チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

2月に読んだ本

今月は上橋菜穂子守り人シリーズ』一気読みはもったいないのでちょっとお休み。

誰も国境を知らない

揺れ動いた「日本のかたち」をたどる旅

西牟田
皇太子さまへの御忠言西尾 幹二
団地巡礼

日本の生んだ奇跡の住宅様式

石本 馨
団地の見究大山 顕
「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ 谷岡 一郎

誰も国境を知らない?揺れ動いた「日本のかたち」をたどる旅誰も国境を知らない?揺れ動いた「日本のかたち」をたどる旅
(2008/09/26)
西牟田

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3年前に読んだ、

僕の見た「大日本帝国」僕の見た「大日本帝国」
(2005/02/01)
西牟田靖

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がとても面白かった著者の本。

前著では、かつて日本の領土だった地で、鳥居や建造物といった日本統治時代の遺物を見つける旅のルポだったが、今回は現在の我が国の国境地帯、北は北方領土から南は沖ノ鳥島、はては硫黄島までを巡る旅。

微妙な国境地帯という事もあって、その中には北方領土竹島尖閣諸島といった、近隣諸国との領有権を争っている地も含まれる。

前著でもこの著者の目の付けどころにはうなったが、今回も日本人としては重要な地であるにも関わらずなかなか訪れる事の出来ない地の探訪記というアイデアはとても興味深い。

政治的にも微妙な地ではあるが、この人のスタンスは至ってニュートラル。

ごく淡々と見たまま思ったままが綴られるのがとてもいい。

周囲を海に囲まれている事によって、日本人には『国境』という意識にもう一つ実感が湧かない。

しかし他国における国境意識の強さを目の当たりにするにつけ、日本国民としてもっと国境に関心を払う事が必要だと感じた。

★★★★★

皇太子さまへの御忠言皇太子さまへの御忠言
(2008/08)
西尾 幹二

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20代くらいまでは戦後左翼教育のお陰で皇室なんぞ不要なものだと思っていた。

しかし大人になった今では、日本においての皇室の必要性とありがたみが痛いほどよく分かるようになった。

それからというものずっと皇室ウォッチが俺の趣味になったわけだが、ここ数年の特に東宮(皇太子)周辺の不可解な出来事には何かモヤモヤした感じが付きまとい、非常に心を痛めていた。

そこに加えて三年前に小泉総理が打ち出した皇室典範改正問題、あれは本当にヤバかった。

このままでは皇室が消滅の危機、と憂慮している所になんとビックリ、秋篠宮家に悠仁親王の誕生!

これは奇跡だ。

言葉は適切ではないかもしれないが、やっぱり日本には「神風」というものが存在するんだと思った。

そうでなくても、長い日本の歴史の中の様々な神々の意思のようなものを感じたくらい、俺にとっては奇跡的なニュースだった。

その時の気持ちは2006年2月8日の日記に詳しく書いてます。

ひとまずこれで皇位継承問題は時間の猶予が出来たわけで落ち着いたはずなのだが、やはりどうも皇室内でコミュニケーションが上手く取れていないと思われる状況や発言が続いている。

この本はその辺りの疑問に大いにヒントを与えてくれる本。

それでもまだ奥歯に物が挟まった間は拭えないが、それにしても様々な疑問のヒントがここには書いてある。にわかには信じ難い事まで触れている。よくぞここまで書いてくれたと思う。

日本国民全てに緊急に読んで欲しい本。

★★★★★

団地巡礼 日本の生んだ奇跡の住宅様式団地巡礼 日本の生んだ奇跡の住宅様式
(2008/04/01)
石本 馨

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はい、毎度おなじみ団地本です♪

今回は全国選りすぐりの団地を巡った写真集。

写真はどれも雰囲気があってとてもよい。

著者は廃墟写真家でもあるようで、後半は取り壊し寸前の廃墟と化した団地のオンパレード。

俺も同じく廃墟好きなのだが、人の生活感が色濃く残っている団地がその役割を終える時、廃墟としてもとても味のあるものになる事に初めて気がついた。

今は日本全国でこの光景が繰り広げられている。

時間はあまり残されていない。

★★★★★

団地の見究団地の見究
(2008/03/28)
大山 顕

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団地を独自のジャンルによって分類し、まるでカタログのように図説する本。

写真も綺麗だし、カテゴリ分けも面白いし、何より解説文がシャレが効いてて面白い。

造形マニアや建築マニアにはたまらない本だろう。

ただ取り上げられているのが10階建て以上の高層団地ばかりで、俺のイメージする『団地』とはちょっと違う。

★★★★

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)
(2000/06)
谷岡 一郎

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新聞やテレビなどで頻繁に出てくる世論調査や学問や政治の世界で用いられる様々な調査データ、これらは通常ごく当たり前のように引用されて話が進められる。

しかしその調査の仕方が、まず結論ありきでそこに誘導する為に意図的に設問や調査対象が仕組まれる事が多い。

新聞社が行う内閣支持率など政治的な案件でそういった手法がしばしば用いられる事はよく知られている。

この本では、そのテクニックや、調査者の「意図」を受け取る側が見抜く意識が語られる。

著者はそれを「リサーチ・リテラシー」と呼ぶ。

マスコミによるそういった情報を目にした時に、まずは疑って掛かる事。

リサーチ・リテラシーを身につけ、全てを鵜呑みにしてしまわず、その裏にある意図を自分の頭でよく考える事が必要だということを痛感した。

★★★