこのアルバムは、1曲目『タワー・サイド・メモリー』のイントロが鳴り響いた瞬間に「あ、これはいいアルバム!」と確信できる、最初から最後まで捨て曲一切なしの良曲ばかりの名盤!

 サウンド的には、時代的にスティーリー・ダンの影響が強く感じられ(「ガウチョ」の翌年)、「街角のペシミスト」のブラスアレンジや「手のひらの東京タワー」や「グループ」の妖しいコード感も素敵。

個人的にユーミンの真骨頂はタイトなリズムの小洒落たAORサウンドだと思うのだが、まさにこのアルバムはそんなサウンド満載。

ちなみに自分がユーミンをリアルタイムで知ったのは、このアルバム収録の「守ってあげたい」の大ヒットだった。

しかし当時ザ・ベストテンなどの歌番組には毎週ランキングされるものの全く出てこないし、曲も毎週ラジオで聴いていたのだが正直子供心に退屈な曲だと思っていた。
しかし37年経って改めて聴いてみると、しみじみいい曲ではないか。

★10

 

【この1曲】

『グレイス・スリックの肖像』

名曲ぞろいのこのアルバム、『A HAPPY NEW YEAR』と最後まで迷ったがどうしても選びきれない!

「フレール・ジャック(アーユースリーピング)」の引用のイントロからドラマチックな中にも抑制的なアレンジの素晴らしい『グレイス・スリックの肖像』には感情を揺さぶられるし、研ぎ澄まされた静謐な空気感を感じる『A HAPPY NEW YEAR』もどちらも本当に素晴らしい曲。

自分にとってこのアルバムは荒井由実初期作品と並んで生涯の愛聴盤になりそう。

 

 

ongakubakufu.hatenablog.com

 

 

ミラーレス一眼

自分が現在使っているカメラは7年前に購入したCANONEOS Kiss X4

はじめてのデジタル一眼だったが、現在に至るまで画質に関しては全く不満がなかった。

買った当初は一眼の世界に入ると、いわゆる「レンズ沼」にハマって色んなレンズに手を出したり、「ステップアップ」欲にかられてさらなる上位機種が欲しくなったりするかも、という危惧があったが、自分の場合はスナップの延長以上の高尚な写真は撮らないので幸いそうはならず、安いレンズを何本か買ったくらいで十分満足していた。

そのかわり7年使ってきてやや不満に感じてきたのは、その大きさと使い勝手。

自分の場合は首にかけたまま自転車に乗ることが多いので、出来れば小さければ小さい方がいい。

その他にも動画撮影の際にAFの追随が効かなかったり、PCに保存する際にいちいちUSBにつなぐ上に最近USB接続が不調になり、わざわざカードを抜き差しするのがかなり煩わしくなってきた。

そうなると今の時代その条件に合致し最適なのがミラーレス一眼。

いろいろ調べてみると、各社それぞれ魅力的で目移りしたが、中でも最も魅力的だったのがCANON EOS Kiss M。

今使っているのと同じCANONでアダプターを使えば手持ちのレンズもそのまま使えるし(ほとんど使うことはないと思うが)、ファインダーも付いてるし、Wi-FiでPCに画像を送信できるし、スマホがリモコン代わりになるし、何より魅力的だったのはバリアングルモニター。これが決め手。

自分の使い方はほとんどズームレンズの出番はないので、15-45mmの標準レンズと22mmの単焦点のダブルレンズセットにした。

この他にもしかすると11-22mmの広角レンズが欲しくなる可能性があるが、おそらくそれで自分の使い方では充分だろう。

もう少し値段が下がったら買おうと思っていたが、タイミングよくCANONのキャッシュバックセールが始まったので、この際欲しい時が買い時、ということで思い切って購入。

そして本日ついに届いた!

