チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

J☆Dee'Z 1stフルアルバム『Jewel』を聴いて

 J☆Dee'Z(ジェイディーズ)待望の1stフルアルバム『Jewel』が2月にリリースされた。

 

新曲は4曲であとは全て既発シングル曲で、デビューからこれまでのキャリアをまとめたJ☆Dee'Zのベストアルバムと言える内容。
しかし冒頭からいきなり新曲が2曲連続して始まるところは、J☆Dee'Zの最も新しい「今」を聴いてほしいというみなぎる自信が窺える。

その1曲目『Shoes』を聴いて驚いた。
アップテンポのイケイケ今どきアイドルギターポップ感満載で、自分の好みではないけれど、まあこういう方向性も必要だということは理解できる。
実際、ライブではとても盛り上がるのでこちら方面へのアピールになるのではないか。

 

 

そして2曲目も新曲『いますぐに会いたい』。
これぞ自分がJ☆Dee'Z求めるど真ん中のファンキーなミディアムテンポ。
発売後の展開を見ると、運営側もこの曲をこのアルバムのリード曲としているようで納得。
こういう黒っぽい曲では特にNonoの表現力が光る。

 

3曲めの『未来飛行』からは怒涛のJ☆Dee'Zシングルヒットメドレー。
こうして並べて聴くと改めて本当にいい曲ばかりだと思う。
この曲順にも彼女たちのこだわりがあるとのことなので、是非曲順通りに聴きたい。

途中に挟まる新曲『初恋』。
スローなバラードでJ☆Dee'Zの新境地。
ただこれは彼女たちのような実力派にはどうしてもついて回るジレンマなのだが、このスタジオバージョンよりも、その後ツアーを回って何度も歌って鍛えられたライブバージョンのほうが格段に表現力が増している。
ライブでこの曲ラストのNonoのフェイクも最高なのだが、これはライブでしか聴くことができないので、是非ライブに来て生歌で確かめて欲しい。

 


 
途中、5年前のデビュー時の楽曲『Beasty Girls』『Let the music flow』の新録バージョンが挟まれる。
これは当時からメンバー構成が変わってしまっているのと、今の成長を見せるという意味もあるのだろう。
実際、ほとんど1発録りに近い感じで録られたようで、ライブ感満載で、彼女たちのこの5年間の成長も伝わる。
ただ、やはり声が変わって歌唱力も増しているので、デビュー時の時のようなイキったクソガキ感が薄れて歌詞とややギャップができてしまっているのは、まあそれだけ大人になったということで仕方ないか。

ラストはこれも新曲でタイトル曲『Jewel』で締めくくられる。
これもいい曲ではあるけれど、個人的にはアルバム表題曲としてはややパンチが足りなかったかな?という気がしないでもない。
実際、その後ずっとリード曲扱いになっているのは『いますぐに会いたい』の方だし。

さて、記念すべきJ☆Dee'Zの1stアルバムがついにリリースされたわけだが、実質的なベスト盤ということで、これまでのJ☆Dee'Zの歩みと成長を世に問う事はできたと思う。
もちろん大事なのはここから。
間もなく発表されるであろう10枚目のシングルとそれに伴う展開で真価を問われることになると思う。

その報せを首を長くして待っていたい。

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大貫妙子アルバムレビュー 〜その1〜 (1976〜78)

ユーミンのアルバム全てを聴き終わって、次は大貫妙子を制覇したいと考えた。

自分にとっては特に80年代は生活の中心にあったと言っても過言ではないくらいに聴きまくっていた大貫妙子だが、90年代以降はすっかりご無沙汰してしまっていたので、これを機会にぜひ聴いてみたいと思った。

とはいえ現在自分が利用しているAmazonMusicUnlimitedで配信されているのは、1985年の『copine』以降のみ。(※追記・現在はほぼ全作配信済み)
しかしこれ以前のアルバムはたぶんほとんど手持ちであるので、これは全制覇いけるかも!

