舞の海秀平『土俵の矛盾~大相撲混沌の真実~』
朝青龍バッシングにはじまり八百長疑惑などここ数年の大相撲をめぐる報道に強烈な違和感を感じていたが、この書で舞の海がその全てを代弁してくれていた。
全面的に共感。
大相撲は行司の装束やちょんまげ土俵祭りなど神事や伝統芸能の一面があり、白黒はっきりさせる他のスポーツ格闘技とはそもそも一線を画す別物である。
観る側も取組に人情が絡むのはハナから織り込み済みで、昔から変な取組みがあれば好角家が「真面目にやれ〜」と愛のこもった野次を飛ばして終わりだったはず。
そんな矛盾と大らかさを包含した大相撲を外部からスポーツ格闘技の視点で批判することにそもそも大きな間違いがあると思う。
現在の中国の歴史は毛沢東によって創られたものであり、その偽りの歴史を我々日本人も信じこまされている。
という前提で別の視点から中国史を客観視すると全く違う側面が浮かび上がってくるという本。
確かに中国史のみならず日本史すらも階級闘争史観で教えられたな〜。
角田光代『八日目の蝉』
主人公の女には全く共感しないどころか嫌悪感しかないが、溢れ出る感情と物語の展開のテンポの良さに一気に読ませる。
途中視点が希和子から恵理菜に移る流れと終盤の盛り上がりはお見事。
読後大きな余韻が残った。
またドラマを観直したくなった。(映画はイマイチだった)