私はなぜ麻原彰晃の娘に生まれてしまったのか
~地下鉄サリン事件から15年目の告白~ | 松本 聡香 |
三国志 (2) | 吉川 英治 |
「A」
―マスコミが報道しなかったオウムの素顔 | 森 達也 |
私はなぜ麻原彰晃の娘に生まれてしまったのか ~地下鉄サリン事件から15年目の告白~ (2010/04/24) 松本 聡香 商品詳細を見る |
著者は事件当時5歳だった麻原彰晃の四女。
教祖の実の娘であり生まれた時から社会から隔絶されて育った著者の人生は、ある意味「狼に育てられた少女」的な意味合いもあり興味深いが、その内実は想像を絶するものであり非常に壮絶。
しかし現在は教団や家族とも決別し、独自の道を歩む。それは現在でも教団で絶大な権力を誇る三女と教祖の後継者とされる長男の間に産まれたという微妙なポジションが、彼女が教団から一歩引いた視点を持つことができた要因かもしれない。
本の内容は、父である教祖の家庭での素顔から事件後の教団の権力争いなど、非常に事細かく驚くべき重要な内容が明らかにされる。中でも拘置所での面会の際の麻原の行動から父を詐病であると断言したり、現在の教団も非常に危険な状態にあると指摘する部分は最も衝撃的である。
そして最も興味深いのは死刑判決を受けた元信者たちの人物評。手紙のやり取りも引用しており、彼らの意外な人となりがわかる。このような非常に貴重な本を書いた彼女だが、現状まだまだ危なっかしい感は拭えない。これほど衝撃的な内容を明らかにしてしまったことも含め、今後の彼女の行く末が心配である。
★★★★
「A」―マスコミが報道しなかったオウムの素顔 (角川文庫) (2002/01) 森 達也 商品詳細を見る |
サリン事件後オウムに破防法適用かという騒然としている時期に、オウム内部に入り込んでそこから外の世界を見てみるという趣旨で、主に当時の広報副部長荒木浩を追いかけて作られた映画。その監督が撮影の発端から公開までを記したもの。
公開当時は賛否両論でかなり話題になり見たいと思いつつも結局未見のままなのでよくわからないが、その森氏の手法が既存マスコミと相容れないものだったので、当時は特にマスコミからの反発が強かった気がする。それ以外にももちろん犯罪集団の側に立った立ち位置も批判の対象になった。
しかしこの本を読む限りでは特にオウムを擁護するでもなく批判するでもなくありのままを記録したという印象。その切り口は正直青臭い部分が鼻につき支持はできないがが、こういうやり方もあっていいと思う。
自分も事件当時何度か信者と話したことがあるが、社会の騒がしさと対照的に末端信者たちは意外なくらいに無防備で淡々とワークしていた。その雰囲気は共通する。映画の方もこの機会に見てみたくなった。
★★★
三国志 (2) (吉川英治歴史時代文庫 34) (1989/04/11) 吉川 英治 商品詳細を見る |
董卓の暴政から呂布の手による董卓暗殺、群雄の割拠、曹操の躍進、孫策から玉璽を手に入れた袁術の秘めた野望、といったあたりまで。数多の英雄が段々と力を持つに至る経緯はワクワクする。
★★★★