というわけで始めることにしたが、なにぶんほとんど聴いたことのなかったユーミンとは違って、80年代は死ぬほど聴きまくっていた大貫さんなので、思い入れたっぷり過ぎて果たして冷静な評価ができるかどうか甚だ疑問ではあるが、90年代以降は聴いたことのないアルバムも沢山あるので楽しみに進めていきたい。

ちなみにユーミンと大貫さんは全く同世代であり、その同時代性の共通点やお互い影響し合った点にも興味があるので、折りに触れ比較することが出来たら面白いと思う。

 

1Grey Skies('76)

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伝説のバンドシュガーベイブを解散し、盟友山下達郎に先駆けて発表したソロ作第1段。

とは言え歌唱スタイルはまだまだ不安定で定まっておらず、音楽性もまだまだシュガーベイブの流れを濃厚に汲んでいて、これからどこへ向かおうとしているのか試行錯誤といった感じではあるが、楽曲面においてはもう既に随所で非凡な才能を発揮している。

同時期のユーミンでいうと『The 14th Moon』にあたる。
楽曲創作の才能とセンスと、歌唱力に関してはほぼ同等と思われるが、両者の違いはそのポピュラリティか。
方やユーミンはその才能がポップな大衆性の方向に向かうが、大貫さんの方はそれが尖った才気の迸り方面に向かう感じ。

このデビュー盤においても既にその才気は随所で迸しりを見せてる。
★8

【この1曲】

『When I Met The Grey Sky』

矢野誠氏のアレンジによる曲。
琴を取り入れた前衛的なアレンジは同時期の矢野顕子の『JAPANESE GIRL』を彷彿とさせる。
今手元にクレジットがないので詳細は不明だが、恐らく矢野誠氏の手による不協和音を交えたピアノがとてもスリリングでカッコイイ。
ファーストアルバムにして才能が煌めいている。 



 

2. SUNSHOWER('77)

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全ての編曲は、YMO結成前の新進気鋭のアレンジャー坂本龍一の手によるもの。
この二人でやりたいように作ったと言われるアルバムで、サウンドは当時流行りのいわゆるクロスオーヴァーフュージョン
全編に渡って坂本教授のローズとハモンド+アナログシンセが炸裂している。この時期の教授は本当にいい仕事をしている。
特にラストを飾る自作曲の『振り子の山羊』のオーケストレーションが素晴らしすぎる。

そしてドラムはなんと当時一世を風靡していたスタッフのクリス・パーカー。
これはかなり話題になったんじゃないかと思うのだが、なぜか全く売れなかったらしい…。

他の参加ミュージシャンも当時の日本を代表するトップクラスで、そのサウンドのクオリティは極めて高く、リリースから40年以上経った今になってようやく海外から「日本のシティポップ」というカテゴリーでこのアルバムが再評価されているらしい。むべなるかな。
★10

 【この1曲】

『都会』

初期を代表する名曲。
イントロのソプラノサックスから軽快でお洒落なタイトル通り都会的サウンド。まさにシティポップ!

彼女のコーラスはかなりジャジーなハーモニーなのだが、全くジャズには聴こえない辺りは彼女の声質と人徳の為せる業か。

坂本龍一の間奏のシンセソロは、同時発音数の制限やポルタメントがかかっていたりと弾きにくそうなものの、最後まで力技で押し切っていてメチャメチャカッコイイ。

 

 

3. MIGNONNE('78)

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やりたいように作った前作が売れなかったことで、レコード会社を移籍した今作は「売る」ために新たにプロデューサー(小倉エージ氏)を立て、大々的にプロモーションを行った、とのことだが、やはり売れずにご本人はしばらく立ち直れなかったらしい…。
アレンジは坂本龍一瀬尾一三で半々。

プロデューサーとぶつかりながら言われた通りに歌詞やメロディを何度も書き直したりしても結果が出なかったことが彼女にとっては嫌な思い出のようで、このアルバムのご本人評価が低いのはとても残念だが、いやいやこれ、とてもいいアルバムです!
実際、『横顔』『突然の贈り物』『海と少年』など、のちに多くのミュージシャンにカヴァーされるスタンダードな名曲ぞろいで、自分にとっても現時点で一番好きなアルバム。これから聴き進んでいってこれ以上に好きなアルバムが出てくるか楽しみ。

★10

 【この1曲】

『横顔』

どれも名曲ぞろいで迷ってしまうが、軽快なミディアムシャッフルの美しいメロディのこの曲。
アレンジもお洒落なアコースティックで心地いい。

 

 

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松任谷由実 TIME MACHINE TOUR 日本武道館

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昨日のユーミン武道館から一夜明けても未だその余韻から醒める気配がない。

とにかくその舞台装置、演出、衣装、そして何より優れた楽曲、これほどあらゆる方面で観客を楽しませてくれるエンターテインメントショウは他を探しても中々ないのではないだろうか。

まず1曲めの『ベルベット・イースター』から、前回去年の11月に静岡で観た時よりもよく声が出ていて、長いツアーを経ての進化と好調さを感じた。
自分にとっても、前回はまだユーミンを聴き初めの段階だったが、その時よりもより楽曲を聴き込んでいることによって、今はそれぞれの曲への思い入れ度が格段に違っていたこともあり、より深くユーミンの世界に没入することが出来た。

