チェリーの音楽幕府

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Little Glee Monster(リトグリ)12thシングル『世界はあなたに笑いかけている』を聴いて

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Little Glee Monster の12thシングル『世界はあなたに笑いかけている』がリリースされた。

といっても今回の表題曲は随分前からコカコーラのCMソングとして流れていてお馴染みなのであまり「新曲」という感じはしないが、リトグリのシングルとしては久しぶり(「My Best Friend」以来!)の「これぞリトグリの真骨頂!」と言うべき黒っぽいファンキーな曲調で、近作しばらくJ-POPに寄せた路線が続いていた事に「ファン層を広げるため」と一定の理解をしつつも若干の物足りなさを抱いていたおっさんファンには待望の本格路線で大喜びだ。

カップリングの『青い風に吹かれて』も、更にこれを上回るくらいのファンキーな楽曲で、静かなアカペラから始まりおもむろにドラムのフィルから始まる怒涛のような展開がメチャメチャカッコイイ。

今回のシングルのこの2曲はついにリトグリがその本性を剥き出しにしてきたと言え、ファンとしては快哉を叫びたいくらいに嬉しい。

強いて不満を挙げるならば、どちらも打ち込みでやや小ぢんまりとして聴こえること。出来ることならば生楽器のダイナミクスと奥行きで聴いてみたかった。

まあその辺は、ライブでは常にCD音源よりも更にレベルアップしたクオリティを聴かせてくれる彼女たちのこと、これから始まる秋のツアーを楽しみにしていよう。

ちなみにもう一曲のカップリングの「MY HOME」は、リトグリの楽曲には極めて珍しく個人的には全く引っかかるところがなく、敢えてノーコメントとさせていただく。
まあテレビの企画モノで出来た曲のようなので、致し方ないところか。

今回の3曲を通して歌の面で言えば、まず第一にとにかくかれんが水を得た魚のように縦横無尽に暴れまわっているのは衆目の一致する所だろう。
初期の頃はそのポテンシャルの割には縁の下の力持ち的役割に徹してリトグリの歌のレベルをガッチリと底支えしていた彼女の魅力が、ここに来てついに最前線に踊り出して存分に炸裂している。

もう一つ忘れてはならないのが、最近特に進境著しいアサヒ。
声の「抜け」が際立っており、ソロパートでもコーラスパートでも存在感を見せている。
それに加えて息の使い方などで表現力も増していて、強者揃いのリトグリの中においても全く引けを取らない独特の存在感を放つようになってきた。

最近のリトグリを見ていて感じることは、TVの歌番組などでの生歌の安定感とアンサンブルの完成度の高さ。
5人になってしばらくは声の出し方や語尾の処理、ビブラートの深さなども変えたりと試行錯誤が見られて不安定に聴こえる時期もあったが、ついにそれも完成の域に近づいたようで、最近は全く危なげなく常に安心して聴けるようになった。

間もなく始まる秋冬ツアーで、更に成長した姿を見せてくれるのが今からとても楽しみだ。

 


Little Glee Monster 『世界はあなたに笑いかけている』Short Ver.