先月新潟県五頭連峰で起きた痛ましい父子の遭難事故をきっかけに、過去の山岳遭難事故を色々と調べてみた。
中でもこの2010年に起きたトムラウシ山遭難事故の調査報告書は、切迫した臨場感に溢れていて恐ろしいながらも一気に読んでしまった。
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http://www.jfmga.com/pdf/tomuraushiyamareport.pdf
あとは1994年の吾妻連峰遭難事故の動画も興味深く最後まで一気に観てしまった。
怖ろしすぎる。
このいずれのケースも最大の原因は不幸な悪天候にあるが、そこに至るまでにはリーダーの判断ミスと、スケジュールに余裕がなく各自の力量もバラバラな多人数でのパーティの行動の難しさが挙げられると思う。
特に山登りの場合だと、「貴重な休みを使って辛い思いをしてせっかくここまで辿り着いたのに」という心理が大きく働き、行程途中での待機や中止下山の判断はかなりのプレッシャーが掛かるであろうことは容易に想像できる。
更には、不幸に重なる判断ミスに加えて、悪天候による低体温症の進行により軽い錯乱状態になり、的確な判断ができなくなってしまう悪循環に陥るというのも、前掲の報告書を読んで初めて知った。
しかし山岳遭難はこうした高山での不幸な想定外の悪天候ばかりが原因ではなく、低山での道迷いのケースも多いことを以下のサイトで知った。
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ここに挙げられているケースには、まさか遭難するとは思えないような自分も登ったことのある馴染みの近郊の低山も数多い。
そのいずれも、ごく軽微な判断ミスによる道迷い。
ちょっとした事でいとも簡単に遭難してしまう。
中には死に至ってしまったケースもあり、読んでいて恐ろしくなった。
これを読んで改めて学んだのは、自分が山で道に迷ったな、と思ったら、まずはとにかく元来た道を引き返す。元来た道すらわからなくなっていたらとにかく尾根を目指して登ること。
尾根に行けば登山道になっている可能性が高いし、見晴らしが利くので今自分のいる場所を冷静に把握しやすい。
逆に谷に降り、沢を下ってしまうのは最悪手。
そのまま切り立った崖の滝にどん詰まり、登り返すことも出来なくなって万事休す。
まあこれは山登りの常識ではあるのだが、それは頭では理解していても、実際そうした状況に陥ったときに果たして冷静な判断ができるだろうか。
朝から一日歩いて疲れ切った下山路で、夕暮れ迫る中、折角下りてきたのにまた元来た道を登り返すのは心理的にかなりキツい。
おまけに里に近い低山だからこそ、沢伝いに下っていけば何らかの人工的な道や集落にたどり着けるのではないかという楽観的な思考になびいてしまいそう。
自分もたまにこうした近郊の低山に登ることがあるので、大きな戒めとして心に刻んでおこうと思う。