チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

5月13日  4月に読んだ本

白洲次郎 占領を背負った男 白洲次郎 占領を背負った男
北 康利 (2005/07/22)
講談社

この商品の詳細を見る

恥ずかしながらこの本を読むまでは白洲次郎という人物のことは何一つ知らなかった。

終戦後、占領期に吉田茂首相の側近としてGHQと渡り合ったこの人物。戦後日本の進むべき方法を決める時期に重要な役割を果たしていた人であることは間違いない。

ただかなりアクの強い人物であったようで、人物像としての評価は大きく分かれるところだろう。この本はもちろんその辺は最大限に好意的に表現しているが、実際のところはどうだったのかは気になるところではある。

戦後間もない時代の多くの知られざるエピソードの中で最も印象に残ったのは、新憲法制定のくだり。

俺の小さい頃から「平和憲法」として金科玉条のように教えられてきて、手を触れることすらタブーとされるような扱いをされてきた現憲法。この憲法GHQによっていかにデタラメな作り方をされ、占領下の日本に押し付けられていた経緯が手に取るようによくわかるくだりは衝撃的ですらある。

何しろ当時は絶対的権力を誇っていたGHQの占領下。逆らうことは許されなかった。当時の関係者はみな「独立したら必ず自分たちの手で改正してみせる」との思いでこの屈辱に耐えたという。だから本来ならば昭和27年に日本がサンフランシスコ講和条約によって独立した時に日本人の手によって改正されてしかるべきだった。しかし当時の吉田茂はこの憲法を逆利用し、軍事力をアメリカに依存することによって経済復興のみに力を注ぐことを選んだ。その結果として後の高度経済成長があったわけで、そういう意味では間違ってはいない選択だったかもしれない。

しかしそれには当然アメリカとの同盟関係の強化が必要だったわけで、そこには日米安保条約が不可欠だ。

ところが「憲法九条を守れ!」と主張する人々の多くはどういうわけか日米安保にも反対(さすがに今はそんな人は少ないか?)だったりしちゃうわけなんだが、これは上記の理由で理解不能だ。日米安保破棄→アメリカとの同盟関係を切るということはまあ選択肢としては理解できる。しかしそれはアメリカの核の傘から離れることも意味するわけで、そうなると必然的に日本も核兵器を持たなきゃいかんことになるがそれでもいいのかな?

まあそれはともかく、九条どうこう以前にやはり今の憲法には成立のいきさつからしても、時代の流れによる現実からの乖離という点にしても見直す必要があることは紛れもない事実だ。なので今政治の舞台で大いに議論されていることはとても喜ばしい。一昔前は議論することすらタブーだったのだからそれに比べたら大きな進歩だ。

あと問題なのは、信じがたい話だが、いざ憲法を改正する時に行われる国民投票の制度が出来ていないこと!!!

これは今まで一体何やってたんだ?憲法で定められているにも関わらずそれを行う為の法律がないなんて、これを怠慢と言わずして何と言う?

実際に改正するしない以前にこれはやっとかなきゃいかんだろ~まったくもう。

憲法問題に関してはタブーをなくして、大いに国民みんなで議論して決めたいね。★★★★

精撰尋常小学修身書―明治・大正・昭和…親子で読みたい 精撰尋常小学修身書―明治・大正・昭和…親子で読みたい
八木 秀次 (2002/05)
小学館

この商品の詳細を見る

これも戦後の中で「悪」としてとらえられてきた戦前の修身教育。

しかし改めて読むととんでもない! 今ではすっかり失われてしまった日本人が本来持っていた美徳、公益心、勤勉、謙譲と思いやりの心・・・素晴らしいじゃないか。それがすっかり失われて個人の権利ばかりが強調されてしまったのが戦後の教育。やっぱりここらで少し立ち止まって教育を根本から見直さなければいけないな~。教育基本法の改正はその第一歩だ。★★★

白洲次郎 占領を背負った男 北康利
精撰 尋常小學修身書八木秀次監修
反日の超克 中国、韓国、北朝鮮とどう対峙するか西村幸祐
自民党を壊した男 小泉政権一五〇〇日の真実読売新聞政治部