チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

Little Glee Monster 『だから、ひとりじゃない』におけるハーモニーの新境地

リトグリ

 

リトグリの新曲『だから、ひとりじゃない』がいい。

リリース以来毎日何度も聴き込んでいるが、カップリングを含めて4曲とも非常によく出来ている。

 

一通り聴いてまず気がついたのは、これまでの6人の時と比べて歌とハーモニーの質が明らかに変化したこと。

その要因は色々あるが、もちろん最大の要因はメンバーがこれまでの6人から5人に減ったこと。

それは厚みと声質面で当然の変化であることは間違いないが、それに加えてもう一つはビブラートを封印したことではないだろうか。

元々大げさなビブラートは使わない上に、最近益々そういう方向に向かいつつあるのは感じていたが、今作で完全にビブラートを封印した印象。

バラード曲のロングトーンなど「ここでビブラートかけたら気持ちいいだろうに」という部分でも頑なに揺らさないところを見ると、これは意図的に方針としてやっているのだろう。

そのおかげで今作は明らかにこれまでとハーモニーの質が変わり、従来の包み込むような柔らかいある意味年齢の割に老成したウェットなハーモニーから、硬質でストレートでドライな勢いのある若々しいものに変わった。

これは単純にビブラートの使い手でウェットな声質の持ち主だった麻珠が辞めたことだけではなく、それをきっかけに改めてハーモニーの質の方針転換があったと思われる。

 

これに関してはそれぞれ好みもあるだろうが、個人的には今後に向けて更にこの道を極めることを楽しみにしたい。

ビブラートを掛けないことで真っ直ぐで若々しいサウンドを表現できる反面、ごまかしが効かなくなり、よりシビアなピッチが要求されるという両刃の剣ではあるが、敢えてその茨の道を選んだ彼女たちの心意気に大いに期待したい。

彼女たちならこの道を極めてくれると信じている。

 

そしてその効果は早速このシングルで優れた効果を発揮している。

 

まず表題曲の『だから、ひとりじゃない』。

最初アニメのエンディングテーマとして一聴した時は「よくある普通のアニソンだな…」という印象だったが、何度も聴くにつれ、この若さ溢れる疾走感と硬質なハーモニーにハマってきた。

USJとコラボしたMVも非常に完成度が高く、話題になるだろう。

色々な意味で幅広い層にアピールできる楽曲で、もしかするとこれが大ブレイクのきっかけになるかもしれない。

 

2曲目の『幸せのかけら』。

楽曲は個人的にさほど好みではないが、ここでもリトグリの新境地の硬質なハーモニーが存分に楽しめる。大サビでの畳み掛ける「Ha!Ha!」コーラスは圧巻。

そして6人から5人に減ったことでこれまでよりソロパートが長くなり、それぞれの歌の個性と魅力が存分に発揮されるようになった。

特にこれまで麻珠の影に隠れる形になっていた、アサヒとかれんがいよいよその本領を発揮してきたのが嬉しい。特にアサヒの成長は著しいものがある。

 

3曲目『Go My Way!』

待ってました!ジャクソン5を彷彿とさせるサウンドのファンキーでポップなごきげんナンバー。

これぞリトグリの真骨頂。

デビュー当初と比べて最近のリトグリがJ-POP路線に歩み寄ってきたのをお嘆きのおっさんマニア(俺のことか)もこれで大満足。

個人的にも今回の中で一番お気に入りの曲。是非ライブで聴きたい。

 

4曲目『SEPTEMBER』.

言わずと知れたEW&Fの名曲のカヴァー。

カヴァーには定評のあるリトグリ、この曲もその例に漏れず非常に完成度が高く仕上がった。

原曲ファンにも新鮮に楽しめ、更に新たな魅力を伴って生まれ変わった。

特にかれんが水を得た魚のように大暴れ。カッコイイ!

 

4月のツアーを最後に、歌の面でのエース格だった麻珠が事実上脱退し、正直どうなってしまうのか不安もあったが、このシングル4曲で早々とその不安を払拭することが出来たのではないか。

若干の路線変更も強いられたが、どうやらそれも残った彼女たち5人の頑張りによって、成功しつつあると見ていいだろう。

まだまだ未完成な部分もあるが、これからそこがどう成長していくかをしっかりと見届けるのもファンとしての楽しみである。

 

Little Glee Monster の今後の無限の可能性にこれからもますます期待し注目していきたい。