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大きさはX4と比べてかなり小さくなったが、意外にもずっしりと重量感はある。

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まだ使ってみないと感覚はわからないが、たぶん自分の使い方ならば上の写真の22mmの単焦点をつけっぱにしてコンデジ感覚でどこにでも持ち歩くことになることが多くなると思う。

これから楽しみだ。

今バッテリー充電中。

明日の写真からはコイツの写真になるのでどうぞよろしく。

今更ながらの後追いで聴くユーミンアルバムレビューーその2ー(1978-1979)

荒井由実から松任谷由実になり、ここからは自分はアルバム単位で聴くのは全て初めてのものばかり。

 

5. 紅雀('78)松任谷由実

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結婚し松任谷由実名義になって最初のアルバム。

しかし全体を通した印象は浮ついたところが全く無く陰鬱でかなり地味。

楽曲はそれぞれ悪くないのだが、トータルのイメージではブラジルやアンデスなど南米の香りがするアレンジが多く、正直ジジムサい。

★7

 

【この1曲】

LAUNDRY-GATEの思い出』

そんな中でもこの曲の印象は飛び抜けている。とてもいい曲。

イントロは笑ってしまうが。

 

 

 6. 流線型'80('78)松任谷由実

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 タイトルは2年後の80年を先取り、と言う意味だろうか。

そんな未来を向いた前向きなタイトル通り、ポップで軽快でワクワクするような良曲が多い。

のちのリゾート要素もこの辺からぼちぼち出てくるのかな。 

★8

 

【この1曲】

『埠頭を渡る風』

 中でもこの曲に尽きる。イントロからエンディングまでどこを切ってもカッコよすぎる。こんなカッコイイ曲が作れたら!!!

何度聴いても心を鷲掴みにしてやまない個人的にユーミンを代表する超名曲。

Aメロのフルートのカウンターメロディが最高!

 

 

7. OLIVE('79)松任谷由実

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 前作でポップ路線に舵を切り、このアルバムでは更にポップ方向に突き進む。

しかし、当時アイドルに曲を提供することが増えてきたこともあってか、歌詞の内容が急に幼くなり、曲調もサウンドもかなり歌謡曲っぽく、今の耳で聴くと正直古臭く感じてしまう。

 ただ彼女の場合、当時は最先端だったのがすぐに他で引用されまくり、一気に陳腐化してしまうということも大いに考えられるので、その辺はしっかりと時系列で追って検証していかないと軽々に判断できないところがある。

★6

 

【この1曲】

『青いエアメイル』

 そんな中でこの曲は普遍的なアレンジでしっかり曲を聴かせてくれる。

 

 

8. 悲しいほどお天気('79)松任谷由実

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そんな前作を反省してか、初期の作品に立ち返ったかのようなこのアルバムは一転してどの曲も名曲揃いの大傑作!

1曲めのイントロから一気に世界に引き込まれ、アルバム通して軽佻浮薄な所のないしっかり練られた誠実なアレンジで、最後の曲まで思わず正座して聴いてしまい、聴き終わった後の余韻もハンパない。

ユーミンは荒井時代が至高で松任谷時代はちょっとな〜」というこれまでの自分の偏見を見事に打ち破ってくれた。

 初期作品に匹敵する、どころか、ここまで聴いた中で個人的には一番好きなアルバムかも知れない。

 これほどの作品はこのあと出てくるだろうか。

聴き進めるのがますます楽しみになってきた。

『ジャコビニ彗星の日』のサビのど頭のメロディに「♪72年10月9日」という歌詞を乗っけたのは凄すぎてひれ伏すしかない。

★10

 

【この1曲】

『丘の上の光』

 このアルバムの代表曲はたぶん『DESTINY』ということになるのだろうが、他の曲もどれもこれも名曲ばかりで目移りして迷ってしまう。
中でも極めつけはこの曲。惚れ惚れするほどいい曲。
それにしても彼女の歌詞はどの曲も情景がまざまざと目に浮かぶ。

 

