チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

読書日記

伊東潤『修羅の都』

修羅の都 作者: 伊東潤 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2018/02/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 源頼朝が平家討伐を成し遂げ、鎌倉で権力を掌握し、のちに妻北条政子を介して北条家に実権が移り承久の乱へ…という物語。 好きな…

伊東潤『西郷の首』

西郷の首 作者: 伊東潤 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2017/09/29 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 大河ドラマで『西郷どん』放映中ということで、大好きな作家のこのタイトルを見てタイムリーだと思って読んでみた。といってもこれは西郷…

宮部みゆき『ソロモンの偽証』

以前はよく読んだが、最近は個人的に期待はずれのことが多いこの作家。 そんなわけでしばらくご無沙汰していたが、この作品は映画にもなったし、面白いと評判だったので期待して読んだ。 全3巻の長編だが、第1巻くらいではなるほどテンポもよく、これはかな…

連合赤軍とオウム真理教

連合赤軍関連本を大体読み終わったので、次は個人的に歴史的連続性を感じるオウム真理教関連の所蔵本を引っ張り出してパラパラ読んでみた。 あれから20年以上経って改めて読むと、当時のオウムの情勢認識は、階級闘争史観と世界革命ゴリゴリ極左だった連合赤…

桐野夏生『夜の谷を行く』

最近連合赤軍づいていたのでその流れでこちらも読んでみた。連合赤軍幹部の手記などはこれまで色々読んできたが、山岳ベースから逃亡した生き残り女兵士という視点は今までになかったので新鮮だった。フィクションではあるが、当時のリアルなエピソードが語…

連合赤軍まつり終了

自分の中で5年周期くらいで訪れる、手持ちの連合赤軍関連本を読みまくる「連合赤軍まつり」が、約2ヶ月かかって今回もようやく終了。年を経るに従って毎回自分の中で感じることが少しずつ変化していくのが面白かったが、さすがに連合赤軍に興味を持って読み…

8月に読んだ本

吉村昭『暁の旅人』 幕末にオランダ人から西洋医学を学び、幕府、新撰組、会津藩との関わりの深かった松本良順の物語。 といえば思い出すのが司馬遼太郎の『胡蝶の夢』だが、それを読んだのはもう随分昔なので細かい内容は忘れてしまった。 こちらは吉村氏独…

7月に読んだ本

百田尚樹・石平『「カエルの楽園」が地獄と化す日』 現代の寓話『カエルの楽園』を現実に当てはめて説明するというのは「寓話の種明かし」的で甚だ無粋ではあるが、あの寓話の意味を理解できない人もそれだけ多いということなのだろう。 そして事態は更に物…

坂口弘『あさま山荘1972〈上〉』

一時的に読む本がなくなったので、手元にある、坂口弘『あさま山荘1972〈上〉』を再読した。 連合赤軍事件当事者の著作の中では一番詳細でかつ読みやすいのがこれ。 もうかれこれ読むのは5回目くらいだが、読むたびに自分の受け止める感覚は若い頃から少しず…

6月に読んだ本

西加奈子『サラバ! 上・下』 登場人物に全く共感できないし、ラストも今ひとつ納得いかなかったが、お話は非常に面白く、一気に読みふけった。 自分の痛い青春時代をえぐり出された気分…(;´Д`) サラバ! 上 作者: 西加奈子 出版社/メーカー: 小学館 発売日…

5月に読んだ本

石原慎太郎『天才』 自分は石原慎太郎も田中角栄も政治家としては大好きだし、石原氏の『国家なる幻影』や『歴史の十字路に立って』などの政治に関する著作も非常に面白かったので大いに期待していたが、この本はあっさり拍子抜け。 内容も角栄氏に関する本…

4月に読んだ本

角田光代『ツリーハウス』 新宿で中華料理屋を営む家族三代の戦前の満州から戦後の日本の様々な世情を反映した壮大な物語。 著者のイメージとはやや異色なお話で、面白かったが個人的にはやや散漫でパンチに欠ける印象。 ツリーハウス (文春文庫) 作者: 角田…

2月に読んだ本

浅田次郎『神坐す山の物語』 御岳山の山頂にある神官屋敷を舞台に伯母から少年へ夜語りされる神と人との哀しくも怖いお話の数々。 ここでも安定の浅田節でどの話もしみじみ味わい深い。 神坐す山の物語 作者: 浅田次郎 出版社/メーカー: 双葉社 発売日: 2014…

1月に読んだ本

角田光代『森に眠る魚』 かつて実際に起きた殺人事件をモチーフにしたフィクション。 同じ幼稚園に通う子供を持ついわゆるママ友同士が出会い、最初は仲良かったのが子供の受験をきっかけにほんの些細な行き違いや思い込みが次第に疑心暗鬼となりついには憎…

12月に読んだ本

西加奈子『きりこについて』 「きりこは、ぶすである。」から始まるぶすな女の子きりこと賢い飼い猫ラムセス2世の物語。 最初はこの二人の私的なお話かと思いきや意外にも多くの人を巻き込んだスケールの大きな話になっていく。 この著者独特の言葉遣いで描…

