チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

1月に読んだ本

江戸川乱歩全集 第8巻 目羅博士の不思議な犯罪

        第9巻 黒蜥蜴

江戸川乱歩
ザ・ビートルズ全曲バイブル

公式録音全213曲完全ガイド

日経エンタテインメント
昭和10年東京郊外電車ハイキング〈上〉

                〈下〉

荻原 二郎
総天然色のタイムマシーン

―フルカラーでよみがえる地方私鉄の黄金時代

諸河 久 吉川 文夫
20世紀なつかしのローカル私鉄井上 広和 坂 正博

目羅博士の不思議な犯罪―江戸川乱歩全集〈第8巻〉 (光文社文庫)目羅博士の不思議な犯罪―江戸川乱歩全集〈第8巻〉 (光文社文庫)
(2004/06)
江戸川 乱歩

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『目羅博士の不思議な犯罪』『地獄風景』『恐怖王』『鬼』『火縄銃』『殺人迷路』『悪霊』『妖虫』

さあこの辺りに差し掛かると、さすがの乱歩も息切れやネタ切れが目立つようになってくる。

何編もの大衆向け長編の連載を終えた乱歩が休載を繰り返していた頃の、やや不調な時期の作品集。

それでも表題作『目羅博士の不思議な犯罪』は、乱歩流の幻想文学的味わいが見受けられるが、その後の『地獄風景』はヤケクソ的なハチャメチャ、『恐怖王』に至っては乱歩の作品の中でもトップクラスの下らなさ。

いや、その下らなさがまたたまらないのだけれども。

『鬼』は舞台となった線路脇の情景が独特の雰囲気を醸し出し、比較的持ち直した中編といえる。

『悪霊』も、出だしはかなり期待させる本格路線なのだが、惜しいかな中途で投げ出し未完となってしまった。

これは是非続きが読んでみたいのだが、乱歩本人の中では全く破綻してしまって続きなど書きようがなかったようだ。

『妖虫』はいつもの大衆路線に戻って何とか体裁を保った作品だが、もはやネタ切れは隠せず、気の抜けたようなものになってしまった。

★★★★

江戸川乱歩全集 第9巻 黒蜥蜴 (光文社文庫)江戸川乱歩全集 第9巻 黒蜥蜴 (光文社文庫)
(2003/10/10)
江戸川 乱歩

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『黒い虹』『黒蜥蜴』『人間豹』『石榴』

ネタ切れ気味スランプに陥っていた乱歩だが、『黒蜥蜴』では一転、勢いを取り戻す。

言わずと知れた,後に三島由紀夫によって舞台化される名作。

珍しく女悪役というのが、乱歩に新鮮な発想をもたらしたのだろう。

『人間豹』は、やや大味な作品ではあるが、それでも全盛期の大衆向け演出展開はやはり乱歩ならではのもの。

~ああ、あれが人間の舌であろうか。まっ赤な肉の表面に、針を植えたような一面のささくれ。それが、舌を動かすたびに、風に吹かれた草むらの感じで、サーッと波打って逆立つのだ。決して人類の舌ではない。猫属の舌だ。神谷は猫を飼ったことがあるので、そういう舌の恐ろしさをよく知っていた。兇暴な肉食獣の舌、猫か虎か、でなければ豹の舌だ。~なんて描写は乱歩の独壇場。く~たまらんねえ!

『黒い虹』は連作の一部、『石榴』は久々の本格探偵小説。

★★★★

ザ・ビートルズ全曲バイブル  公式録音全213曲完全ガイドザ・ビートルズ全曲バイブル 公式録音全213曲完全ガイド
(2009/12/03)
日経エンタテインメント!

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ビートルズのリマスター盤発売に当たって、解説書が沢山出たが、これがおそらくは決定版。

お値段は5,800円とかなりお高いが、リマスター盤と共に末永く楽しむ上でそれ相当の価値はある。

この本と『ビートルズ・レコーディングセッションズ』(最近完全版が出た!?)の二冊で、現時点でのビートルズのレコーディング面での研究は完璧だろう。

ビートルズの全曲を一曲ずつ録音データを基に詳しく解説。

面白いのは、アルバム収録順ではなく、レコーディングされた順番で並べられている事。

アルバムを聴きながらページを繰るのには不便だが、この本の順番に曲を聴いていけば、まさしくビートルズが録音していった順番なので、ビートルズの驚異的な成長ぶりを追体験することができる。

もちろん後期になるとオーバーダブが前後して行われるので、その限りではないが。

非常に細かい考察がなされており、とてもありがたいし、この本で初めて知った事実も沢山あるのだが、何カ所か「いや、これは違うだろ???」という部分もある事も事実。

この辺は永遠のテーマなんだろうね。

またそれが面白い。

★★★★★

昭和10年東京郊外電車ハイキング〈上〉 (RM LIBRARY(70))昭和10年東京郊外電車ハイキング〈上〉 (RM LIBRARY(70))
(2005/05)
荻原 二郎

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昭和10年 東京郊外電車ハイキング〈下〉 (RM LIBRARY(71))昭和10年 東京郊外電車ハイキング〈下〉 (RM LIBRARY(71))
(2005/06)
荻原 二郎

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これは素晴らしい!!!

主に1930年代に学生だった著者が、休みの日に東京郊外に電車に乗って遊びに行く際に残した貴重な電車の写真。

よくぞこんな写真を残してくれたものだ。

おまけに画質も素晴らしく、80年前の電車、風景,人々の姿が、つい昨日のようにその姿を目の前に残していてくれる。

★★★★★

総天然色のタイムマシーン―フルカラーでよみがえる地方私鉄の黄金時代総天然色のタイムマシーン―フルカラーでよみがえる地方私鉄の黄金時代
(1998/08)
諸河 久吉川 文夫

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古くは1950年代から70年代まで、まだ当時では珍しかったカラー写真で地方私鉄を追いかけた、これもまた貴重な写真集。

やはりカラーだと、伝説としてしか見られない昔の光景が、途端に現実のものとして見えてくる。

それにしても誠に個性的な数々の地方私鉄たち。

今ではこのほとんどが失われてしまった事が本当に残念で仕方ない。

★★★★★

20世紀なつかしのローカル私鉄 (ヤマケイレイルブックス)20世紀なつかしのローカル私鉄 (ヤマケイレイルブックス)
(2001/11)
井上 広和坂 正博

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これはもう少し時代が下って、主に80年代、最後の働きを見せていた地方私鉄たち。

この辺になると辛うじて自分も記憶があり、実際に乗ったものもいくつかある。

この表紙の別府鉄道(兵庫県)なんかは、これ目当てにわざわざ乗りに行ったものだ。

その数年後にあっさり廃止されてしまったので、そのとき乗りに行っていて本当によかった。

この当時の地方私鉄の自社車両たちは本当に個性的で見ていて飽きない。

今はそういった車両はもう完全に絶滅してしまった。

無個性な車両ばかりでつまらない。

★★★★★