 

ongakubakufu.hatenablog.com

 

貴乃花とモリカケ

昨今世間を騒がしている貴乃花といわゆるモリカケ問題。

一見全く無関係に見えるが、メディアの報じ方という点で、ある共通点があることに気づいた。

まず貴乃花に関して。

発端となった日馬富士による貴ノ岩への暴行はもちろんあってはならないことであり、その件に対する貴乃花の言い分は正しい。

しかしそれにまつわる彼の一連の行動には首を傾げざるを得ない。

極端な言い方をすれば、自分の「正義」を信じて手段を選ばず突き進んだ連合赤軍オウム真理教が重なって見えてしまう。

もちろん暴力は許されざることだし、相撲協会の体質にも大いに問題があるが、逆にこじらせてしまっているように見える。

現役時代は立派な横綱だったし、引退後も改革者として期待していただけに、どうしてこうなってしまったのか、とても残念だ。

しかしこの一連の騒動のメディアの報じ方は、当初一貫して「正義の味方貴乃花が悪の組織相撲協会と闘う!」という図式だった。

ようやく最近になって、全く黙殺されていた相撲協会の言い分や、貴乃花本人の人間性などが少しずつ報道されるようになってきて、当初の一方的な「貴乃花正義の味方論」に変化が見られるようになり、さすがに疑問に感じる人も増えてきたように思えるが、まだ当初の報道通りの図式で彼の行動を盲信する人も多いだろう。

 

さて一方のモリカケ問題。

こちらは当初首相夫妻にまつわる疑惑として報じられた。
もちろん現職総理大臣による直接的な口利きが本当にあったとすればそれは大きな問題だが、未だそんな動かぬ証拠は一向に出てこない。
それどころか国会での証言や詳細な取材によって、どちらも事の本質はそこではなくもっと深いものがあるという事実が明らかになった。

まず森友学園問題は、関西特有の土地にまつわる闇と、稀代の詐欺師的人物の恫喝に屈し、勝手に「忖度」した財務省のミスと、そのミスの隠蔽工作

もちろんそんな人物の口車に乗り。安易に名誉校長を引き受けて利用されてしまった首相夫人の軽率さは批判の謗りを免れないが。

そして加計学園問題は、長年に渡る獣医師会の利権と文科省との癒着という構造を、愛媛県が国家戦略特区を利用して突破しようとしたことが事の本質としてあり、首相のお友達優遇などという単純な問題ではない。

どちらの問題もここまで明らかになっているのにも関わらず、一部メディアと野党は完全に倒閣運動に目的化してしまっているが故に、相も変わらず首相の疑惑としての図式のみでしか物を言わず他の問題に目をつぶるから、これだけ時間が経ってもダラダラと不毛な堂々巡りで全く埒があかない。

多くの国民はどれだけほじっても結局何も出てこないモリカケなどにはとっくに興味がなく、政策を論じる場である国会でいつまでも不毛な足の引っ張りを続ける野党に嫌気が差していて、その結果は下る一方の野党の支持率に如実に現れている。

もちろん自民党もそこには気づいており、あえて野党に国会でモリカケをやらせているようなフシさえ見える。

 

一見関係なさそうな貴乃花モリカケ

しかしそのどちらにも共通するのは、最初に「正義の味方貴乃花 vs 悪の組織相撲協会」と「首相の疑惑」という大衆の飛びつきやすい図式を作ってしまったが故に、いかに他の事実が出てこようともそこに硬直化してしまい修正することの出来ない一部メディアの姿であった。

メディアはとかく、善と悪という対立構造の図式を作り出し煽り立てるが、物事はそんなに単純な図式で割り切れるものではない。

どちらか一方に肩入れするのではなく、冷静で公平な報道が求められる。

それは我々受ける側にも言えることで、扇情的な報道にけしかけられて安易に物事を判断するのは慎まなければならない。冷静な情勢判断が求められる。