チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

10月に読んだ本

青木理『誘蛾灯』

鳥取連続不審死事件。

同時期に明るみになった首都圏の事件と同様の容姿の冴えない女を巡って多くの男が不審な死を遂げた。

しかしこちらはあちらのような似非セレブ的華やかさや人々の興味を惹くセンセーショナルさは全く無く場末の陰惨さがつきまとい未だに謎が多い。

人の心の隙間に巧みに入り込み、妊娠や自傷などひたすらに嘘を重ね、罵倒と暴力で男を精神的に支配し追い詰めるという境界性人格障害の極みといったこの女。

そんな女に何故いとも容易く男たちはのめり込んでいったのか。

読み終えてもその謎は残ったまま。

誘蛾灯 鳥取連続不審死事件

誘蛾灯 鳥取連続不審死事件

 

 

北原みのり『毒婦ー木嶋佳苗100日裁判傍聴記』

先日、青木理『誘蛾灯』を読んだので、同時期に起きた同様な事件の関連本も読んでみた。

しかし冒頭で「私は彼女に共感できない」と言っておきながら、本文では歪んだフェミニズムの観点から主観丸出しで彼女を美化し褒め称えるありさま。

「興味本位のマスコミ」を批判しておきながら内容はそれにまさる興味本位そのもので、文体もひたすら気持ち悪い。

これがこの人の芸風なのだろうと我慢して最後まで読んだが、それだけ。

 

読売新聞社会部『東電OL事件-DNAが暴いた闇』

この事件に関しては佐野眞一氏の衝撃的名著があるが、こちらは事件そのものよりもその後DNA鑑定により再審無罪となった経緯を追ったルポ。

この手の新聞記者モノは「我々取材班ははいかにして特ダネを追ったか」的な手前味噌な自慢話になりがちで個人的に苦手分野なのだが、これも例に漏れず、専門用語も多く読み物としては面白いものではなかった。

久しぶりにストリートビューで事件現場を見てみたら、そのアパートがまだ存在していることにびっくりぽんや!

東電OL事件 - DNAが暴いた闇

東電OL事件 - DNAが暴いた闇