チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

大貫妙子アルバムレビュー 〜その2〜 (1980〜82)

78年の『MIGNONNE』発表後、2年間の空白期を経た大貫妙子は、それまでのイメージからガラリと変貌して復活した。
ヨーロッパをテーマにした彼女の音楽性はその後そのまま彼女のイメージそのものとなり、ここから彼女の快進撃が始まる。

自分が彼女の音楽に初めて触れたのはこの時期。
81年頃、maxellのTVCMで吉田美奈子とラジの3人と競合して流れていたが、その中で一番印象に残ったのが大貫妙子の『黒のクレール』だった。
調べてみたらなんとアレンジは当時YMOで一世を風靡していた坂本龍一ではないか!
その後ほどなくしてリリースされたこの曲が収録されたニューアルバム『Cliché』を聴いて完全にハマった。
そこから過去作を遡り、今回ご紹介する3枚はそれこそテープが伸びるほど何百回聴いたかわからない、最も自分にとって馴染みの深い「ヨーロッパ3部作」と呼ばれる3作。

 

4ROMANTIQUE('80)

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 前作『MIGNONNE』が、プロデューサーの言われた通りに作ったのに全く売れなかったことにショックを受けて、2年間の空白期に入る。

そんな彼女を見かねた牧村憲一氏のアドバイスにより、それまでのジョニ・ミッチェルフュージョンクロスオーヴァーサウンドアメリカから、シャンソンやフレンチポップのヨーロッパへ志向を変えたことで、彼女は華麗に復活を遂げる。
以降「大貫妙子=ヨーロッパ」というイメージの図式を確立し、以降も歌い継がれる永遠の名曲が多く誕生することになる。

ちなみにユーミンも全く同じ時期に、ヨーロッパ的架空の世界をイメージした『時のないホテル』を発表しており、ヨーロッパというのはこの当時のトレンドだったのかもしれない。

2年間の空白を経て満を持して発表されたこのアルバムのアレンジは、坂本龍一加藤和彦の半々。
演奏は坂本アレンジはYMO、加藤アレンジは清水信之ムーンライダーズなど。
当時既にヨーロッパ志向のアルバムを発表していた加藤和彦にとってこのサウンドはお手の物だし、デビュー当時からアレンジに携わっていた盟友坂本龍一は、この2年間の休養の間にYMOの成功でまたたく間に一気にスターダムにのし上がっていた。

その坂本龍一の当時の飛ぶ鳥を落とす勢いを感じるのが、このアルバムのオープニングを飾る『Carnaval』。
これまでの彼女のイメージからガラリと変わってシンセをバリバリフィーチャーしたYMOサウンドに以前からのファンはさぞかし驚いたことだろう。
今聴くとオーバーアレンジ気味でさすがにやりすぎだとは思うがインパクトは抜群で、この曲の印象で当時音楽界を席巻していたいわゆるYMOファミリーの一員として彼女は扱われるようになり知名度が一気に上がった。自分もそのラインで知ることになる。

しかし坂本龍一のこのコケオドシ的アレンジはこの曲だけで、これ以外は堅実なオーソドックなアレンジでヨーロッパの世界を構築する。

彼女の楽曲に関しても、ヨーロッパ的抑揚と陰影のあるメロディアスな技法を手に入れたことで更にクオリティが上がり、名曲ばかり。
★10 

【この1曲】

『若き日の望楼』

パリの若き芸術家たちの生活を描いたこの曲は、名曲揃いのこのアルバムの中でも特に切なく感動的。自分はこの曲を聴くたびに一体何度泣かされたことか。
その後も何度もセルフカヴァーされることになる名曲中の名曲。

 

 

5. AVENTURE('81)

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前作でヨーロッパ的世界を確立した彼女、今作もその流れを汲み、やや陰鬱な雰囲気もあった前作よりポップできらめく雰囲気。
大雑把なイメージで言うと、舞台が東欧から地中海に移った感じとでも言おうか。

1曲目を飾るのも前作と打って変わってどポップな売れ線メロディの『恋人達の明日』。
実際当時のアイドル白石まるみがこの曲をカヴァーした。

楽曲とアレンジのクオリティーも更に上がり、充実しきった名曲ばかり。
今回のアレンジは前作に続き坂本龍一加藤和彦に加えて、前田憲男大村憲司といった豪華な面々。
前田憲男アレンジの『グランプリ』は当時はあまり好きではなかったが、今聴くととてもカッコいいなぁ。
★10 

【この1曲】

『テルミネ』

佳曲が多いので迷ってしまうが、中でも比較的地味なこの曲。
聴く者の予想をどんどん裏切って展開していく器楽的メロディーが素晴らしい。

 

 

6. Cliché('82)

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 いわゆる「ヨーロッパ三部作」と呼ばれる三作目。
ここでついに本場フランスのアレンジャーとオーケストラを起用してフランス録音することで大貫妙子流ヨーロピアサウンドが完結する。

