チェリーの音楽幕府

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Little Glee Monster 3rdアルバム『juice』を聴いて

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リトグリ待望の3rdアルバム『juice』がついにリリースされた。

収録曲を眺めてみるとほとんどが何らかの形での既発曲で、まっさらの新曲は2曲だけ。
なので正直、ファンにとっては新鮮味には欠けるかな?と思っていたが、実際にアタマから曲順通りに聴いてみると、緩急織り交ぜながらベスト盤と言ってもいいほどのクオリティの高いあらゆるジャンルの曲が次から次へとやってきて、疾走感溢れる流れの絶妙の曲順。
それによって新曲はもちろん、さんざん聴き込んだはずの既発曲の良さにも改めて気づかされる。

リトグリを毎日聴いているファンでさえこうなのだから、このアルバムで初めてリトグリに触れる人はインパクトの連続でかなりビックリするのではないか。
最近はアルバムを曲順通りに聴くという慣習は薄れているかもしれないが、是非ともよく考え抜かれたこの曲順通りに聴いてみることをお勧めしたい。

そしてアルバム全体の印象だが、以前にも再三指摘している5人体制になってそれまでと質感が変化した若々しくハリの有る硬質なハーモニーが、更に進化を遂げている。
そしてメンバー個々の歌唱力とパワーが格段に成長しているので、それぞれの個性がぶつかり合ってそこに何とも言えない溌剌とした新たなエネルギーが生まれている。

中でも今回初出しの新曲『Love To The World』『Get Down』。
2曲とも最高じゃないか!こういう曲を待っていた!

『Love To The World』のどアタマが『Power To The People』っぽい。
タイトルも似てるし明らかにオマージュだろう。
ジョン・レノン命のmanakaもこれには喜んだことだろう。
ラストのYeah Yeah Oh〜コーラスがまたタマランのだなこれが。グッとくる。

そして『Get Down』はイントロのエレピのフレーズとハンドクラップからもう自然に体が動き出してしまう。
リズムといいシンセの音色といいメロディとコーラスの絡みといいモロに80年代洋楽テイスト満載で我々おっさん世代にはモータマラン(;゚∀゚)=3

やはりリトグリは70-80'sテイストの黒っぽいサウンドが一番本領を発揮する。
シングル表題曲はどうしてもJ-POPに寄せてしまうのは、戦略上仕方ないとわかってはいてもやや物足りなく感じているおっさんは、こういう曲一発でイチコロになってしまうのです。
これぞまさにおっさんホイホイ

そして昨年秋ツアーのOPとED曲が待望の音源化。
劇的に変化していく壮大なミュージカル的構成が感動的。
いつかリトグリの生バンドを従えたミュージカルを観たいと強く思う。

あとは中島みゆきのカヴァー『糸』の寄せては返すように張り巡らされたコーラスアレンジが素晴らしい。
どこかクリスマス風アレンジのこの曲を聴いて、今年は是非リトグリのクリスマスアルバムを聴いてみたいと思った。

一つ残念だったのは、『好きだ』のリメイクバージョン。
新規向けに5人編成で紅白披露曲を、という意図は十分理解できるのだが、折角ならば前作のスタジオライブバージョンのようにアレンジも一新してほしかったところ。
若干の楽器の差し替えとリミックスは為されているようだが、いかんせんカラオケを聴かされている感は否めなかった。
メンバー個々の歌の表現力は発表当時から格段に進化しているだけに余計にやや残念。

とは言っても不満点はこれくらいで、あとは5人の急激な成長を感じることができ、楽曲もクオリティの高い作品ばかりで、とにかく歌のパワーがビシビシと伝わってくる名盤だ。
今後長らく愛聴することになるだろう。

このアルバムを引っさげてのアリーナツアーが楽しみでならない。