チェリーの音楽幕府

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今更ながらの後追いで聴くユーミンアルバムレビューーその10ー(2013-2016)

長きに渡って荒井由実デビュー作『ひこうき雲』から1作ずつ追ってきたアルバムレビューもついに最新作までたどり着いた。

時代はいよいよ2010年代。還暦を迎えようとするユーミンである。

 

37POP CLASSICO('13)松任谷由実

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冒頭、オーケストラのチューニングから始まり、否応なしにワクワク感が刺激される中始まる『Babies are popstars』の最初のメロディーがとてもいい。
これは自身が産まれた時のことを歌っているのかな?

この曲を始め、他の曲もどこかクラシカルなフレーズを用いた曲が多く、オーケストラもふんだんに使われていて、まさに『POP CLASSICO』というタイトル通り。

しかしアルバム中の当たり外れの曲の差が大きい事が多いユーミン、今回の「当たり曲」が後半に集中していることで、最初聴いた時は途中でかなりテンションが下がって「今回はイマイチか」と感じてしまったのが残念。
何度も聴くといい曲もたくさんあることに気づくんだけど。
特にM9〜M12『Early Springtime』『夜明けの雲』『シャンソン』『MODELE』の名曲4連チャンは圧巻。
もうちょっとバラせばよかったのに(^_^;)

それ以外でも『Your Eyes Are Magic~終止符をおしえて』は70年代の頃のような懐かしい(古臭いとも言う)イントロから始まり、当時を彷彿とさせる余裕のアレンジでユーミン節満載の安心の良曲。

 この頃になるとユーミンの声の衰えを感じざるを得ないが、よく聴いてみると明らかに衰えたのはファルセット部分であって、低域部分は逆に迫力を増している。
昔は封印していたビブラートもバリバリ全開で、これはこれでシャンソン歌手のような年齢にふさわしい味わいが増しているとも言える。

しかしその表現も感情を込めすぎるとやや過剰でくどく感じる時もあり、その名も『シャンソン』などは、昔のような突き放すような歌い方だったら崇高な名曲になっていたのに…と思うとやや残念。

【この1曲】

『Early Springtime』

歳を取ってさすがユーミンとうなってしまう曲もまだまだあるのだが、正直昔のようなメロディのキレが薄れつつあるかな〜と感じていた所にこの曲。
ユーミン永遠の憧れプロコル・ハルムを彷彿とさせるオルガンのイントロから始まり、この全てがひれ伏す圧倒的なサビのメロディーときたらどうだ! 
いやいや、参りました。還暦目前でまだまだこんなメロディが書けるユーミン、さすがです。

 

38. 宇宙図書館('16)松任谷由実

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さあこれが現時点でのユーミンの最新作。ついにここまで来た。

『宇宙図書館』という壮大なタイトルの表題曲。
そのイントロから確信する高まる期待通りの、どこを切っても完璧な名曲。

この曲を筆頭に、今作はかなりの高レベルの曲が並ぶ。

『あなたに会う旅』は「これぞユーミン!」と言うべきとてもいい曲。
イントロのギターは自分には大貫妙子の『五番目の季節』を思い出してしまう。

『私の心の中の地図』もしみじみいい曲。

還暦を迎えてもまだまだユーミンの創作意欲は衰えていない。

ただやっぱり「この曲なんで入れたんだろう?」と疑問に感じてしまう曲もわずかにあるのがユーミンらしい。
例えば『星になったふたり』のチープなシンセの音は、まるで我々世代が学生時代に初めてアナログシンセ(JUNO106とかPOLY800とか!)を買って嬉しくてとりあえず作ってみました的雰囲気(ちょっと言い過ぎすみません)があるし、『月までひとっ飛び』は若い頃ならいざしらず、この歳になってどジャズをやられてしまうと、どうしても「ユーミンJAZZを唄う」的大御所歌手の企画モノの匂いがしてしまってどうもいけない。

ユーミンの歌の中で常に時を越えて、夢の中でも会いたい「あなた」や「君」はかつては別れた元彼だったものだが、年齢を重ねた今では、もう永遠に会えない死者を連想させるようになった。 
そういう意味で人生そのものを想起させる重厚な歌詞が多い。

【この1曲】

『宇宙図書館』

やはり表題曲のこの曲。
壮大なタイトルといい、感情を揺さぶられる歌詞といい、クラシカルで荘厳な曲調といい、全てが完璧で素晴らしい名曲。
これも死者を懐かしむ歌。

 

 

さて、ついに最新作まで追いついた。

次回はまた最初に戻って全てのアルバムを聴き直して、総括編としたい。

結構あとから聴き直すと最初の印象と変わっていたりするんだよね(^_^;)

 


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