今回のツアーはセンターステージという特性もあり、全体を俯瞰することでどの席からも楽しめるという工夫が凝らされていて、前回は2階席からでも十分満足できたが、今回は何とアリーナ10列目という信じられない良席で、ユーミンの表情まで手に取るように拝むことが出来た。

あと特筆すべきは音響の素晴らしさ。それぞれの楽器からコーラスに至るまで一つ一つの音の分離が良くて隅々まで聴き取ることが出来た。

ライブの構成は、ユーミンのこれまでの45年間のライブの集大成と言うべきもので、当時のことを知らない自分にも楽しめたが、昔からのファンにはたまらないものだったことだろう。

ラストにユーミンが涙ぐみながら(?)声をつまらせ観客に対して感謝の言葉を述べるシーンでは、「いやいやいやいやいやいや!何をおっしゃいますか!こちらこそですユーミン様!」と声をかけたくなった。
これほどの長い間に渡って常にトップシーンに立って多くの人々に夢と希望と愛を与えてきてくれた生ける伝説のような方からのこのお言葉である。これに感動せずにいられようか。
特にユーミンを聴き始めてまだわずか数ヶ月のにわかファンの自分にとっては、「ここまで続けてきてくれて本当にありがとうございます、お陰で間に合いました!」と感謝の言葉しか出ない。

あまりにライブが良かったので、最終日の今日も続けて観たいくらいだった。

これからはその生ける伝説のお姿を見逃すことなく、常に追いかけていきたいと思う。

輝けるユーミンのヒストリーに間に合うことができて本当に良かった。

今更ながらの後追いで聴くユーミンアルバムレビューーその12ー短評とまとめ

去年の9月にサブスクリプション音楽配信サービスで全アルバムが配信されたのをきっかけに、これまでほとんど聴いてこなかったユーミンをこの機会に聴いてみようかなと軽い気持ちで思い立った。

正直、ユーミンは以前はあまりいい印象がなく、それどころかどちらかと言うと「嫌い」に属する方だった。
なのでさすがに全38枚ものアルバムを制覇できるとは考えておらずどこかで挫折すると思っていたが、聴き進めば聴き進めるほどにどっぷりとハマっていき、すべてを聴き終えた今となっては、ユーミンの音楽は自分のこれからの人生において欠かすことの出来ないものにまでその位置は多くを占めるようになっていた。

聴き始める前は「荒井由実はいいけど結婚してからはちょっとね〜」というイメージだったが、今では荒井由実以上に松任谷由実の音楽に心奪われているのは自分でも予想外の展開。
まさに典型的な聴かず嫌いだった。
まだまだ彼女が現役バリバリのうちに彼女の音楽に触れることが出来て本当に良かった。
おかげで現在進行中のTimeMachineツアーに2回も参加することが出来た。

それにしてもこれまで出会ってこなかったユーミンを時系列に沿って体験させてくれたサブスクリプション音楽配信サービス(現在自分が利用しているのはAmazonMusicUnlimited) には本当に感謝するしかない。
これがなかったらきっとユーミンの音楽を聴いてみようという気にはならず、こんなに素晴らしい音楽に一生出会えることはなかっただろう。
音楽好きにとっては本当に夢のような時代になった。

これまでに上げたアルバムレビューは、聴いていくにつれて段々と思い入れが増してレビューの量が膨らんできてしまい、初期の頃と最近作とでは文章のボリュームがかけ離れてしまったことは否めない。

というわけで、ここで改めて各アルバムを聴き直し、まとめて短評を述べることにする。 
最初に聴いた印象と、時間をおいて改めて聴き直したときの印象が変わっているものもあり、自分でも面白かった。
そして誠に僭越ながら独断と偏見による点数なども付けさせてもらった。
単に自分の好みによるものなので、その辺はご容赦を。

 

1.ひこうき雲(1973)

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後の作品と比べると荒削りではあるが、このアルバムの持つ日本の音楽界における歴史的意義だけで満点しかありえない。どれほどの衝撃だったことか計り知れない。一人の少女の出現によって日本のポップスを劇的に変革させた燦然と輝く作品。全ての原点がここにある。
★10

2.MISSLIM(1974)

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衝撃のデビューから2枚目にしてエヴァーグリーンなスタンダードナンバーの連続。ありえないほどの名曲の嵐。永遠に聴かれ続けることだろう。
★10 

3.COBALT HOUR(1975)

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弾き語り私小説風だった前2枚と比較して、ここでは一気に職業作家としての可能性を突き詰め、あらゆるジャンルの曲調でバラエティ豊か。内向きだった歌詞の世界も一気に視野が広がる。
★9 

