チェリーの音楽幕府

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Little Glee Monster 『明日へ』を聴いて

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リトグリ待望の9thシングル『明日へ』がリリースされた。

まず表題曲『明日へ』は、記念すべきメンバー初の作詞による意欲作。

まず印象に残るのは、格段にアップしたメンバーそれぞれの歌の表現力。

前シングルでそれまでとは顕著な変化を感じた、硬質でストレートなハーモニーは、早くも完成の域に達している。

とはいえこの曲ではコーラスは必要最小限に(それでも凄い絡みをやっている)、バラードということもあってメインボーカルに脚光が当たる構成。
前作では封印していたビブラートも今作では控えめに解禁している。

曲調はバラードで歌詞もかなりヘビーなものであり、これが彼女たちを支持する若い女子にウケるかどうかは未知数だが、最近のシングル曲をやや物足りなく感じていた我々世代には久しぶりにズドンと胸打たれる名曲だ。

是非ともライブで生で聴いてみたい。

 

カップリング曲『COLORS』は、若い女子向けファッションショーのテーマ曲という事で、楽曲は正直取るに足らないものではあるが、そこはリトグリ、隅々まで張り巡らされたコーラスワークは素晴らしいものがある。

 

しかしこの2曲以上に一番驚いたのが『SAY!!! -Studio Live ver.-』。

ライブの定番曲であるこの曲、最初に収録曲が発表された時は、今さらスタジオライブバージョンなんて、正直「穴埋めか数合わせ的なものかな?」とタカをくくっていたが、実際聴いてみて驚いた。いやいやいやいやとんでもない!

全面に漲るこの気迫、一体感、音圧、そして研ぎ澄まされた緊張感はどうだ!

リトグリのかなり初期(メジャーデビュー前?)にレコーディングされた原曲は、個人的には正直さほど好きな曲というわけではなかったが、今回はテンポもライブ仕様にかなりアップされ、数え切れないほど歌い込まれてきたことで研ぎ澄まされてきた表現力は、この曲に全く新しい命を吹き込んだ。

あたかもマイルス・デイヴィスクインテットにおける『Walkin'』のように。

彼女たちが何故、敢えてこの曲のライブバージョンを収録したのか、それは、5人になり新スタートしたことで、更にパワーアップしたことを証明したかったのではないか。

そしてその意気込みは、とてつもない気迫とパワーと説得力でここに堂々と力強く証明されることとなった。

 

やはり彼女たちの魅力はライブにこそある。

近い将来のライブアルバムの発表が心から待たれる。

それどころか、何度でも言わせてもらうが、いつか出るであろう彼女たちのベストアルバムは、思い切って全曲ライブバージョンであってもいいとすら思う。

 

この意欲的な9thシングルは、新たな彼女たちの成長を証明するものとなった。