個人的には自分が初めて彼女の音楽に触れた作品であり、毎日毎日何度も何度も繰り返し最も聴いたアルバムで、あまりに思い入れが大きく聴き過ぎでちょっと飽きが来たので、その後は関心が他のアルバムに向き、正直その後はあまり聴くことなく忘れ去ってしまっていた。

しかし今回改めて久しぶりに聴いてみると、やはりなんと素晴らしいアルバムだろう!
楽曲のクオリティも全て粒揃いで飛び抜けて高いし、坂本龍一アレンジの東京録音も、Jean Musyアレンジのフランス録音もどちらも本当に素晴らしい最高のアルバムだった。

やはり当時自分が初めて触れて一発で夢中になってしまったのも当然の傑作だと、改めて思った。

ただ唯一『Labyrinth』だけは当時も今もやはり好きになれない…。
ボーカルにかかっているエコーも気持ち悪いし、そもそも何でベースが入ってないの〜教授〜!?
★10

【この1曲】

『憶ひ出』

本当に優れた楽曲ばかりだが、敢えてやや地味なフランス録音のこの曲。
当時はメロドラマみたいな大袈裟なイントロだな〜と思っていたが、いやいやこれでこそドラマチックでいいではないか!

そしてその大袈裟なイントロから歌が入った瞬間の転調は、さながらオフコースの『Yes-No』のような不意打ちの気持ちよさで、何度聴いても新鮮。

 

 

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丸ノ内線方南町支線

子供の頃十数年間方南町に住んでいたのでとても興味深い記事。

ついに方南町住民の悲願、丸ノ内線本線直通が叶う。

これまでは基本的に中野坂上で乗り換え、直通列車はあっても終点一つ手前の車庫がある中野富士見町止まりなので、方南町駅利用者はいずれにしても乗り換えを強いられていた。

今でこそ本線と同じ車両の3両編成だが、かつては銀座線の短い車両のお古の2両編成で、長いことポイント部分で車内灯が消えて真っ暗になっていた。いかにもローカル線風情。
それがついに最新の車両の6両編成が対応になったとのこと。

随分大掛かりな工事だったようだが、これでかなり便利になるだろう。
もう長いことこの駅を利用していないので大昔の風景しか知らないが、新しい出口が出来たりして駅周辺の風景も激変しているようだ。

しかし子供の頃からあった駅出口の立ち食いそば屋が、工事で移転こそしたとはいえいまだに健在なのは驚き!

2年前のこの記事も、丸ノ内線支線の歴史的経緯がよく分かるので合わせて読みたい。

水の虫

恥を忍んで書くが、生まれて初めて水虫になった。
1ヶ月ほど前近所の入浴施設で貰ってきてしまったようだ。

最初は痒みだけだったのが段々酷くなり、しまいには足の指の間に水疱とひび割れのようなものが出来て、その範囲がみるみる広がってきた。

これはヤバイと思ってとりあえずドラッグストアで塗り薬を買ってきたら、これが驚くほど劇的に効いた。

塗るのは1日1回、その間写真の足指広げを装着して乾燥を保つようにする。
まず1日目にいきなり痒みが治まり、5日も経つ頃には水疱とひび割れもすっかり消えた。ものすごい効き目。

今はもう見た目はすっかり治っているが、3ヶ月くらいは塗り続けないと根治は出来ないそうなので、まだ塗り続けている。チューブ1本使い切る頃には根治しているだろう。
人知れず悩んでいる方、薬の効果はテキメンだよ!(^O^)/

そしてこの機会に色々調べてみると、水虫の予防法もわかってきた。
まず外の入浴施設やプールで貰ってしまうのはこれはもう防ぎようがない。
しかし、水虫の白癬菌が角質層に侵入するには丸1日かかるので、その前に洗い流してしまえばいい。
つまり、温泉やプールに行ったら、家に帰ってもう1度足を石鹸で洗い流せば菌が皮膚に定着する前に落とすことができるということ。

実際自分がなってみる前はこんなことは全然知らなかった。
でもこれを知っておけば今後は水虫に罹ることはないだろう。

もう大丈夫。
何事も経験だね!(*゚∀゚)

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J☆Dee'Z 1stフルアルバム『Jewel』を聴いて

 J☆Dee'Z(ジェイディーズ)待望の1stフルアルバム『Jewel』が2月にリリースされた。

 

新曲は4曲であとは全て既発シングル曲で、デビューからこれまでのキャリアをまとめたJ☆Dee'Zのベストアルバムと言える内容。
しかし冒頭からいきなり新曲が2曲連続して始まるところは、J☆Dee'Zの最も新しい「今」を聴いてほしいというみなぎる自信が窺える。

その1曲目『Shoes』を聴いて驚いた。
アップテンポのイケイケ今どきアイドルギターポップ感満載で、自分の好みではないけれど、まあこういう方向性も必要だということは理解できる。
実際、ライブではとても盛り上がるのでこちら方面へのアピールになるのではないか。