4.The 14th Moon(1976)

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サウンドが更に洗練され都会的でおしゃれなものに。のちのリゾートミュージック的要素の萌芽が既に見られる。『中央フリーウェイ』の転調は衝撃だっただろう。
★10

 5.紅雀(1978)

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前作の都会的サウンドとは一転して南米の香り漂うアルバム。のちのワールドミュージック趣味が既に現れている。彼女の全キャリアの中でもとりわけ地味で、結婚後初アルバムだが浮ついたところが全く無い。
久しぶりに聴き直すと、南米っぽいのはA面だけで、B面は名曲揃い。
★7 

 6.流線形'80(1978)

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地味だった前作を反省してか、今作は一転してポップな曲が増え、アレンジもブラスやストリングスをふんだんに使った派手なものが多くなる。
歌詞においてもスキーやサーフィンなど後のリゾートミュージックの要素が現れ始める。
そんな中にあって『埠頭を渡る風』『かんらん車』という飛び抜けた名曲が光る。
★8 

 7.OLIVE(1979)

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ポップ指向が更に進んでここでは歌謡曲路線へ。というよりのちに歌謡曲方面で散々引用されて陳腐化してしまった部分もあるのだろうが、今聴くとちょっと辛い。
★6 

 8.悲しいほどお天気(1979)

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数作試行錯誤を続けてきたが、ここでついにかつての荒井由実の作風に戻った。
それどころか歌詞も楽曲もあの頃よりも更に洗練され、唯一無二の個性と素晴らしい完成度を誇る70年代を締めくくる傑作。
★10 

 9.時のないホテル(1980)

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それぞれの楽曲にストーリー性と重厚感があるトータルアルバム。
歌詞を物語として綴る作家としての才能が爆発している。
★8

 10.SURF&SNOW(1980)

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やや陰鬱だった前作から一転して、正反対の軽佻浮薄なリゾート気分満載の多幸感あふれる作品。
まあこうした振れ幅の大きさが彼女の魅力の一つなのだろう。
歌詞はこっ恥ずかしいが、それぞれの楽曲の完成度はかなり高い。
★7

 11.水の中のASIAへ(1981)

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「アジア」をテーマにした企画モノっぽいミニアルバムだが、出来は中々のもの。
★7 

12. 昨晩お会いしましょう(1981

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ユーミン黄金の80年代の頂点に位置する彼女の全キャリアの中でも最大級の傑作であり、日本のポップスの歴史に燦然と輝く超名盤。
お洒落で都会的な大人のAORサウンド
どこを切ってもセンスに溢れていて素晴らしい。
★10

 13.PEARL PIERCE(1982)

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前作からの絶好調はここでも続き、AORに更にブラックコンテンポラリー要素を加味したサウンドはまさに油が乗り切っていて、余裕と貫禄さえ感じる。
★10

 14.REINCARNATION(1983)

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2作続けて超名盤を叩き出して絶頂期かと思われたが、このアルバムは一転して「姫、ご乱心?」と言いたくなるような、80年代のダサさを凝縮したような出来。
★6 

 15.VOYAGER(1983)

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ここではまた落ち着きを取り戻し、お洒落なサウンドに戻ってくれた。
ユーミンのヒット曲を生み出すノウハウが完成の域に達し、いい曲がいくらでも作れる感じ。同時に松任谷正隆氏のアレンジがとにかく冴え渡っている。
★9 

 16.NO SIDE(1984

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これ1枚でベスト盤と言っていいくらいの名曲の連続。
彼女の長いキャリアの中でも、『昨晩お会いしましょう』と並んで、曲、歌詞、アレンジ全てが噛み合った金字塔的作品。
『昨晩お会いしましょう』のアレンジはややマニアック指向だったのに比べて、こちらはよりポップさを増し、幅広く人口に膾炙したと思われる。
もはや溢れ出る才能が止まらない。
★10 

 17.DA・DI・DA(1985)

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好調はここでも続き、『メトロポリスの片隅で』という極めつけの名曲を筆頭に、めくるめく押し寄せる名曲の数々。
従来のアナログサウンドに新しいデジタル楽器が程よく融合し、バブル直前という当時の世相を抜きに今聴いてもキラキラワクワク得も言われぬ独特の高揚感に包まれる。
当時の興奮はいかばかりだったか。
★10 

 18.ALARM à la mode(1986)

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有名曲が入っていないので地味な印象だが、ここでも各楽曲のクオリティは極めて高く、癖になる曲が多い。
本当にこの時期のサウンドはいいなぁ。
隠れた名盤。
★10 

