チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

今年もこの季節がやってきた

毎年恒例戦争を語るNHKスペシャルを続けて二本観た。

まずはシベリア抑留者のお話。

どういうわけか壮絶な歴史の割には今ひとつ語られる事の少ない印象のシベリア抑留。

今回は主にソ連が収容所で行った抑留者に対する赤化洗脳工作について。

他に一切何の情報もなく情報に飢えた状態で、スターリンを讃える「日本新聞」を読まされ毎日洗脳教育を施されたらそれはひとたまりもないだろう。

とはいえ取材に答えるのはその工作に抵抗した人達ばかり。

その他赤化された大部分は帰国をエサにされて装っていただけで、帰国後「アカ」のレッテルを貼られ大変な苦労をしたが、それでもその中の一部の強力なアクチブは日本に送り込まれた後マスコミ界に入り戦後の日本赤化工作を担ったとされているだけに、当事者たちの口はまだまだ重いようだ。

当然墓場まで持っていくという人がほとんどだろう。

唯一「反ファッショ」側の人が同胞たちに対して「申し訳ない」という言葉を絞り出していたのは印象的だった。

もちろん気の毒ではあるがとても勇気がある発言だった。

それにしても生き残りが語る収容所内で行われた吊るし上げの様子は、その二十年後の連合赤軍山岳集団リンチ殺人事件と全く同じ構図。

密告→集団吊るし上げ→リンチ粛正→収容所という流れはソ連、中国、北朝鮮等々、共産主義国家どこにでも現れる現象。

共産主義がこの道をたどるのは必然なのか。

もう一本はアッツ島に始まる日本軍玉砕のお話。

しかし今日までアッツ島アリューシャン列島にある事を知らなかった。

何となくイメージだけで南方だと思っていた。

自分の無知を恥ず。

先の戦争でのまぎれもない悲劇の一つである玉砕戦法。

日本軍がこういった方向に向かった要因はひとえに「生きて虜囚の辱めを受けず」の戦陣訓にある。

この戦陣訓の罪は非常に重い。

こちらも語ってくれた生き残りはもう90歳近く。

この歳で初めて口を開くという人もまだまだいるようで、貴重な体験を語ってもらう残された時間は少ない。