 

 

そして2曲目も新曲『いますぐに会いたい』。
これぞ自分がJ☆Dee'Z求めるど真ん中のファンキーなミディアムテンポ。
発売後の展開を見ると、運営側もこの曲をこのアルバムのリード曲としているようで納得。
こういう黒っぽい曲では特にNonoの表現力が光る。

 

3曲めの『未来飛行』からは怒涛のJ☆Dee'Zシングルヒットメドレー。
こうして並べて聴くと改めて本当にいい曲ばかりだと思う。
この曲順にも彼女たちのこだわりがあるとのことなので、是非曲順通りに聴きたい。

途中に挟まる新曲『初恋』。
スローなバラードでJ☆Dee'Zの新境地。
ただこれは彼女たちのような実力派にはどうしてもついて回るジレンマなのだが、このスタジオバージョンよりも、その後ツアーを回って何度も歌って鍛えられたライブバージョンのほうが格段に表現力が増している。
ライブでこの曲ラストのNonoのフェイクも最高なのだが、これはライブでしか聴くことができないので、是非ライブに来て生歌で確かめて欲しい。

 


 
途中、5年前のデビュー時の楽曲『Beasty Girls』『Let the music flow』の新録バージョンが挟まれる。
これは当時からメンバー構成が変わってしまっているのと、今の成長を見せるという意味もあるのだろう。
実際、ほとんど1発録りに近い感じで録られたようで、ライブ感満載で、彼女たちのこの5年間の成長も伝わる。
ただ、やはり声が変わって歌唱力も増しているので、デビュー時の時のようなイキったクソガキ感が薄れて歌詞とややギャップができてしまっているのは、まあそれだけ大人になったということで仕方ないか。

ラストはこれも新曲でタイトル曲『Jewel』で締めくくられる。
これもいい曲ではあるけれど、個人的にはアルバム表題曲としてはややパンチが足りなかったかな?という気がしないでもない。
実際、その後ずっとリード曲扱いになっているのは『いますぐに会いたい』の方だし。

さて、記念すべきJ☆Dee'Zの1stアルバムがついにリリースされたわけだが、実質的なベスト盤ということで、これまでのJ☆Dee'Zの歩みと成長を世に問う事はできたと思う。
もちろん大事なのはここから。
間もなく発表されるであろう10枚目のシングルとそれに伴う展開で真価を問われることになると思う。

その報せを首を長くして待っていたい。

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大貫妙子アルバムレビュー 〜その1〜 (1976〜78)

ユーミンのアルバム全てを聴き終わって、次は大貫妙子を制覇したいと考えた。

自分にとっては特に80年代は生活の中心にあったと言っても過言ではないくらいに聴きまくっていた大貫妙子だが、90年代以降はすっかりご無沙汰してしまっていたので、これを機会にぜひ聴いてみたいと思った。

とはいえ現在自分が利用しているAmazonMusicUnlimitedで配信されているのは、1985年の『copine』以降のみ。(※追記・現在はほぼ全作配信済み)
しかしこれ以前のアルバムはたぶんほとんど手持ちであるので、これは全制覇いけるかも!

というわけで始めることにしたが、なにぶんほとんど聴いたことのなかったユーミンとは違って、80年代は死ぬほど聴きまくっていた大貫さんなので、思い入れたっぷり過ぎて果たして冷静な評価ができるかどうか甚だ疑問ではあるが、90年代以降は聴いたことのないアルバムも沢山あるので楽しみに進めていきたい。

ちなみにユーミンと大貫さんは全く同世代であり、その同時代性の共通点やお互い影響し合った点にも興味があるので、折りに触れ比較することが出来たら面白いと思う。

 

1Grey Skies('76)

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伝説のバンドシュガーベイブを解散し、盟友山下達郎に先駆けて発表したソロ作第1段。

とは言え歌唱スタイルはまだまだ不安定で定まっておらず、音楽性もまだまだシュガーベイブの流れを濃厚に汲んでいて、これからどこへ向かおうとしているのか試行錯誤といった感じではあるが、楽曲面においてはもう既に随所で非凡な才能を発揮している。

同時期のユーミンでいうと『The 14th Moon』にあたる。
楽曲創作の才能とセンスと、歌唱力に関してはほぼ同等と思われるが、両者の違いはそのポピュラリティか。
方やユーミンはその才能がポップな大衆性の方向に向かうが、大貫さんの方はそれが尖った才気の迸り方面に向かう感じ。

このデビュー盤においても既にその才気は随所で迸しりを見せてる。
★8

【この1曲】

『When I Met The Grey Sky』

矢野誠氏のアレンジによる曲。
琴を取り入れた前衛的なアレンジは同時期の矢野顕子の『JAPANESE GIRL』を彷彿とさせる。
今手元にクレジットがないので詳細は不明だが、恐らく矢野誠氏の手による不協和音を交えたピアノがとてもスリリングでカッコイイ。
ファーストアルバムにして才能が煌めいている。 