 19.ダイアモンドダストが消えぬまに(1987)

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時代はバブルと突入し、ユーミンサウンドもこのアルバムを境にド派手なデジタルサウンドにガラリと変わる。
明確に「売れ線」を意識した感じだが、曲のクオリティは相変わらず高い。
★9

 20.Delight Slight Light KISS(1988)

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これまで時代を取り込みながら高いクオリティを誇ってきたが、このアルバムでは派手なサウンドは更にエスカレートする一方、どうしたことか肝心の楽曲の魅力が一気に低下してしまう。
★5

 21.LOVE WARS(1989)

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楽曲は前作より持ち直すものの、派手な音作りとお手軽な印象は相変わらず。
★6

 22.天国のドア(1990)

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まさにバブル絶頂期でもあるこの時期の作品は自分はどうも繰り返して聴きたいとは思えない。
★6

 23.DAWN PURPLE(1991)

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相変わらず楽曲ごとのバラツキは大きいが、やたら派手な音作りはようやく落ち着きを取り戻してきた。
★7

 24.TEARS AND REASONS(1992)

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曲ごとのバラツキはあるが、徐々に良曲の比率が多くなってきている。ハウス系の音作りは時代を感じてしまう。
★7

 25.U-miz(1993)

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真夏の夜の夢』という大ヒット曲が出て長いスランプから復活の機運が高まってきたが、その他の曲はかつてのユーミンと同じ人物とは思えないほどの迷走気味。
★5

 26.THE DANCING SUN(1994)

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『Hello,my friend』そして『春よ、来い』というユーミンの全キャリアを通しても極めつけの名曲が収録され、何度目かの創作のピークを迎える。
他の曲も好調さがうかがえる90年代の名盤。
ボーカルスタイルがこのあたりから変化を見せ始める。
★8

 27.KATHMANDU(1995)

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ヒット曲を立て続けに飛ばしたことで余裕が出たのか、今作は趣味に走ってワールドミュージックやアシッドジャズの影響が濃厚でやたらとカッコいい。
てかこんなにカッコよかったっけ?このアルバム!?
最初に聴いた時はかなり地味な印象だったが、改めて聴き直してみたら印象は一変した。自分も全アルバムを聴いたことでユーミンの音楽の楽しみ方を理解してきたということか。聴けば聴くほど味わい深い作品。
★9

 28.Cowgirl Dreamin'(1997)

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 かなりロックに寄ったサウンド
『最後の嘘』『Called Game』という名曲はあるものの、個人的にはあまり印象に残らないアルバム。
★6

 29.スユアの波(1997)

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前半は堂々たるユーミン王道サウンドの連続で、長らく続いた迷走から久しぶりの女王復活を印象づける。
ただ後半は前半とのギャップが大きすぎる。
★8

 30.FROZEN ROSES(1999)

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前作からの好調は続き、更にスリリングなアレンジも相まってアルバムとしてはかなりの完成度。
ドスの利いた声も効果的でユーミンの新境地。
とても味わい深い作品。
★10

 31.acacia(2001)

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さらなる創作意欲の高まりを感じ絶好調。高レベルの良曲が満載の名盤。
しかも珍しく捨て曲なし(^_^;)
★9

 32.Wings of Winter, Shades of Summer(2002)

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初聴時は曲数が少ないせいかやや地味な印象だったが、改めて聴くと味わい深い良曲揃いの好盤。同じ海や雪をテーマにしていてもかつてのようなリゾート気分ではなくこちらは物悲しい喪失感が漂う。
★8

 Yuming Compositions: FACES(2003)

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彼女が他人に提供した曲のカヴァーアルバム。
全アルバムの中で唯一松任谷正隆氏の手を離れた曲が多く、そういう意味では新鮮。完成度もなかなか。
★8

 33.VIVA! 6×7(2004)

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古い映画をコンセプトにしたようだが、個人的にはやや楽曲の出来が低調に感じるアルバムで残念ながらあまり印象に残らない。
★5 

 34.A GIRL IN SUMMER(2006)

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ジャケットのイメージの通りどこかうら寂しい海がテーマのコンセプトアルバム。楽曲、歌詞、アレンジ全てが非常に高いレベルでガッチリ噛み合い、ついに80年代の傑作に肩を並べる21世紀のユーミンの傑作が生まれた。「ユーミン昔は好きだったけど最近は…」という人にこそ是非聴いてほしい。
★10

 35.そしてもう一度夢見るだろう(2009)

