チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

『ラストレター』(2020)

あの岩井俊二監督の待望の新作ということで、2年前の公開時は車で1時間かけて映画館に足を運んで観る気満々だったが、公開後ほどなくしてコロナの流行が始まり泣く泣く断念せざるを得ず、結局そのまま機会を失ってしまっていた。
その待ち焦がれた映画がついにAmazonプライムビデオに下りてきたということで、早速観た。

評判通り、名作『Love Letter』のアンサー的に手紙のやり取りで物語は進み、岩井氏独特のノスタルジー溢れる美しい映像満載で、これは期待通りの名作だと思ったが、後半になって『Love Letter』と同じキャストの中山美穂豊川悦司が出てきたあたりから様子がおかしくなり、ラストシーンもどうもパッとしないまま終わってしまった。
そんな状態で終わってしまうとそこまで気にしないようにしてスルーしてきた部分も色々と気になり出して、モヤモヤばかりが残る結果になってしまった。

中山美穂豊川悦司を出したのは『Love Letter』のファンサービスと、監督ご本人の過去作への決着的意味合いがあったのだろうが、それもどうも成功したとは言い難い。

しかしそんな中でもとりわけ素晴らしかったのは、広瀬すずと森七奈姉妹の奇跡的としか言いようがない瑞々しさときらめき。
この二人の一瞬のきらめきの切り取り方はさすが岩井監督としか言いようがなく、この二人の今しかないこの瞬間をよくぞ永遠に記録してくれたという感謝の気持ちしかない。
この二人を見るためだけでもこの映画は価値があり、今後も折に触れ何度も観てしまうことになるかもしれない。