 

2. SUNSHOWER('77)

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全ての編曲は、YMO結成前の新進気鋭のアレンジャー坂本龍一の手によるもの。
この二人でやりたいように作ったと言われるアルバムで、サウンドは当時流行りのいわゆるクロスオーヴァーフュージョン
全編に渡って坂本教授のローズとハモンド+アナログシンセが炸裂している。この時期の教授は本当にいい仕事をしている。
特にラストを飾る自作曲の『振り子の山羊』のオーケストレーションが素晴らしすぎる。

そしてドラムはなんと当時一世を風靡していたスタッフのクリス・パーカー。
これはかなり話題になったんじゃないかと思うのだが、なぜか全く売れなかったらしい…。

他の参加ミュージシャンも当時の日本を代表するトップクラスで、そのサウンドのクオリティは極めて高く、リリースから40年以上経った今になってようやく海外から「日本のシティポップ」というカテゴリーでこのアルバムが再評価されているらしい。むべなるかな。
★10

 【この1曲】

『都会』

初期を代表する名曲。
イントロのソプラノサックスから軽快でお洒落なタイトル通り都会的サウンド。まさにシティポップ!

彼女のコーラスはかなりジャジーなハーモニーなのだが、全くジャズには聴こえない辺りは彼女の声質と人徳の為せる業か。

坂本龍一の間奏のシンセソロは、同時発音数の制限やポルタメントがかかっていたりと弾きにくそうなものの、最後まで力技で押し切っていてメチャメチャカッコイイ。

 

 

3. MIGNONNE('78)

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やりたいように作った前作が売れなかったことで、レコード会社を移籍した今作は「売る」ために新たにプロデューサー(小倉エージ氏)を立て、大々的にプロモーションを行った、とのことだが、やはり売れずにご本人はしばらく立ち直れなかったらしい…。
アレンジは坂本龍一瀬尾一三で半々。

プロデューサーとぶつかりながら言われた通りに歌詞やメロディを何度も書き直したりしても結果が出なかったことが彼女にとっては嫌な思い出のようで、このアルバムのご本人評価が低いのはとても残念だが、いやいやこれ、とてもいいアルバムです!
実際、『横顔』『突然の贈り物』『海と少年』など、のちに多くのミュージシャンにカヴァーされるスタンダードな名曲ぞろいで、自分にとっても現時点で一番好きなアルバム。これから聴き進んでいってこれ以上に好きなアルバムが出てくるか楽しみ。

★10

 【この1曲】

『横顔』

どれも名曲ぞろいで迷ってしまうが、軽快なミディアムシャッフルの美しいメロディのこの曲。
アレンジもお洒落なアコースティックで心地いい。

 

 

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松任谷由実 TIME MACHINE TOUR 日本武道館

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昨日のユーミン武道館から一夜明けても未だその余韻から醒める気配がない。

とにかくその舞台装置、演出、衣装、そして何より優れた楽曲、これほどあらゆる方面で観客を楽しませてくれるエンターテインメントショウは他を探しても中々ないのではないだろうか。

まず1曲めの『ベルベット・イースター』から、前回去年の11月に静岡で観た時よりもよく声が出ていて、長いツアーを経ての進化と好調さを感じた。
自分にとっても、前回はまだユーミンを聴き初めの段階だったが、その時よりもより楽曲を聴き込んでいることによって、今はそれぞれの曲への思い入れ度が格段に違っていたこともあり、より深くユーミンの世界に没入することが出来た。

今回のツアーはセンターステージという特性もあり、全体を俯瞰することでどの席からも楽しめるという工夫が凝らされていて、前回は2階席からでも十分満足できたが、今回は何とアリーナ10列目という信じられない良席で、ユーミンの表情まで手に取るように拝むことが出来た。

あと特筆すべきは音響の素晴らしさ。それぞれの楽器からコーラスに至るまで一つ一つの音の分離が良くて隅々まで聴き取ることが出来た。

ライブの構成は、ユーミンのこれまでの45年間のライブの集大成と言うべきもので、当時のことを知らない自分にも楽しめたが、昔からのファンにはたまらないものだったことだろう。

ラストにユーミンが涙ぐみながら(?)声をつまらせ観客に対して感謝の言葉を述べるシーンでは、「いやいやいやいやいやいや!何をおっしゃいますか!こちらこそですユーミン様!」と声をかけたくなった。
これほどの長い間に渡って常にトップシーンに立って多くの人々に夢と希望と愛を与えてきてくれた生ける伝説のような方からのこのお言葉である。これに感動せずにいられようか。
特にユーミンを聴き始めてまだわずか数ヶ月のにわかファンの自分にとっては、「ここまで続けてきてくれて本当にありがとうございます、お陰で間に合いました!」と感謝の言葉しか出ない。

