~五日目~
誕生日のこの日の朝食は喜多方市内のお店でいわゆる「朝ラー」。
朝からラーメンの風習があるらしく、朝7時台から営業しているお店もあるここ喜多方。
なるほど基本スープはさっぱりしているのでこれなら朝から食べても大丈夫。
天守閣は戊辰戦争の後に薩長政府に取り壊されて以降、何もない状態だったのを昭和40年代に再建したもの。
当初の予定ではここから猪苗代湖に戻って磐越道~東北道で帰って来るつもりだったが、道の駅でもらったパンフレットを見ているうちに、ここから更に進んで只見川を只見線に沿って新潟県に抜けてみたくなった。
只見線はかつて青春18きっぷを使って何度か豪雪期に乗りに来たことがあるので、いい所だというのは充分わかっている。
今回はどか雪に覆われた真冬ではなく、夏の景色を見てみたくなった。
というわけで、いざ西へ!
途中、金塔山恵隆寺の重要文化財『立木千手観音』へ立ち寄る。
この観音様は弘法大師が自ら彫ったと言い伝えのある由緒正しきもの。
一本の木から彫られた仏像では日本最大級の高さ8.5m、今でも下には根が生えているとのこと。
その両脇には毘沙門天や阿修羅王をはじめとした二十八部衆と風神雷神が勢揃いで守っている。
それは壮観でございました。
恵隆寺本殿。この中に観音様がいらっしゃいます。
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この日の風呂は恵隆寺にほど近い『糸桜里の湯ばんげ』へ。
ここで湯上がりに駐車場に出た所で信じ難いほど大きな満月が昇って来た。
今年の誕生日はこの満月によって忘れられないものになった。
食事は次の目的地、会津柳津に向かう途中に見つけたレストランで、誕生日ということで普段は全く食べないビフテキなんぞを。
福島牛かもしれんがカンケーねえ。
そしてかなり遅い時間に今宵の宿泊地、道の駅会津柳津に到着。
~六日目~
柳津という町自体を不勉強にして知らなかったが、古いお寺の門前町でもある風光明媚な温泉街で、今度はこの町を目当てにゆっくり回ってみたいと思わせてくれた。
そしてこの日泊まった道の駅柳津も素晴らしい所だった。
道の駅から望むこの景色!
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そしてここには無料の足湯まで併設されている。
ここには蒸気機関車C11が保存されていた!
只見線はかつて何度か乗りに来たことはあるが、いつも真冬で豪雪地帯の雪景色を見に来ていたので真夏に来るのはこれが初めて。
やはり真冬とは全く違う景色を見せてくれた。
かつては豪雪の中を雄々しく引いていたであろう勇姿
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鉄道好きにはやはりこの辺はタマラン
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いかにもローカル線然とした風情
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そしてその足で近くにある福満虚空藏尊圓藏寺へ。
ここも弘法大師ゆかりの寺。
立派なもんでした。
ここでは狛犬の代わりに「べこ」
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もう一度道の駅に戻ってここの名物天ざる蕎麦と「あわ(粟)ソフト」を堪能して、いよいよ只見川に沿って山越えでいざ新潟へ!
途中会津川口駅で運良く上り線と下り線の交換風景が見られそう。
この会津川口駅、只見線に乗っていると交換の為に必ず長時間停車するので有名な駅。
おまけに景色も素晴らしいので、列車の旅では絶好の撮影ポイントとなる。
駅からちょっと進んだ所にいい感じの鉄橋を発見。
しばし列車が来るのを待つ。
車の旅だとこういうことが自由にできるのがいいね。
しばし待つこと10分余、ついに列車がやってきました!
首尾よく交換風景を堪能したあとは更に只見線に沿って新潟へと続く山越えの道。
この只見線沿いの道はもうそこかしこが絶景の連続。
いちいちポイントポイントで停まっていてなかなか進まない。
そんな素晴らしい風景を。
突如現れる他を圧する巨大な田子倉ダムの偉容。
ダムの上流をぐんぐん登っていくとこの絶景が眼下に広がり、そこには田中角栄の名が刻まれた碑が立っている。
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山を越え、途中道の駅いりひろせの眼の前に広がる鏡ヶ池は、名前の通り鏡のような水面。
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険しい山越えの難所を越えて新潟県に入った頃にはもう暗くなってきて、ひと風呂浴びようかと思ったが断念してそのまま関越道に乗って家路につくことにした。
しかし高速に入ろうとしたところ、遠くで花火があがっているではないか!
どこの花火大会だ!?
思わず花火の見える方向に走っていった。
あまり近づき過ぎると車を止められないと判断して、ある程度行ったところの河原に車を止めて車内で花火見物。
しばし見とれたが、あまりのんびりしていると帰りが深夜になってしまうので早めに切り上げ高速へ。
高速に乗ってからも目の前にあがる花火。
運転しているのであまり見とれるわけにはいかなかったが、旅の終わりを飾る何だか思わぬプレゼントに感動した。
何とか日の変わる前に川口到着。
車中泊という裏技をあみ出したことで旅の可能性が飛躍的に広がった。
五泊も連泊できたことで車中泊に自信もついた。
これで宿泊費を気にせず日本全国どこにでも行ける!
これからの楽しみが大いに広がる旅だった。
そして福島の風景はどこまでも限りなく美しかった。
この風景を失うことがあってはならない。
それを何度も堅く心に誓った。
ー完ー