11月に読んだ本

伊東潤『巨鯨の海』 江戸時代から明治にかけて隆盛を誇った太地の捕鯨をテーマにした短編集。命をかけた鯨と人間の戦いにまつわる物語はどれも深い読後感を残す。 巨鯨の海 (光文社時代小説文庫) 作者: 伊東潤 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2015/09/09 …

10月に読んだ本

西加奈子『ふくわらい』 鳴木戸定(ナルキド・サダ)という主人公の名前から人を喰ったような作品なのかと思ったら、読み始めてすぐにそのただならぬ深みに嵌っていった。 言葉を組み合わせることで成り立つ「文章」と、目や鼻や口といったパーツを組み合わ…

9月に読んだ本

西加奈子『漁港の肉子ちゃん』 『円卓』が面白かったのでこちらも読んでみた。 例によって口に出して朗読したくなるテンポの良い文章に、独特の言葉遣い、いつまでも読んでいたい魅力的な登場人物、そしてこのインパクトのあるタイトル! 全てが素晴らしかっ…

8月に読んだ本

百田尚樹『カエルの楽園』 言うまでもなく昨今の我が国の憲法9条や安保法案関連にまつわる騒動を風刺した滑稽で恐ろしい寓話。 あまりの面白さに読み終わったあともう一度最初から読みなおしてしまった。 ここの登場人物を現実世界の人物や団体に当てはめて…

6月に読んだ本

カズオイシグロ『わたしを離さないで』 テレビドラマがとても良かったので原作を読んでみた。 歴史のちょっとした選択で十分有り得るような世界の物語。生まれながらの運命に飲み込まれた人々の恐怖と怒りと絶望が淡々としたトーンで描かれていてどっしりと…

5月に読んだ本

上橋菜穂子『炎路を行く者』 以前このシリーズを読んだ時に唯一未読だった作品。 若き日のヒュウゴとバルサの姿を描き、これによって壮大なこのシリーズが全て繋がり完結する。 二人の背景を知ったことでもう一度本編を読みたくなる仕組み。 10年後くらいに…

3月に読んだ本

石原慎太郎『歴史の十字路に立って』 石原慎太郎氏の自叙伝。あまりの面白さに時間を忘れて読み耽ってしまった。 GHQ史観や朝日新聞的思想にどっぷり浸かっていた子供の頃の自分にとって石原慎太郎といえば青嵐会でハマコーなどと一緒に吠えている極右危険人…

2月に読んだ本

下村敦史『闇に香る嘘』 江戸川乱歩賞受賞作ということでたまたま手に取った本。基本的にミステリーは得意分野ではないが中々面白かった。視覚を奪われた主人公の不安と恐怖がこれでもかと伝わってきた。あらゆる伏線が最後に解き明かされるのは爽快でありよ…

12月に読んだ本

原田伊織『明治維新という過ち―日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト』 我々が歴史の教科書で習ったのが「封建的な江戸幕府に抑圧されていたこの国を幕末志士達の活躍により一気に近代化への道を開いた」とされる明治維新。 司馬遼太郎の小説で活き活きと…

11月に読んだ本

白土三平『カムイ伝』 全15巻、4ヶ月かけて読了。 子供の頃ちょっと目にしてその陰惨さがトラウマになっていたが、改めて読み返してみると要するに階級闘争史観に基づいた漫画版プロレタリア文学だ。 発表当時の時代背景として学生運動周辺で熱狂的に支持さ…

10月に読んだ本

青木理『誘蛾灯』 鳥取連続不審死事件。 同時期に明るみになった首都圏の事件と同様の容姿の冴えない女を巡って多くの男が不審な死を遂げた。 しかしこちらはあちらのような似非セレブ的華やかさや人々の興味を惹くセンセーショナルさは全く無く場末の陰惨さ…

8月に読んだ本

伊東潤『峠越え』 凡庸なる己を自覚する家康。 故に目の前の山を着実に一つ一つ乗り越えることで生き残ってきた。 そしてさらなる大きな山が次々を目の前に現れる。 本能寺の変の新解釈。 そして最大の危機伊賀越え。 例によってこの人の作品は登場人物の人…

7月に読んだ本

松本麗華『止まった時計』 言わずと知れたオウム麻原の三女アーチャリー。 当時あれだけ面白可笑しく報道された人物。 常人には到底理解の及ばない壮絶な人生を送ってきたことは間違いなく、それ相当の苦労もあったようだ。 そんな現在の自分の立場をしっか…

6月に読んだ本

黒柳徹子『トットひとり』 ザ・ベストテンの裏話から遡り、向田邦子や渥美清、森繁久彌、沢村貞子等々、テレビ草創期から家族同然の付き合いをした今は亡き同志たちとの思い出を語る。 トットひとり 作者: 黒柳徹子 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2015/04…

4月に読んだ本

浅田次郎『赤猫異聞』 明治維新のドサクサの江戸の大火で牢屋敷から解き放ちとなった三人の重罪人。 「三人のうち一人でも戻らなければ戻った者も死罪、三人共戻れば全員が無罪」というお話。 安心安定の浅田節で面白く読めた。 ただ彼の他の名作と比較する…