あまりにライブが良かったので、最終日の今日も続けて観たいくらいだった。

これからはその生ける伝説のお姿を見逃すことなく、常に追いかけていきたいと思う。

輝けるユーミンのヒストリーに間に合うことができて本当に良かった。

今更ながらの後追いで聴くユーミンアルバムレビューーその12ー短評とまとめ

去年の9月にサブスクリプション音楽配信サービスで全アルバムが配信されたのをきっかけに、これまでほとんど聴いてこなかったユーミンをこの機会に聴いてみようかなと軽い気持ちで思い立った。

正直、ユーミンは以前はあまりいい印象がなく、それどころかどちらかと言うと「嫌い」に属する方だった。
なのでさすがに全38枚ものアルバムを制覇できるとは考えておらずどこかで挫折すると思っていたが、聴き進めば聴き進めるほどにどっぷりとハマっていき、すべてを聴き終えた今となっては、ユーミンの音楽は自分のこれからの人生において欠かすことの出来ないものにまでその位置は多くを占めるようになっていた。

聴き始める前は「荒井由実はいいけど結婚してからはちょっとね〜」というイメージだったが、今では荒井由実以上に松任谷由実の音楽に心奪われているのは自分でも予想外の展開。
まさに典型的な聴かず嫌いだった。
まだまだ彼女が現役バリバリのうちに彼女の音楽に触れることが出来て本当に良かった。
おかげで現在進行中のTimeMachineツアーに2回も参加することが出来た。

それにしてもこれまで出会ってこなかったユーミンを時系列に沿って体験させてくれたサブスクリプション音楽配信サービス(現在自分が利用しているのはAmazonMusicUnlimited) には本当に感謝するしかない。
これがなかったらきっとユーミンの音楽を聴いてみようという気にはならず、こんなに素晴らしい音楽に一生出会えることはなかっただろう。
音楽好きにとっては本当に夢のような時代になった。

これまでに上げたアルバムレビューは、聴いていくにつれて段々と思い入れが増してレビューの量が膨らんできてしまい、初期の頃と最近作とでは文章のボリュームがかけ離れてしまったことは否めない。

というわけで、ここで改めて各アルバムを聴き直し、まとめて短評を述べることにする。 
最初に聴いた印象と、時間をおいて改めて聴き直したときの印象が変わっているものもあり、自分でも面白かった。
そして誠に僭越ながら独断と偏見による点数なども付けさせてもらった。
単に自分の好みによるものなので、その辺はご容赦を。

 

1.ひこうき雲(1973)

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後の作品と比べると荒削りではあるが、このアルバムの持つ日本の音楽界における歴史的意義だけで満点しかありえない。どれほどの衝撃だったことか計り知れない。一人の少女の出現によって日本のポップスを劇的に変革させた燦然と輝く作品。全ての原点がここにある。
★10

2.MISSLIM(1974)

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衝撃のデビューから2枚目にしてエヴァーグリーンなスタンダードナンバーの連続。ありえないほどの名曲の嵐。永遠に聴かれ続けることだろう。
★10 

3.COBALT HOUR(1975)

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弾き語り私小説風だった前2枚と比較して、ここでは一気に職業作家としての可能性を突き詰め、あらゆるジャンルの曲調でバラエティ豊か。内向きだった歌詞の世界も一気に視野が広がる。
★9 

4.The 14th Moon(1976)

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サウンドが更に洗練され都会的でおしゃれなものに。のちのリゾートミュージック的要素の萌芽が既に見られる。『中央フリーウェイ』の転調は衝撃だっただろう。
★10

 5.紅雀(1978)

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前作の都会的サウンドとは一転して南米の香り漂うアルバム。のちのワールドミュージック趣味が既に現れている。彼女の全キャリアの中でもとりわけ地味で、結婚後初アルバムだが浮ついたところが全く無い。
久しぶりに聴き直すと、南米っぽいのはA面だけで、B面は名曲揃い。
★7 

 6.流線形'80(1978)

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地味だった前作を反省してか、今作は一転してポップな曲が増え、アレンジもブラスやストリングスをふんだんに使った派手なものが多くなる。
歌詞においてもスキーやサーフィンなど後のリゾートミュージックの要素が現れ始める。
そんな中にあって『埠頭を渡る風』『かんらん車』という飛び抜けた名曲が光る。
★8 

 7.OLIVE(1979)

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ポップ指向が更に進んでここでは歌謡曲路線へ。というよりのちに歌謡曲方面で散々引用されて陳腐化してしまった部分もあるのだろうが、今聴くとちょっと辛い。
★6 

 8.悲しいほどお天気(1979)

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数作試行錯誤を続けてきたが、ここでついにかつての荒井由実の作風に戻った。
それどころか歌詞も楽曲もあの頃よりも更に洗練され、唯一無二の個性と素晴らしい完成度を誇る70年代を締めくくる傑作。
★10 

 9.時のないホテル(1980)

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それぞれの楽曲にストーリー性と重厚感があるトータルアルバム。
歌詞を物語として綴る作家としての才能が爆発している。
★8

 10.SURF&SNOW(1980)