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ピカデリー・サーカス』『夜空でつながっている』『人魚姫の夢』などの名曲はあるものの、その他の曲のバラツキが大きく全体的にはやや低調に感じるアルバム。
★6

 

 36.Road Show(2011)

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良くも悪くも曲作りがシンプルになっている傾向。『ダンスのように抱き寄せたい』などいい曲はとてもいいんだけど、全体的にかつてのような「おっ!?」と目を見張る「ひねり」が少なくなっている。
★6 

37. POP CLASSICO(2013)

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アルバムタイトル通り、クラシカルなメロディとゴージャスなオーケストラアレンジが気持ちいい。後半の名曲畳み掛けは圧巻。
★7

 38.宇宙図書館(2016)

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表題曲『宇宙図書館』はこの年齢でこそ生み出し得た名曲。その他の曲も総じて高レベルで、現時点での最新盤だがまだまだ現役感満載。
特に歌詞の世界は死や喪失などの匂いが濃厚で独特な重厚さがにじみ出る。
ただ「え、なんでこの曲入れたの?」と訊いてみたくなるような曲ごとのバラツキが大きいのもユーミンらしさは変わらず現役(^_^;)
★7

 

目出度く全アルバムを制覇したところで、勝手ながら自分にとってのユーミンアルバムベスト5を考えてみた。

1. 昨晩お会いしましょう(1981)  

2. NO SIDE(1984

3. 悲しいほどお天気(1979)

4. MISSLIM(1974)

5. A GIRL IN SUMMER(2006)

この辺は生涯聴き続けることになるだろうな〜。

まだまだ現役のユーミン、誠に頼もしい限りだが、今年は新作の噂もある。
自分にとっては初めて耳にすることになる「ユーミンの新作」はどんな感じなんだろう?

今から楽しみで仕方ない。

 

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さらば赤坂グラフィティ

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赤坂グラフィティでの最後のペーソス艦隊ライブが無事終わった。

演奏自体は今まで感じたこともない緊張の中どうにかこうにかこなしたが、それ以上に、わざわざ駆け付けて来てくれた当時一緒に頑張っていた仲間たちや待ちわびて下さっていた方々と沢山再開することが出来たのが嬉しかった。
あの頃は自分の未熟さ故に沢山迷惑もかけたはずなのに、みんなが暖かく迎え入れてくれたことにとても感謝です。
おまけにみんな口々にペーカンを待っていてくれたと言ってくれて、あんな短い活動期間でありながらペーカンは愛されていたんだな〜と改めて驚きました。

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そして個人的にも中学校の同級生との35年ぶりの再会をはじめ、昔の友人とも沢山会うことが出来ました。
そしてハルさん、リリーさんセルピコのお二人は本当にお疲れ様でした。
ペーカンを知っている人はもちろん、ペーカンてなんじゃらほい?と見に来てくれた方々、共演者の皆さん、スタッフの皆さん、全てに温かい気持ちをいただきました。本当にありがとうございました。

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再会したリリーさんと「また一緒に曲作ろう!」と再び意気投合しました。
いつになるかはわからないけれど、また忘れた頃にひょっこり新曲が出来上がるかもしれません。
その時はまた聴いてやって下さい。

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赤坂グラフィティの雰囲気、匂い、そして客席から見る景色、ステージから見る景色、そのどれもが全く変わらずつい昨日のことのようで、とてもあれから12年も経っているとは信じられなかった。
この場所での出会いと泣き笑い、忘れません。
ありがとう赤坂グラフィティ、英語で言うと、れっど・すろーぷ・ぐらふぇて〜。

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ペーソス艦隊と赤坂グラフィティ

ライブハウスの名店、赤坂グラフィティがこの5月の連休をもって閉店する。
自分が12〜13年前にやっていたペーソス艦隊というユニットのホームグラウンドで、当時は大変お世話になった思い出深い場所。
この度の閉店に伴い、ラスト週にありがたいことに久しぶりの出演をさせていただくことになった。
人前に立って演奏することから離れてもう長くなるので迷いはあったが、お世話になった思い出の赤坂Graffitiの最後に立ち会いたいと思った。

ペーソス艦隊は活動期間も1年半と短く、自宅録音の音源10数曲のみを残して終わってしまったが、リリー武志という類まれな表現力を持つボーカリストのおかげでかなり面白い曲を作ることが出来てとても密度が濃く充実した1年半だった。

というわけで、数年ぶりに押し入れからホコリをかぶったギターを引っ張り出して猛練習中であります。
んで、自分の演奏をコピーしたり当時の資料を色々調べていたら、ネットで聴ける音源が少なすぎる事に気がついた。
せっかく一生懸命作った曲なので、記録としてネットに残しておきたいと思った。

