チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

大きな背中

その話を聞いて、俄には信じられず、しばらくはなんだかふわふわと雲の上を歩いているような感覚だった。

しかしお通夜の式場に入り、実際に壇上に遺影と愛用していたサックスとキーボードが飾られてあるのを見た瞬間に、やっと事実なんだと受け止める事ができた。

その遺影は、全ての者を納得させる説得力を持っていた。

あの笑顔に救われた。

思えば目の前にはいつも彼の背中があり、俺は常にその背中を追いかけていればよかった。

しかし、こんなにも長い間近くにいてくれたのに、俺にはついに背中しか見えていなかった気がする。

俺にとって余りにも大きかったその背中が、突然目の前から無くなってしまうなんて考えた事もなかった。

いつの日か、背中ではなく、しっかりと肩を並べて歩きたかったが、その夢はついに叶わなかった。

上田現さん・・・いや、

大先輩に向かってこれまで一度もこの呼び名を使ったことはなかったが、今初めてこう呼ばせてもらいます。

ありがとう、現ちゃん。