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音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

特等席から見える景色

東京メトロ 銀座線 (渋谷~浅草~渋谷) [DVD]東京メトロ 銀座線 (渋谷~浅草~渋谷) [DVD]
(2006/07/26)
鉄道

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東京メトロ銀座線の運転室展望DVDを見た。

運転室展望DVDとは、読んで字の如く電車の運転台に備え付けた固定カメラの映像が始発から終点まで延々と収録してあるやつ。

鉄道好きにとって一番の特等席が運転室の真後ろかぶり付きである事は議論の余地のない所である。

しかしそれも大人になるとちょっと恥ずかしくなってしまって、かぶりついている子供たちを恨めしそうに眺めるだけになってしまうもの。

しかし俺はもう最近ではその恥ずかしさもなくなり、堂々と子供と特等席争いを出来るようになったぜ。

ぐへへへへへざまーみろ。

というわけで鉄道好きにとってはこの運転室展望ビデオというのは、まず例外なく夢のような映像満載なのである。

しかしここで疑問に思ったあなたは非常に聡明だ。

何故ってこれは地下鉄である。

当然写っているものは一部を除き延々と続くトンネルなのである。

移りゆく景色が写っているのであればまだわかるけど、トンネルがずっと続く絵を見て何が楽しいのか?

ごもっともな疑問であります。

しかしトンネル,されどトンネル。

トンネルの中にも検車区への分岐ポイントや、かつて作られたものの現在は使用されていない幻の駅、そしてトンネルそのものもカーブやアップダウンなど、見どころは沢山あるのです。

おまけに高感度のカメラを使っているので、真っ暗なはずのトンネル内も驚くほどの明るさ、そして激しい揺れにも全くぶれる事のない映像。これは強力スタビライザー+デジタル補正なのかな?

何よりこの銀座線というのは、昭和5年に作られた日本最古の地下鉄であり、地下トンネルそのものが歴史的建造物なのである。

駅部分はその後改修はしても、トンネル内部は余程の事がない限り85年前の建造当時そのままと思われるので、トンネル内部の構造そのものが非常に興味深い。

これが面白くないわけがない。

それにしても感心するのが赤坂見附駅の構造の妙。昭和初期の段階でもう丸ノ内線(当時は現在とは若干違う計画だったようだが)との乗り換えを見越して重層構造にした先見性の高さ。しかし実際に乗り換えが実現するのは駅が出来てから戦争を間にはさんで実に21年後!長年の念願が叶ったこの時は駅を作った人々の感慨はさぞかしのものだっただろう。

そして近年になって出来た溜池山王駅は新たに側線を掘って従来の軌道の場所に島式ホームを作ったんだな。ってことがよくわかった。

今回これを見て改めて確認した事は、旧東京高速鉄道東京地下鉄道が昭和16年に合併して帝都高速度交通営団(素晴らしい名前だ)になった際に、当初の短いホームを長い編成用に延伸した為、渋谷ー新橋間の旧東京高速鉄道各駅の延伸部分の天井の構造が違っている事。

そしてこのDVDのハイライトであり最も萌えポイントは、何といっても普段は見る事の出来ない上野検車区からの入出庫シーン!

これは異常に萌える。

特に萌えポイントは二カ所あり、一つは地下鉄に存在する唯一の踏切を渡る所、そしてもう一カ所は本線に入線した際に、反対側の線に渡るほんの一瞬だけ線路を逆走する部分がある所。

これは何度見てもスリル満点の瞬間だ。

銀座線といえばやっぱりオレンジ色でリベットゴツゴツの無骨な戦前の車両が吊り掛けモーターの重低音を轟かせながら轟音をけたてて都心の地下を疾走する姿が懐かしい。

そんな昭和の時代に思いを馳せて、戦前に建造された堅牢なトンネル内部を心ゆくまで楽しみました。

埼京線・りんかい線(新木場~川越) [DVD]埼京線・りんかい線(新木場~川越) [DVD]
(2004/09/30)
鉄道

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そして続けて同じシリーズの今度は埼京線りんかい線の運転室展望DVD。

こちらは、りんかい線部分の近未来感、大崎~池袋の都心部分、池袋~大宮の郊外住宅部分、そして大宮以西の笑っちゃうくらい突然変貌する素敵な田園風景と、色んな要素が一枚で楽しめてお得でございました。