チェリーの音楽幕府

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欅坂46 7thシングル『アンビバレント』を聴いて

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欅坂46の7thシングル『アンビバレント』がリリースされた。

個人的には前作『ガラスを割れ!』があまり好きではなかったので、今回のシングルではどう巻き返してくれるか興味津々だったが、正直今回はそれに更に輪をかけて残念な結果に終わってしまった。

それでも『ガラスを割れ!』の時はカップリングで『もう森へ帰ろうか?』『ゼンマイ仕掛けの夢』『半分の記憶』といった佳曲があったので楽しめたが、今回はカップリングの『Student Dance』『音楽室に片想い』『302号室』『I'm out』ことごとく残念ながら自分には響いてこなかった。
頼みの綱だったひらがなけやきの『ハッピーオーラ』でさえも単なる乃木坂の劣化版といった感じ。
唯一良かったのは、皮肉にもこれを最後に卒業してしまう今泉佑唯のソロ曲『日が昇るまで』のみ。これはとてもいい曲。MVがないので紹介できないのが残念。

何が自分には響かなかったかを考えてみると、楽曲の印象の薄さもさることながら、MVも含めた全体の世界観が、これまで作り上げてきた欅坂のイメージを自ら演じているように感じてしまったこと。

思い返せば2年前、衝撃的だった『サイレントマジョリティー』でデビューして以来欅坂46は、従来のアイドルの型にはまった仕草や表情や衣装へのアンチテーゼのようなスタンスで、極めて質の高い楽曲を続けざまに発表してきて毎回度肝を抜いてくれたところに大きな意義があった。

それが去年の『風に吹かれても』(これは楽曲の質は相変わらず高かったが)あたりからやや迷走感が出始め、前述のように今年の『ガラスを割れ!』でいよいよ疑問符が形となって現れた。

そして今回の『アンビバレント』ではそれまで毎回何かしらの形で感じていた「こう来たか!」という驚きは全く姿を消し、あたかも「ほら、欅坂ってこんな感じでしょ?」とでもいうような、それまでの自分たちの作り上げたイメージで膠着し、そのイメージの幻影で自縄自縛となり自家中毒に陥っているように見えてしまった。

何事も常に新しいことを継続してやり続けるというのは難しいことで、欅坂もその例に漏れなかったということなのだろうか。

時を同じくして、楽しみにしていた欅坂共和国のライブもやや不満の残る形で、いま自分の興味が急速に欅坂から離れつつある危機的状態である。

この膠着してしまったイメージを挽回するには、やはり新メンバーの加入で根底から活性化させるしかないのかもしれない。

折しも坂道合同オーディションが進行中で、近々新たなメンバーが入ることになりそうなので期待したい。

特に推しメンというわけではなかった今泉佑唯の卒業と同時に、自分の欅坂への興味も離れてしまうのか、また去年の今頃までのような度肝を抜くような新しい姿で驚かせてくれることになるのか。

自分にとっての欅坂はそこにかかっている。

今後の欅坂46の動きに注目したい。