前作『Copine』を最後に長年に渡るパートナー坂本龍一から離れ、ここから多岐にわたる音楽路線を歩んでいくことになる。
10. Comin' Soon('86)
何故かこのアルバムだけサブスク配信されていない。
当時結構好きでよく聴いていたはずなのだが、手持ちのCDを探してもどこに仕舞ったものか見つからなかったので、仕方なくYouTubeで改めて聴いたらやっぱりとてもよかった。
いわゆるヨーロッパ路線とはまた別の彼女の持ち味であるファンタジー路線を集めたアルバムで、かわいらしい曲ばかりを新旧曲織り交ぜた企画モノ。
とてもいい曲が多いので、サブスク配信を望む。
★8
【この1曲】
『ALICE』
アルバムのオープニングを飾る、これから童話の世界が始まるようなワクワクをたくさん詰め込んだおもちゃ箱のようなアレンジ。
こういうかわいい曲では清水信之がとてもいい仕事をしてくれる。
11. アフリカ動物パズル('86)
この時期は企画ものアルバムが続いて、次はなんとアフリカをテーマにしたビデオのサントラ。
とはいえサントラだけに映像を観ないことには意図がよくわからないインスト曲も多く、当時はまだビデオは高価なものだったので10代の自分には買えるべくもなく、そもそもそれまでのヨーロッパからいきなりアフリカというテーマの変化、しかもラストの曲は動物の鳴き声のみというわけで、もうそこには戸惑いしかなかった。
★5
【この1曲】
『メイン・テーマ』
というわけでこの中から1曲選ぶのも困ってしまうが、メイン・テーマはインストではあるが、やはり彼女らしいゴージャスな旋律とオーケストレーションが堪能できる。
12. Pure Acoustic('87)
お次も企画モノで、『Cliché』で好評だったオーケストラアレンジで丸ごと1枚過去曲をアレンジし直したベスト盤のようなもの。
とてもゴージャスではあるが、このアレンジでアルバム1枚だとややお腹一杯になるかな。
★7
【この1曲】
『横顔』
重厚なオーケストラアレンジの曲が多い中にあって、ピアノとウッドベースの軽快なリズムに時折絡む品のいいヴァイオリンとチェロが気持ちいい。やっぱり名曲。
13. A Slice Of Life('87)
待望の久しぶりのオリジナルアルバム。
しかし当時の自分にとってこのアルバムは、長く待ち望んでいたにもかかわらず、坂本龍一の手を離れたショックの方が大きくて、すっかり変わってしまったこのゲートリバーブの効いた都会的なギターポップなサウンドには正直馴染めないものを感じた。
しかし今聴いてみると、この大村憲司のロカビリー風アレンジだったり佐藤博のおっしゃれな今で言うシティポップなアレンジが実によいではないか!
そして楽曲のクオリティが非常に高く、どの曲も素晴らしい。
33年ぶりに聴いて自分の評価が3段階くらい急上昇した。
こんなにいいアルバムだったとは!これからも愛聴しそう。
★9
【この1曲】
『スナップショット』
本当にどれもいい曲ばかりで1曲を選ぶのが難しいが、中でもこの透明感のある抑制の効いた大村憲司のアレンジが光るこの曲大好き。