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やや陰鬱だった前作から一転して、正反対の軽佻浮薄なリゾート気分満載の多幸感あふれる作品。
まあこうした振れ幅の大きさが彼女の魅力の一つなのだろう。
歌詞はこっ恥ずかしいが、それぞれの楽曲の完成度はかなり高い。
★7

 11.水の中のASIAへ(1981)

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「アジア」をテーマにした企画モノっぽいミニアルバムだが、出来は中々のもの。
★7 

12. 昨晩お会いしましょう(1981

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ユーミン黄金の80年代の頂点に位置する彼女の全キャリアの中でも最大級の傑作であり、日本のポップスの歴史に燦然と輝く超名盤。
お洒落で都会的な大人のAORサウンド
どこを切ってもセンスに溢れていて素晴らしい。
★10

 13.PEARL PIERCE(1982)

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前作からの絶好調はここでも続き、AORに更にブラックコンテンポラリー要素を加味したサウンドはまさに油が乗り切っていて、余裕と貫禄さえ感じる。
★10

 14.REINCARNATION(1983)

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2作続けて超名盤を叩き出して絶頂期かと思われたが、このアルバムは一転して「姫、ご乱心?」と言いたくなるような、80年代のダサさを凝縮したような出来。
★6 

 15.VOYAGER(1983)

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ここではまた落ち着きを取り戻し、お洒落なサウンドに戻ってくれた。
ユーミンのヒット曲を生み出すノウハウが完成の域に達し、いい曲がいくらでも作れる感じ。同時に松任谷正隆氏のアレンジがとにかく冴え渡っている。
★9 

 16.NO SIDE(1984

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これ1枚でベスト盤と言っていいくらいの名曲の連続。
彼女の長いキャリアの中でも、『昨晩お会いしましょう』と並んで、曲、歌詞、アレンジ全てが噛み合った金字塔的作品。
『昨晩お会いしましょう』のアレンジはややマニアック指向だったのに比べて、こちらはよりポップさを増し、幅広く人口に膾炙したと思われる。
もはや溢れ出る才能が止まらない。
★10 

 17.DA・DI・DA(1985)

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好調はここでも続き、『メトロポリスの片隅で』という極めつけの名曲を筆頭に、めくるめく押し寄せる名曲の数々。
従来のアナログサウンドに新しいデジタル楽器が程よく融合し、バブル直前という当時の世相を抜きに今聴いてもキラキラワクワク得も言われぬ独特の高揚感に包まれる。
当時の興奮はいかばかりだったか。
★10 

 18.ALARM à la mode(1986)

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有名曲が入っていないので地味な印象だが、ここでも各楽曲のクオリティは極めて高く、癖になる曲が多い。
本当にこの時期のサウンドはいいなぁ。
隠れた名盤。
★10 

 19.ダイアモンドダストが消えぬまに(1987)

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時代はバブルと突入し、ユーミンサウンドもこのアルバムを境にド派手なデジタルサウンドにガラリと変わる。
明確に「売れ線」を意識した感じだが、曲のクオリティは相変わらず高い。
★9

 20.Delight Slight Light KISS(1988)

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これまで時代を取り込みながら高いクオリティを誇ってきたが、このアルバムでは派手なサウンドは更にエスカレートする一方、どうしたことか肝心の楽曲の魅力が一気に低下してしまう。
★5

 21.LOVE WARS(1989)

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楽曲は前作より持ち直すものの、派手な音作りとお手軽な印象は相変わらず。
★6

 22.天国のドア(1990)

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まさにバブル絶頂期でもあるこの時期の作品は自分はどうも繰り返して聴きたいとは思えない。
★6

 23.DAWN PURPLE(1991)

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相変わらず楽曲ごとのバラツキは大きいが、やたら派手な音作りはようやく落ち着きを取り戻してきた。
★7

 24.TEARS AND REASONS(1992)

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曲ごとのバラツキはあるが、徐々に良曲の比率が多くなってきている。ハウス系の音作りは時代を感じてしまう。
★7

 25.U-miz(1993)

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真夏の夜の夢』という大ヒット曲が出て長いスランプから復活の機運が高まってきたが、その他の曲はかつてのユーミンと同じ人物とは思えないほどの迷走気味。
★5

 26.THE DANCING SUN(1994)

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『Hello,my friend』そして『春よ、来い』というユーミンの全キャリアを通しても極めつけの名曲が収録され、何度目かの創作のピークを迎える。
他の曲も好調さがうかがえる90年代の名盤。
ボーカルスタイルがこのあたりから変化を見せ始める。
★8

 27.KATHMANDU(1995)

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ヒット曲を立て続けに飛ばしたことで余裕が出たのか、今作は趣味に走ってワールドミュージックやアシッドジャズの影響が濃厚でやたらとカッコいい。
てかこんなにカッコよかったっけ?このアルバム!?
最初に聴いた時はかなり地味な印象だったが、改めて聴き直してみたら印象は一変した。自分も全アルバムを聴いたことでユーミンの音楽の楽しみ方を理解してきたということか。聴けば聴くほど味わい深い作品。
★9

