チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

Little Glee Monster 日本武道館

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リトグリの武道館から数日が経過してもまだその興奮と感動から抜け出せない。

リトグリにとって2年ぶりの武道館公演。
その2年前の時は見逃していたので、自分にとっては初めて武道館で観るリトグリ
その初日に参加した。

今回の武道館公演は『Calling Over!!!!!』と題されており、昨年秋の『Calling!!!!!』ツアーからさほど時間も経っていないので、いわば秋ツアーの追加公演的位置づけだと思っていた。
ところがどうだ!彼女たちは秋ツアーからまた更に一皮も二皮もむけ、格段に成長した姿を見せてくれた。まさに『Over!!!!!

リトグリは毎回ライブを観るたびに、驚くほどの成長を見せてくれてはいたが、今回のその幅は史上最高レベル。 
間に4thアルバムリリースを挟んでいたことも大きいだろうが、この短期間でこれほど進化した姿を見せてくれるとは正直思ってもみなかった。

 どの辺が成長したのか?
全て!
と言いたいところだが、特に際立っていたのは、それぞれの歌の表現力のアップ。
歌いまわしはもちろん、息の使い方、音の出だしと消え際の抜き差しの処理、正確なピッチ感と、あらゆる部分が格段にブラッシュアップされていた。
もはやCD音源とは別物と言っていいほど。
そしてそれぞれのメンバーが、それぞれなりの表現で、歌詞をとても大事に伝えようとする強い意志が伝わってきた。
中でも『明日へ』は圧巻だった。

 以前はライブ中ごくわずか「おっとっと?」という場面があったが、今回はそんなことは全くなく、安心して歌の巻き起こす渦に身を委ねることができた。

メンバーみんなそれぞれ素晴らしかったが、中でも特に凄いと思ったのが芹奈
芹奈といえばリトグリの中でもずっと前から歌の面でもパフォーマンス面でも常にグループをリードして矢面に立ってきた立場であり、いつしかどこか「出来て当然」的やや不憫なポジションにあるのは気の毒だが、そんな常にのしかかるプレッシャーの中本当によく頑張っていると思う。
今回改めてそんな彼女の凄さを思い知った。
一時期感情過多な表現が目立ったが、それもすっかり落ち着き、いよいよ円熟味を増して、歌の表現においての緩急の付け方が絶妙だった。

バックを支えるバンドも鉄壁の演奏でリトグリの歌を支えてくれた。
CDを聴いた時に感じた音のチープさも生演奏によって全く感じられなかった。
やはりリトグリはライブに限る。

最新アルバム『FLAVA』を聴いて、彼女たちの今後の課題は「恐るべきガキども」からの脱皮だと感じたが、今回のライブでの旧曲の大胆なリアレンジは、そこに彼女たちが出した一つの答えだと思った。
もはや彼女たちはただの『歌うま少女』ではない、超一流のヴォーカルグループだ。

 演出もお見事で、途中中だるみ感を全く感じさせず、最後までステージに釘付けだった。
特に光の使い方が素晴らしかった。

 MCでは、彼女たちの武道館に対する並々ならぬ思い入れをそれぞれの表現で伝えてくれた。
そして一方では、一見順風満帆に見えるリトグリの活動の中でも、個々のメンバーにはそれぞれ色々な悩みがあることも窺わせる。
そんな中でもこうして素晴らしい歌を届けてくれる彼女たちには本当に感謝するしかない。
活動の幅が広がるにつれて、様々なプレッシャーに押しつぶされそうになることも多いだろうが、どうかみんなで力を合わせて頑張ってほしい。
なぜなら、歌の力で人の心に大きな感動を与えることのできる唯一無二のグループだから。

そして最後に触れておきたいのが、今回始めて導入された「着席指定席」。
これは素晴らしい試み。
特に武道館という会場では見晴らしがよく利き、疲労や苦痛を全く感じることなくステージのパフォーマンスに集中することができて非常にありがたかった。
「ライブは立って観るのが当然!」
「ライブ中に座って観るなんてアーティストに対しても失礼でしょ?!」
という風潮に一石を投じ、敢えてアーティスト側から提示されたこの試みは高く評価されていいと思う。
今まで「ライブは疲れるからどうも…」といった人たちにも幅広い年齢層にライブの入り口を広げることにもなると思うので、是非今後も続けて欲しい。
特にリトグリのような音楽は耳の肥えた年配の音楽好きの人たちにも是非体感してほしいしね。

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