というわけで改めてペーソス艦隊の動画を作りました。
宅録音なので音質はまあそれなりでご容赦下さい。

まずは代表曲の『アジスアベバで逢いましょう』。
この曲は当時ごく一部で盛り上がって、今でも好きな曲と言ってくれる人が多くて嬉しい。
昭和歌謡への愛がたっぷり詰まった曲。


アジスアベバで逢いましょう』ペーソス艦隊(2006年7月録音)
作詞・作曲・編曲・演奏・コーラス/チェリー福田
歌唱/リリー武志
コーラス/天地海

 

そしてリリー武志の素晴らしい歌声と、天地海の情緒溢れる歌詞によってペーカンサウンドの頂点を極めたと言える『氷結の森』。


『氷結の森』ペーソス艦隊 (2007年4月録音)
作詞/天地海
作曲・編曲・演奏・コーラス/チェリー福田
歌唱/リリー武志

 

そしていつの時代も「男の美学」の原点は、少年時代の冒険活劇。
というコンセプトで作った『少年たちのララバイ』。
改めて今聴くとドライブ感があって気持ちが高揚するね(*゚∀゚)
とても大好きな曲!


『少年たちのララバイ』ペーソス艦隊(2007年1月録音)
作詞/天地海
作曲・編曲・演奏・コーラス/チェリー福田
歌唱・A.Guitar/リリー武志

 

5月2日は当時の気のおけない懐かしい仲間たちと楽しみたいと思います。

5月2日 赤坂グラフィティ
SELLPICO/ペーソス艦隊/カネノブテツヤ/あべさとえ/石橋光/クボフミト

開場18:00/開演18:30

前売¥3,000/当日¥3,500(ドリンク別¥600)

令和

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元号『令和』。

1日経ってしみじみ噛みしめれば噛みしめるほどいい元号だ。
声に出した響きもいいし、字面もシャープでカッコいい。
そして出典が従来のような中国の古典ではなく、日本の万葉集だというのが何より素晴らしい。

平成の時は違和感こそなかったものの、「へーせー」と伸ばす音ばかりでどこか間延びした感じあってしばらく馴染めなかったのに比べると、音も完結しているし、すぐに馴染んで何かにつけて好んで使いそう。
国民皆に愛される元号になって、力を合わせていい時代にしたい。

ただ残念だったのが、これにかこつけて新元号の意味を曲解して屁理屈な難癖をつけてお決まりの政権批判に強引に持っていく、一部野党議員がいたこと。
そんなことばかりやっているから国民から支持されないということにいつになったら気づくのだろうか?

発表前に一部で「新元号には現総理の名前の文字が入るに違いない!」と勝手に邪推して勝手にやきもきして怒り狂っていた人々も、見ていてただただ滑稽でしかなかった。

31年続いた平成も残りあと1ヶ月。

最後に「色々あったけどいい時代だったな〜」で終わりたい。

喪失と再生

子供の頃から歯だけは丈夫で虫歯一本なかった。
それが歯列矯正が終わった数年前くらいからさすがにガタが出てきて、生まれて初めての虫歯が発見されてから、これまで行ったこともなかった歯医者に通うことが多くなってきた。
すると今度は別の歯の根元が腫れてグラグラになってしまい、ついに昨日抜歯することになった。

その後ブリッジにするかインプラントにするかはたまたそのまま放って置くか、いずれにしても下の骨が再生するまで2年くらいは歯抜け状態でいることになるのだそう。
でも意外にも食べるのに特に支障はなかったのですぐに慣れそう。

長年慣れ親しんだ身体の一部が無くなるのは寂しいね。
ぽっかり空いた抜歯後の空洞を見ていると不思議な感情に襲われた。

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J☆Dee'Z(ジェイディーズ)Spring tour 2019 〜Music Athletic!!!〜 @静岡LIVE ROXY

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J☆Dee'Z春ツアー全7公演の5公演目、静岡 LIVE ROXY に参加してきた。
自分にとっては1発目の新宿ReNY以来ちょうど1ヶ月ぶり。

新宿の時にもう既に「最初から仕上げてきたな〜」と驚いたが、ツアーを重ねながらJ☆Dee'Zはハーモニーを徹底的にブラッシュアップしていた。
おそらく、ツアーの最中にこれまで怪しかったり曖昧だった細かい部分をしらみつぶしにピックアップし、徹底的にそれぞれの音程をチェックし、何度も繰り返して仕上げる練習をしているのだろう。

