チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

10月に読んだ本

西加奈子『ふくわらい』

鳴木戸定(ナルキド・サダ)という主人公の名前から人を喰ったような作品なのかと思ったら、読み始めてすぐにそのただならぬ深みに嵌っていった。

言葉を組み合わせることで成り立つ「文章」と、目や鼻や口といったパーツを組み合わせることで成り立つ「顔」の共通性、そして精神と肉体の相互性…、いやいや、自分の貧弱な語彙ではこの作品を表現することができない。

『漁港の肉子ちゃん』と並んで強烈な衝撃と余韻を自分に与えてくれた。

しばらくはこの余韻に浸っていたい。

ふくわらい (朝日文庫)

ふくわらい (朝日文庫)