チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

相撲

相撲は小さい頃から見ているはずだが、記憶の中に突如うかびあがってくるのは、輪島と北の湖の両雄並び立ついわゆる「輪湖時代」からだ。そこに若乃花(二代目)・三重ノ海がからんでいった四横綱時代は子供心にじつに面白かった。

中でも一番好きだったのは当時幕内と十両を行ったり来たりしていた若き日の千代の富士だ。その頃は細い身体のくせにやたらと力任せにブンまわして相手を投げ飛ばしては自分の肩を脱臼するというアホの繰り返しで、そのアンバランスさがすごく面白かった。

それが段々と身体ができてきてみるみるうちにムキムキマンになり、同時に相撲も変わってついには横綱にまでなってしまったのは本当に驚いた。その頃はまさかあんな大横綱になろうとは夢にも思わなかった。

その後好きになったのは何と言ってもハンパ相撲の栃赤城と速攻相撲の琴錦だ。どちらももう少しのところで大関になれなかったが、全盛期はものすごく強かった。今は何と言っても朝青龍。相撲の歴史上ちょっと見たことのないような力の使い方をする。大きな怪我をしないかそれだけが心配。

さて、ところでその輪湖時代の頃、毎月読んでいた相撲雑誌に「今場所の新弟子紹介」という記事があり、100人以上もいる新弟子一人一人の顔写真が載っていた。すると千代の富士のいる九重部屋に入門した一人の新弟子の写真に目がとまった。正直言えばメチャメチャ面白い顔だったんだよ。面白半分に「よし!これからこの人を応援しよう!!」と決めた。

彼はまずまず順調に出世していき幕下の下の三段目まで上がってきた場所のこと、当時僕は子供料金100円で入れる蔵前国技館に毎場所通っていた。そんなある日、国技館の二階の通路で偶然彼を発見した。このチャンスを逃してなるものかと勇気を振り絞って「一緒に写真をとって下さい」と声をかけた。まだ17歳くらいの彼は気軽に応じてくれた。

そんな彼のその後の活躍はこの時の写真を一生の宝物にしてくれた。

彼の名前を保志という。のちの横綱北勝海だ。