チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

ビートルズ・リマスタリング

ザ・ビートルズ・ボックスザ・ビートルズ・ボックス
(2009/09/09)
ザ・ビートルズ

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ビートルズリマスタリングBOXセット。

届いてからというもの、じっくりと鑑賞する時間があまり取れず、少しずつ少しずつ、とりあえず一通り全て聴き終わりました。

そしてそれに当たって素晴らしいお供を手に入れました。

ザ・ビートルズ全曲バイブル  公式録音全213曲完全ガイドザ・ビートルズ全曲バイブル 公式録音全213曲完全ガイド
(2009/12/03)
日経エンタテインメント!

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¥5400というお値段はかなり勇気がいったけど、思い切って買っちゃいました。

これはなかなか素晴らしい。

ビートルズの全楽曲のレコーディングデータが全て網羅されており、この本と『ビートルズ・レコーディングセッション』の二冊でビートルズのレコーディングのほとんどの部分が解明出来る。

まさにビートルズの百科事典。

まずBOXを一通り聴いた第一印象。

世によくある旧作のリマスターにありがちな、全く別作品に思えるような劇的な印象の違いはなかった。

どちらかというと派手な音質変化というよりは上品な音楽的な聴感UPという感じ。

まだ単純に一度聴いただけの印象なので、もしかしたら旧作と聴き比べたらかなり変わっているのかもしれないけどね。

その辺の聴き比べはそのうちまたじっくりと。

リマスタリングの音質変化以前に最も印象的なのはやはり何といっても初期作品のステレオ化だ。

これはやっぱり感動的だ。

CD以前のアナログ盤ではステレオだった記憶があるが、その時感じた左右泣き別れの非常に聴きづらい感覚は不思議と今回は感じなかった。

何でだろう?

もしかして多少音像がセンターよりになってる???

それとも単純に耳が慣れただけかな?

ステレオ化された事で、ジョン・ポール・ジョージ・リンゴ、それぞれ4人がどんなプレイをしているかがとてもよくわかる。

まず初期作品を感じて思ったのが、4人の演奏力の高さ。

まずジョンの歌の上手さ。

これはステレオ化というよりはリマスタリングの効果だろうけど、ジョンの息づかいまでもが生々しく耳元に迫ってくる。

特に初期のロックンロールナンバーでのジョンのVocalは全世界一だ。

そしてポールのベース。

やっぱり初期でもビートルズサウンドを引っ張るのはポールのベースとリンゴのドラムのコンビネーションだ。

楽曲をリードするベースプレイをするようになったのはビートルズ中期以降という印象があったが、初期においても後期のプレイへ進化する片鱗は多分に見せている。

例えば、後期の『While My Guitar Gentry Weeps』などで有名な、ルートと5thのダブルノートプレイ。

これ、よく聴くと実は初期の頃からやってたんだね。知らなかった。

記念すべき1stアルバム一曲目の『I Saw Her Standing There』にして、これほどシンプルでカッコイイロックンロールナンバーはその後未だかつて存在しない。

リンゴのドラムはもう初期の段階からほとんど完成されていて、曲をグイグイ引っ張る。

初期作品では片チャンに寄ってる事が多いのだが、他のチャンネルへのカブリの音とあいまって、その生々しさはまるで目の前で鳴っているようだ。

これが今回のリマスターの一番の効果かな?

後期作品でも例えば『Come Together』のバスドラやタムの生々しさは鳥肌が立つ。

ジョージのギターは、以前は初期は拙い印象があったが、なかなかどうして、初期作品でも非常に渋~いプレイをしている。

これはステレオ化された事でよく演奏が見えるようになった。

今回のリマスターで、一番変化を感じたのもやはりステレオ化された初期作品。

中でも初期作品のバラードナンバー、例えば意外な事に『蜜の味』とかは全く印象が違う。

ポールのボーカルが素晴らしいし、演奏もむちゃむちゃ渋い!

昔はどちらかというとスキップしちゃうナンバーだったんだけどね。

ザ・ビートルズ全曲バイブル 公式録音全213曲完全ガイド』を読んで初めて知ったんだけど、一発録音のはずの1stアルバムでギターの音が三本聴こえる謎。

これってジョンのギブソンのアコギを、マイクで拾った生音と別に、アンプにつないだ音も使っていたんだね。

これで謎が解けました。

あと変化を感じたのは意外にもアルバム『Let It Be』かな。

これは元々モコモコした印象だったのが、今回はかなり生々しくなった気がする。

特に『The Long And Winding Load』のストリングスなんかはとても艶っぽい。

何かと評判の悪いこの曲のフィル・スペクターアレンジだが、こうして改めて聴くとなかなかいいじゃないか。

まあ女声コーラスは確かに余計だけどさ。

↑これはフィル・スペクターのアレンジが加わる前。

今回のリマスタリングで、以前はあまり好んで聴かなかった初期のバラードやアルバム『HELP』なんかは改めてその魅力に気付かされた。

反面、『Beatles For Sale』あたりはその完成度の低さが余計に目につくようになってしまった。

当然『ラバーソウル』~『アビイロード』に至る傑作アルバムの数々は言わずもがなではありますが、更にその凄さが際立っています。

とまあ色々書きましたが、これはとりあえず一通り聴いた段階での第一印象です。

これから更に聴き込んで、旧作と聴き比べたりなんかするとまだまだ新たな発見があったり印象も変わってくると思いますので、その辺はまたいずれ。

まあ何にしても一生モンなので、¥30,000の価値は充分。

これから永きにわたってじっくりとつき合って行きたいと思います。