チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

9月に読んだ本

陸奥宗光とその時代岡崎 久彦
小村寿太郎とその時代岡崎 久彦
あいうえおちゃん森 絵都 荒井 良二
週刊新潮」が報じたスキャンダル戦後史新潮社

陸奥宗光とその時代陸奥宗光とその時代
(1999/10)
岡崎 久彦

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7月に読んだこの著者の『重光・東郷とその時代』が面白かったので、同じシリーズを時代をさかのぼって読んでみる事にした。

まずは明治維新から日清戦争までの明治初期の日本外交を担った陸奥宗光について。

幕末の紀州藩にに生まれ、重臣だった父が幼少の頃に失脚。失意と貧困の日々を送るが、幕末の動乱期に勝海舟坂本龍馬に薫陶。

そういえばこの人って海援隊に入っていて、龍馬暗殺のあと有名な天満屋事件に関わったりしてるんだよね。ただこの本ではその辺りはほとんど触れられず、主に明治に入ってからの活躍に焦点が置かれている。

明治初期の決して高くなかった日本の地位を、大国に肩を並べるまでに高め、ついには日清戦争に勝ち、不平等条約を改正して名実共に大国の仲間入りをするに至る道のりは、この陸奥宗光伊藤博文という類い稀なる知性と能力の持ち主による優れたリーダーシップによるものだったことがよく分かる。

一歩間違えば大国に飲み込まれかねない危険な時代に、日本がこうした希有な才能を持っていたという事は幸運でもあり、明治時代の日本国民の民度の高さを象徴している。

★★★★★

小村寿太郎とその時代―The life and times of a Meiji diplomat小村寿太郎とその時代―The life and times of a Meiji diplomat
(1998/11)
岡崎 久彦

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続いて同じシリーズの時代が少しおりて主に日露戦争の時代に活躍した小村寿太郎について。

歴史の授業でも習ったポーツマス条約が有名だね。

それにしてもやっぱり日露戦争というのは、我が国の歴史上において最も大きな存亡の危機であったこともあり、一つ一つの事象がとてもスリリングで血湧き肉踊る。

普通に考えたら全く勝ち目のなさそうに見える大国ロシアとの戦争。それはこれより速すぎても遅すぎてもいけなかった開戦のタイミングから始まって、兵力の投入の仕方、海軍と陸軍の連携等々、そこには緻密に練られた戦略があった。それ以外にも日英同盟をはじめとする各国に対する根回しや謀略、その全てが目的を一つにしていたため統制が取れていた事が勝利につながった。

もしこの戦争で負けていたとしたら、その後の歴史の中で日本という国は消滅してしまっていた可能性が非常に高い事を考えると、今の時代にこの国で生きる我々日本人にとって、ここで力を尽くして戦った人々に対していくら感謝しても足りない。

しかしこの時に結果的に全てが上手くいき過ぎた為に、後の昭和に入ってからの軍部の過信につながってしまうのだが・・・。

そんな中、外交の中心を担った小村寿太郎の働きはすさまじい。ここまで信念と気骨を持った外交官が今の時代にいるのだろうか?

★★★★★

あいうえおちゃんあいうえおちゃん
(2001/05)
森 絵都荒井 良二

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スパマのPV撮影の小道具としてタイトルだけで何となく図書館で借りてきたのだが、これはヤバイ!!!

ハッキリいって子供が読む本じゃないよこれ。意味わかんねーだろ~!!!

返してしまって手元にないので詳しくは忘れてしまったが、あいうえを・・・の一つ一つから始まる言葉を並べて、それに挿絵がついているのだが、まずその言葉の選び方が尋常じゃない。ブラック満載だ。

そしてこのイラスト!!!!!

全てが爆笑。サイコーだよこれ!!!

でも自分の子供には読ませたくないな。

★★★★★

「週刊新潮」が報じたスキャンダル戦後史「週刊新潮」が報じたスキャンダル戦後史
(2006/02/16)
新潮社

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内容はタイトルの通り。

戦後に起きた様々な事件を、当時の記事がどう伝えたかを知るのにはとても興味深かった。

ほとんどは知ってる事件だったが、知らない事件に関してはその事件の概要がよく分からないので、記事に書かれている事も意味不明な事も多々あった。

中には歴史的なスクープもあったりして、その記事が社会に与えた影響や、その第一報がどう書かれていたのかなど、当時の生々しい社会の空気が感じられて中々面白かった。

★★★