チェリーの音楽幕府

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Little Glee Monster 『OVER/ヒカルカケラ』を聴いて

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リトグリの新曲『OVER/ヒカルカケラ』が、前作『明日へ』から約2ヶ月という非常に短い間隔でリリースされた。

両A面のうちまず『OVER』は、人気アニメのテーマソングということで、最初テレビで聴いた時は「うーんいかにもアニソンね〜」という印象だったが、しっかり聴き込んでみると、明るく若々しい疾走感があり、元気があって非常によろしい。今後のライブでの盛り上がりの鉄板曲となっていくだろう。

昨日公開されたMVも、カラフルポップな仕上がりの中にもしっかりとアカペラや生歌を挿し込んでくるリトグリ独特の演出のクオリティは上々で、新たなファンの獲得が大いに見込まれる。



リトグリの曲は最初の印象がイマイチでも聴けば聴くほどその曲の魅力にハマっていくということが多いが、それはやはり何と言ってもリトグリならではの歌とハーモニーの圧倒的な力のなせる技なのだと思う。

もう1曲のスガシカオ書き下ろしの『ヒカルカケラ』も、最初の印象よりも聴けば聴くほど味わい深い曲。
メインパートを歌う芹奈も素晴らしいが、徐々に折り重なってくるコーラスパートが圧巻。このコーラスがあるからこそ、芹奈ソロ曲にはならずしっかりとリトグリクオリティの楽曲として成立している。これこそがリトグリの強みであり真骨頂。
歌詞においても、これまでのような同世代を鼓舞する自己啓発系応援歌からいよいよ脱皮して、こんな危なっかしくも切ないラブソングを歌えるようになってきたのも、表現の幅が広がる上で今後が非常に楽しみ。



この2曲を通したコーラスの質感も、かつての6人組だった時のウェットで包み込むような年齢不相応なくらいに老成したハーモニーから脱皮して、よりストレートで聴く者の感情に訴えかけるものになっている。
以前にも指摘したが、これは間違いなく彼女たちが意識的に行った変化と思われ、あれから半年が経過してそれは更に進化を遂げている。

しかしこの2曲以上に個人的にエキサイティングだったのは、カップリング収録された秋ツアーのライブ音源。
それぞれ『放課後ハイファイブ』『My Best Friend』『だから、ひとりじゃない』のライブバージョンが収録されているが、これがどれもこれも素晴らしくて何度も繰り返し聴いてしまう。
何度も歌い込まれたことによってそれぞれの歌の個性とパワーが爆発的に炸裂し、その荒々しさと激しい疾走感はパンクの衝動すら感じ、全体を通した楽曲の魅力はオリジナルバージョンを軽く凌駕している。しかしそんな中にあっても美しいハーモニーは全く破綻がないところが本当に素晴らしい。
個人的に以前から提唱しているが、是非ともベスト盤は全曲ライブバージョンでお願いしたい。
願わくは毎回のライブ音源を配信して欲しいところ。今この時期しかない貴重な瞬間を永遠に味わい尽くしたい。