 28.Cowgirl Dreamin'(1997)

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 かなりロックに寄ったサウンド
『最後の嘘』『Called Game』という名曲はあるものの、個人的にはあまり印象に残らないアルバム。
★6

 29.スユアの波(1997)

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前半は堂々たるユーミン王道サウンドの連続で、長らく続いた迷走から久しぶりの女王復活を印象づける。
ただ後半は前半とのギャップが大きすぎる。
★8

 30.FROZEN ROSES(1999)

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前作からの好調は続き、更にスリリングなアレンジも相まってアルバムとしてはかなりの完成度。
ドスの利いた声も効果的でユーミンの新境地。
とても味わい深い作品。
★10

 31.acacia(2001)

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さらなる創作意欲の高まりを感じ絶好調。高レベルの良曲が満載の名盤。
しかも珍しく捨て曲なし(^_^;)
★9

 32.Wings of Winter, Shades of Summer(2002)

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初聴時は曲数が少ないせいかやや地味な印象だったが、改めて聴くと味わい深い良曲揃いの好盤。同じ海や雪をテーマにしていてもかつてのようなリゾート気分ではなくこちらは物悲しい喪失感が漂う。
★8

 Yuming Compositions: FACES(2003)

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彼女が他人に提供した曲のカヴァーアルバム。
全アルバムの中で唯一松任谷正隆氏の手を離れた曲が多く、そういう意味では新鮮。完成度もなかなか。
★8

 33.VIVA! 6×7(2004)

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古い映画をコンセプトにしたようだが、個人的にはやや楽曲の出来が低調に感じるアルバムで残念ながらあまり印象に残らない。
★5 

 34.A GIRL IN SUMMER(2006)

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ジャケットのイメージの通りどこかうら寂しい海がテーマのコンセプトアルバム。楽曲、歌詞、アレンジ全てが非常に高いレベルでガッチリ噛み合い、ついに80年代の傑作に肩を並べる21世紀のユーミンの傑作が生まれた。「ユーミン昔は好きだったけど最近は…」という人にこそ是非聴いてほしい。
★10

 35.そしてもう一度夢見るだろう(2009)

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ピカデリー・サーカス』『夜空でつながっている』『人魚姫の夢』などの名曲はあるものの、その他の曲のバラツキが大きく全体的にはやや低調に感じるアルバム。
★6

 

 36.Road Show(2011)

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良くも悪くも曲作りがシンプルになっている傾向。『ダンスのように抱き寄せたい』などいい曲はとてもいいんだけど、全体的にかつてのような「おっ!?」と目を見張る「ひねり」が少なくなっている。
★6 

37. POP CLASSICO(2013)

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アルバムタイトル通り、クラシカルなメロディとゴージャスなオーケストラアレンジが気持ちいい。後半の名曲畳み掛けは圧巻。
★7

 38.宇宙図書館(2016)

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表題曲『宇宙図書館』はこの年齢でこそ生み出し得た名曲。その他の曲も総じて高レベルで、現時点での最新盤だがまだまだ現役感満載。
特に歌詞の世界は死や喪失などの匂いが濃厚で独特な重厚さがにじみ出る。
ただ「え、なんでこの曲入れたの?」と訊いてみたくなるような曲ごとのバラツキが大きいのもユーミンらしさは変わらず現役(^_^;)
★7

 

目出度く全アルバムを制覇したところで、勝手ながら自分にとってのユーミンアルバムベスト5を考えてみた。

1. 昨晩お会いしましょう(1981)  

2. NO SIDE(1984

3. 悲しいほどお天気(1979)

4. MISSLIM(1974)

5. A GIRL IN SUMMER(2006)

この辺は生涯聴き続けることになるだろうな〜。

まだまだ現役のユーミン、誠に頼もしい限りだが、今年は新作の噂もある。
自分にとっては初めて耳にすることになる「ユーミンの新作」はどんな感じなんだろう?

今から楽しみで仕方ない。

 

ongakubakufu.hatenablog.com

さらば赤坂グラフィティ

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赤坂グラフィティでの最後のペーソス艦隊ライブが無事終わった。

演奏自体は今まで感じたこともない緊張の中どうにかこうにかこなしたが、それ以上に、わざわざ駆け付けて来てくれた当時一緒に頑張っていた仲間たちや待ちわびて下さっていた方々と沢山再開することが出来たのが嬉しかった。
あの頃は自分の未熟さ故に沢山迷惑もかけたはずなのに、みんなが暖かく迎え入れてくれたことにとても感謝です。
おまけにみんな口々にペーカンを待っていてくれたと言ってくれて、あんな短い活動期間でありながらペーカンは愛されていたんだな〜と改めて驚きました。

