チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

The Beach Boys『1968 - I Can Hear Music The 20/20 Sessions』

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ビーチボーイズ50周年企画、続いては『1968 - I Can Hear Music The 20/20 Sessions』
こちらは1968年に録音された『20/20』の未発表セッション集。

ビーチボーイズの暗黒期はまだまだ続いており、マハリシ・ヨギとのツアーは大失敗に終わり、ブライアンの精神不調はさらに悪化、デニスに至っては翌年に凄惨なシャロン・テート殺害事件を起こすあのチャールズ・マンソンファミリーが自宅に棲み着き、ビーチボーイズの現場にも多大な影響を及ぼすなど、公私ともに荒みきった最悪の状態。

このアルバムにも当時の状況を反映してどことなく不穏な雰囲気が漂うが、唯一の収穫はブライアンの状態が更に悪化したことで否応無しに他のメンバーが頑張らざるを得なくなったこと。
それぞれが曲を持ち寄りそれまでブライアンに頼りきりだったアレンジ&プロデュースもするようになり、よりバンドらしくなってきた。

しかしながら彼らの才能が真に開花するのは次作『Sunflower』以降で、ここではまだ準備段階といった感じ。とはいえそんな荒削りさの中でもデニス・ウィルソンの特異な才能はもう輝きだしている。
このセッション集でもデニスのデモテープが多数収録されていて、どれも未完成ながら溢れ出る才能を抑えきれない感じ。
そのデモテープの中ではシンセサイザーを導入(ビートルズより早いではないか!)していたりして新しい音への興味も貪欲さを見せている。
とはいえチャールズ・マンソンの楽曲を採用したり、あろうことかスタジオに女を連れ込んでおっ始めた行為をわざわざ録音してその音を曲に入れてしまうというクレイジーな悪ノリもヒドいが…(;´Д`)

ビーチボーイズ50周年企画で現在配信されているのはここまで。
今年と来年にはいよいよ70年代の傑作『Sunflower』と『Surf's Up』の未発表セッション集が聴けるのだろうか?
それが今から楽しみで仕方ない。