ここ数年、テレビドラマが異様につまらなくなって久しい。
かつては結構好きでよく観てた。
一番よく観てた頃は、1クールに4~5本は観ていた。
しかしここ数年は、最後まで観るものが年に2~3本くらいになってしまった。
その原因はハッキリしている。
女目線のドラマばかりになってしまった事に尽きる。
例えば、ジャニーズ等のイケメンをズラリと揃え、主役のヒロインはそのイケメン男子たちに囲まれ、かしずかれ、あ~あたしったらどうしましょうみたいな・・・ね。
夢見る少女の願望をそのまま実現しちゃいました~的な少女マンガの世界。
もちろんそういうドラマがあってもいい。
しかしみんながみんなそうなってしまったのはいかがなものか。
その上,更にその傾向がエスカレートしている。
この傾向は大河ドラマでは随分昔から現れていて、主役が男だとしても、必ずその側には優れた妻がいて、随所で主役の決断に大きな影響を及ぼす。
大抵大河ドラマの主役は歴史上の大人物なので、日本の歴史を動かした裏には必ずその妻が大きな役割を果たしている、というのが、ここ最近の大河ドラマのお約束だ。
大河ドラマをまともに観てたのは10年以上前の秀吉くらいまでか。
それ以降は最初の何回かで全く観る気が失せてしまうホームドラマばかりだ。
かつての重厚な男臭い大河ドラマはどこに行ってしまったのか。
最近では唯一面白かった『篤姫』も、まさにそのフォーマットそのままの単なるホームドラマだったのだが、これは例外的に宮崎あおいその他の演技が素晴らしかったのがそれを忘れさせてくれた。
幕末の激動の時代の重要な出来事のほとんどに篤姫が関わっていた・・・なんてまともに考えたらそんなわきゃないもんね。
まあ、今の時代にテレビドラマを観る大半の層が女性なわけで、作る側としてもターゲットに向けて作ればこうなるのは仕方がない。ある種の必然である。
それにしても最近のとある日のTBSの視聴率で、一日の中で最も視聴率が高かったのが夕方の水戸黄門の再放送だった、という笑うに笑えない話を聞いてテレビの堕落ここまで極まれり、と思ってしまった。
それには、もちろんドラマ以上にバラエティのつまらなさが更に大きな拍車をかけているんだけど、それはまた今度。
というわけで俺自身はここ数年、めっきりドラマを観なくなってしまった。
それが、前回のクール辺りから、少し変わってきた気がする。
前回は珍しく二つのドラマを最後まで完走した。
『アイシテル』と『白い春』。
どちらもジャニーズやイケメンとは無縁のドラマだ。
作る側も最近のこうした傾向に疑問を感じていることが少しずつ伝わってきた。
まず『アイシテル』は、少年犯罪の親という視点は新鮮で良かったのだが、あまりに加害者側の観点が強すぎて非常に違和感が残った。
あれでは被害者は殺され損だ。
特に家裁調査官の田中美佐子が被害者の親の佐野史郎に説教するところ、あれはいただけない。
その違和感が解消されることを期待して最後まで観たが、結局強い違和感が残ったまま終わってしまった。
『白い春』これはよかった。
最終回までは、近年稀に見る良作だと思っていた。
涙あり笑いあり、シリアスな部分もあり、阿部寛、ポニョちゃん、そして吉高由里子!
それぞれがとてもいい演技をしていた。
しかし・・・
最終回で全てぶちこわしだ!!!!!
なんだあの最終回は!!!!!!!!
それまでがとてもよかっただけに史上最低最悪の最終回だった。
もうこれ以上は触れたくない。思い出したくもない。
えーと・・・ここまでが前置きで、やっと本題です。
そんなこんながあって、今期のドラマが始まった。
何の前情報もなくいきなり『官僚たちの夏』を観た。
・・・これだ。
俺が求めていたのはこういうドラマだ!!!
戦後高度経済成長前夜、自らの信念と情熱に向かって突き進む男たち。
熱い。ひたすら熱い。
この熱さは、初期のプロジェクトXに通ずるものがある。
(あれはネタ切れになって以降は急速につまらなくなってしまったが)
最近流行のCGを駆使した当時の街並も素晴らしい。
佐藤浩市をはじめとした役者も皆個性派ぞろいでよくぞこれだけの役者を集めたと思う。
しかもジャニーズとは無縁なところが心意気を感じるじゃないか!!!
原作は城山三郎か。
この人の『男子の本懐』『落日燃ゆ』はどちらもものすごく感動した。
『官僚たちの夏』はまだ読んだ事がなかったので、是非原作も読んでみようと思う。
今のこの経済不況の先行きの見えないこの時代に、これはまたとない国威発揚ドラマだ!
そして今何かというと悪者扱いされるてしまう官僚の地位向上にも役立って欲しい。
こんなに胸熱くワクワクするドラマは一体何年ぶりだろう。
普段はHDDに録っておいて好きな時に観るのだが、こればかりはリアルタイムで観たいくらい次回が楽しみだ。
『日曜劇場 官僚たちの夏』