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そして個人的にも中学校の同級生との35年ぶりの再会をはじめ、昔の友人とも沢山会うことが出来ました。
そしてハルさん、リリーさんセルピコのお二人は本当にお疲れ様でした。
ペーカンを知っている人はもちろん、ペーカンてなんじゃらほい?と見に来てくれた方々、共演者の皆さん、スタッフの皆さん、全てに温かい気持ちをいただきました。本当にありがとうございました。

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再会したリリーさんと「また一緒に曲作ろう!」と再び意気投合しました。
いつになるかはわからないけれど、また忘れた頃にひょっこり新曲が出来上がるかもしれません。
その時はまた聴いてやって下さい。

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赤坂グラフィティの雰囲気、匂い、そして客席から見る景色、ステージから見る景色、そのどれもが全く変わらずつい昨日のことのようで、とてもあれから12年も経っているとは信じられなかった。
この場所での出会いと泣き笑い、忘れません。
ありがとう赤坂グラフィティ、英語で言うと、れっど・すろーぷ・ぐらふぇて〜。

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ペーソス艦隊と赤坂グラフィティ

ライブハウスの名店、赤坂グラフィティがこの5月の連休をもって閉店する。
自分が12〜13年前にやっていたペーソス艦隊というユニットのホームグラウンドで、当時は大変お世話になった思い出深い場所。
この度の閉店に伴い、ラスト週にありがたいことに久しぶりの出演をさせていただくことになった。
人前に立って演奏することから離れてもう長くなるので迷いはあったが、お世話になった思い出の赤坂Graffitiの最後に立ち会いたいと思った。

ペーソス艦隊は活動期間も1年半と短く、自宅録音の音源10数曲のみを残して終わってしまったが、リリー武志という類まれな表現力を持つボーカリストのおかげでかなり面白い曲を作ることが出来てとても密度が濃く充実した1年半だった。

というわけで、数年ぶりに押し入れからホコリをかぶったギターを引っ張り出して猛練習中であります。
んで、自分の演奏をコピーしたり当時の資料を色々調べていたら、ネットで聴ける音源が少なすぎる事に気がついた。
せっかく一生懸命作った曲なので、記録としてネットに残しておきたいと思った。

というわけで改めてペーソス艦隊の動画を作りました。
宅録音なので音質はまあそれなりでご容赦下さい。

まずは代表曲の『アジスアベバで逢いましょう』。
この曲は当時ごく一部で盛り上がって、今でも好きな曲と言ってくれる人が多くて嬉しい。
昭和歌謡への愛がたっぷり詰まった曲。


アジスアベバで逢いましょう』ペーソス艦隊(2006年7月録音)
作詞・作曲・編曲・演奏・コーラス/チェリー福田
歌唱/リリー武志
コーラス/天地海

 

そしてリリー武志の素晴らしい歌声と、天地海の情緒溢れる歌詞によってペーカンサウンドの頂点を極めたと言える『氷結の森』。


『氷結の森』ペーソス艦隊 (2007年4月録音)
作詞/天地海
作曲・編曲・演奏・コーラス/チェリー福田
歌唱/リリー武志

 

そしていつの時代も「男の美学」の原点は、少年時代の冒険活劇。
というコンセプトで作った『少年たちのララバイ』。
改めて今聴くとドライブ感があって気持ちが高揚するね(*゚∀゚)
とても大好きな曲!


『少年たちのララバイ』ペーソス艦隊(2007年1月録音)
作詞/天地海
作曲・編曲・演奏・コーラス/チェリー福田
歌唱・A.Guitar/リリー武志

 

5月2日は当時の気のおけない懐かしい仲間たちと楽しみたいと思います。

5月2日 赤坂グラフィティ
SELLPICO/ペーソス艦隊/カネノブテツヤ/あべさとえ/石橋光/クボフミト

開場18:00/開演18:30

前売¥3,000/当日¥3,500(ドリンク別¥600)

令和

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元号『令和』。

1日経ってしみじみ噛みしめれば噛みしめるほどいい元号だ。
声に出した響きもいいし、字面もシャープでカッコいい。
そして出典が従来のような中国の古典ではなく、日本の万葉集だというのが何より素晴らしい。

平成の時は違和感こそなかったものの、「へーせー」と伸ばす音ばかりでどこか間延びした感じあってしばらく馴染めなかったのに比べると、音も完結しているし、すぐに馴染んで何かにつけて好んで使いそう。
国民皆に愛される元号になって、力を合わせていい時代にしたい。

ただ残念だったのが、これにかこつけて新元号の意味を曲解して屁理屈な難癖をつけてお決まりの政権批判に強引に持っていく、一部野党議員がいたこと。
そんなことばかりやっているから国民から支持されないということにいつになったら気づくのだろうか?

発表前に一部で「新元号には現総理の名前の文字が入るに違いない!」と勝手に邪推して勝手にやきもきして怒り狂っていた人々も、見ていてただただ滑稽でしかなかった。

31年続いた平成も残りあと1ヶ月。

最後に「色々あったけどいい時代だったな〜」で終わりたい。