個人的なことを言えば、最近どうもライブハウスでライブを観たあと耳に飛行機に乗った時のような違和感が残り、しばらく聴きづらい状態が続くようになっていた。
このまま放置していてもし突発性難聴になったりすると非常にまずいので、今回から音質はそのまま音量を少しだけ下げてくれるという耳栓を導入した。
これによって、今回のライブは音圧に負けることなく、ハーモニーの細かい部分までクリアに聴き分けることが出来た。

話を戻すと、たとえば『伝えたいこと、ちゃんと伝えなくちゃ』のハーモニーは最初から最後まで驚くほど完璧だったし、『明日も、世界は回るから。』の「歩いてく〜」のユニゾンも美しかった。あれをビッチリ決めるのはかなり難しいと思うよ。

特に『初恋』や『いますぐに会いたい』なんかはCDテイクよりこのツアーでの生歌のほうが何倍もいい。
そもそもレコーディングというのは、出来たての曲をまだ歌い慣れない状態で世に出さなければならないというポップミュージックに付いて回るジレンマがあるわけで、特にリトグリやJ☆Dee'Zのように歌を売りにしているグループは、どうしたって何度も歌い込まれたライブの方がCDより数段出来が良いなんて事が往々にして起きる。
本人たちもきっと、昔の曲はもちろん最新アルバムの曲でも「今だったらもっと上手く歌えるのに〜」なんて思ったりすることもあるんじゃないだろうか。
それはそうと、この『初恋』は、ライブバージョンだけにあるエンディングのNonoのフェイクが絶品。

 英語曲のカヴァーは、自分は寡聞にして誰の何という曲か知らないが、前回も驚いたが今回は更に磨かれてカッコよくなっていた。
amiのソロパートではその迫力に毎回歓声が起きる。

あとこれは個人的にこだわりたいところなのだが、『ひとひらの涙』の大サビのamiが歌う「スマホの広告で見た夢のかなえ方」の次の「どっかで買える夢なんて欲しくないよ」でNonoが下ハモで入ってくるパートが大好きだったのだが、何故かしばらく無くなっていたのが今回のツアーから復活したのが嬉しい。ありがとうNono!
あれもCDにはないのでライブならではの醍醐味だよね。

そして新宿では生バンドだったが、今回の静岡はトラックスタイルとの事でどうかと思ったが、なんとトラックは全てこのツアー用にバンドアレンジで新録しているではないか!
CDと同じオケを使用したライブだと、どうしてもカラオケを聴かされている感が付いて回るものだが、これだとそんな感じは全くせず、バンドの姿の見えないバンドサウンドとしてライブ感が味わえてとてもよかった。
この辺にJ☆Dee'Zのライブ制作スタッフの良心を感じる。

ツアー中盤にしてこれほどの成長と完成度を見せてくれるJ☆Dee'Z。
MOMOKAの上から下までの音域の安定感、amiの迫力を更に増した声、そしてNonoの更に磨きのかかった表現力。
ファイナルの横浜ではかなり凄いことになっていると期待できる。

今から楽しみ。

イチロー引退

ついにこの日が来た。イチロー引退。

自分にとって野球は、子供の頃はそれなりに夢中になったが、大きくなってからは徐々に興味の対象外になりつつあった。

そこに現れたのがイチロー
そのスリムでいてシャープなバッティング、守備も打撃もセンスそのものといったプレー、そしてその独特な感性はそれまでのプロ野球選手では見たこともない鮮烈な衝撃だった。

もうすでにペナントレースには興味がなくなっていたが、ただただイチローの姿を見たくて毎晩のスポーツニュースをハシゴした。(オリックスの試合は中々中継してくれなかったので)

のちにメジャーリーグに行ってからは毎試合中継してくれるようになったので、毎試合釘付けになった。
ただ、試合を観るというよりはやっぱりイチローだけを見ていたというのは否めない。
そう考えると、相当ミーハーだったんだな、俺。

中でも最も印象深かったのはやはり何と言っても2009年のWBC決勝での韓国戦のタイムリーヒットだろう。
野球を観ていてあの時ほど心臓が破れそうなくらいに感動し興奮したことは後にも先にもない。
「神がかり」というのはまさにこのことで、その全てが頼もしくカッコよかった。

 イチロー選手と同時代に生きて、そのプレーをテレビ越しとはいえ逐一体験できたことは、自分にとって最高の幸せであり、誇りに思う。

しかしイチローがいなくなってしまって、自分がこれから野球を観ることがあるのだろうか?

それくらい、この20数年間というもの、自分にとっての「野球」といえば「イチロー」そのものだった。

これからの彼が何をするのか、興味深く見守っていきたいと思う。