チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

読書日記

山岳遭難関連書籍

ちょっとした手違いでAmazon kindle unlimitedに入ってしまったので、この機会に山と渓谷社から出版されている羽根田治氏による山岳遭難シリーズをまとめて読んでみようと思った。 ・十大事故から読み解く山岳遭難の傷痕・ドキュメント生還 山岳遭難からの救…

『ウォール街のランダム・ウォーカー』 バートン・マルキール

つみたてNISAをきっかけに2年前から投資を始めた。色々調べていく中で、その界隈で必読のバイブルとされているのがこの本。初版は50年前だが、その後もその普遍的な内容から現在に至るまで版を重ね続けている。 内容は、これまでの株式投資の歴史とエピソー…

『彼は早稲田で死んだ 大学構内リンチ殺人事件の永遠』樋田 毅

1972年、あの連合赤軍事件が起きたのと同じ年に、早稲田大学構内で学生が革マル派によるリンチの末に殺される事件が発生した。 当時の早稲田大学は革マル派が自治会を支配し、大学側に全学生から自治会費を代行徴収させ、それを活動資金として分捕り、更には…

時刻表復刻版(1978年10月号)

注文していた『時刻表復刻版 1978年10月号』が届いた。 自分が子供の頃最も愛読していたのが時刻表で、毎年ダイヤ改正の度に買っては隅から隅まで、それこそ巻末の広告ページまでボロボロになるまで徹底的に読み込み、様々な条件や縛りを設定して何度も何度…

大槌町東日本大震災津波犠牲職員状況調査報告書「大槌町役場職員」

3.11の大津波で町長をはじめ業務に当たっていた職員40人が犠牲になるという大惨事になった岩手県大槌町役場。 震災から10年を経過して、ようやくその時職員一人一人がどこにいて何をしてその瞬間を迎えたのか、関係者の大半が亡くなっていて困難を極めたであ…

石原慎太郎死す

石原慎太郎氏が亡くなった。 朝日新聞的思想にどっぷり浸かっていた子供の頃の自分にとって石原慎太郎といえば、青嵐会でハマコーなどと一緒に吠えている極右危険人物というイメージでしかなかった。しかしその後の彼の政治活動を見、自分も大人になって政治…

青山透子『日航123便 墜落の新事実』

自分にとって戦後日本重大事件、中でも下山事件、三億円事件、連合赤軍事件、グリコ・森永事件、オウム真理教事件などは、未解決だったり、一応の解決は見ているもののいまだに謎の部分が多かったりという部分において、特に大きな関心を持ち続けている。 そ…

『双葉山の邪宗門』「璽光尊事件」と昭和の角聖 / 加藤 康男

人生も折り返し点をとうに過ぎ、これからの緩やかな終活として少しずつ身の回りから物を減らしていかなければならない。中でも自分の持ち物で最も場所を取っているのが本であり、どんどん処分していかなければならないがこれが中々減らせない。少なくともも…

『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』庭田杏珠・渡邉英徳

予約注文していた『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』が届いた。 古い白黒写真というのは、どこか遠い世界の出来事のような距離感を感じるものだが、それに色がつくだけで一気に距離が縮まり、そこに写る人々の息遣いまでもが伝わってきそうな身…

『別冊相撲 昭和の名横綱シリーズ』

【7日間ブックカバーチャレンジ】3日目 昭和54年から3年間に渡って刊行された、玉錦から琴櫻までの昭和の横綱22人に及ぶ詳細なデータシリーズ全12巻。その内容は膨大な写真に加えて、入門からの全取り組みの決まり手や取り口、場所ごとのその力士をめぐる背…

『河北新報特別縮刷版 3.11東日本大震災1ヶ月の記録』

【7日間ブックカバーチャレンジ】2日目 3.11関連本は片っ端から買い漁っていたのでいまだに本棚の一角を占領していて、そのどれもが今でも読むたびに当時の不安と恐怖を思い出す。 新聞の縮刷版だけでも読売、朝日、河北新報を所蔵しているが、中でもこの河…

『ザ・ビーチ・ボーイズ ダイアリー』キース・バッドマン

【7日間ブックカバーチャレンジ】1日目 Facebookで回ってきた。本来こういうのは、若い日に読んで自分の人生の方向に影響を与えた文芸作品みたいなのが相応しいのだが、よく考えてみると自分が最も多感な若い頃に貪るように読んだ太宰治も宮沢賢治も筒井康隆…

『レッド』山本直樹

山本直樹の手による『レッド 1969〜1972(1-6)』『レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ(1-4)』『レッド最終章 あさま山荘の10日間』合わせて全11巻を読了した。 連合赤軍関連本は昔からほぼ揃えていて、しかも何度も読み直すほど関心を持っているので、…

伊東潤『修羅の都』

修羅の都 作者: 伊東潤 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2018/02/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 源頼朝が平家討伐を成し遂げ、鎌倉で権力を掌握し、のちに妻北条政子を介して北条家に実権が移り承久の乱へ…という物語。 好きな…

伊東潤『西郷の首』

西郷の首 作者: 伊東潤 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2017/09/29 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 大河ドラマで『西郷どん』放映中ということで、大好きな作家のこのタイトルを見てタイムリーだと思って読んでみた。といってもこれは西郷…

宮部みゆき『ソロモンの偽証』

以前はよく読んだが、最近は個人的に期待はずれのことが多いこの作家。 そんなわけでしばらくご無沙汰していたが、この作品は映画にもなったし、面白いと評判だったので期待して読んだ。 全3巻の長編だが、第1巻くらいではなるほどテンポもよく、これはかな…

連合赤軍とオウム真理教

連合赤軍関連本を大体読み終わったので、次は個人的に歴史的連続性を感じるオウム真理教関連の所蔵本を引っ張り出してパラパラ読んでみた。 あれから20年以上経って改めて読むと、当時のオウムの情勢認識は、階級闘争史観と世界革命ゴリゴリ極左だった連合赤…

桐野夏生『夜の谷を行く』

最近連合赤軍づいていたのでその流れでこちらも読んでみた。連合赤軍幹部の手記などはこれまで色々読んできたが、山岳ベースから逃亡した生き残り女兵士という視点は今までになかったので新鮮だった。フィクションではあるが、当時のリアルなエピソードが語…

連合赤軍まつり終了

自分の中で5年周期くらいで訪れる、手持ちの連合赤軍関連本を読みまくる「連合赤軍まつり」が、約2ヶ月かかって今回もようやく終了。年を経るに従って毎回自分の中で感じることが少しずつ変化していくのが面白かったが、さすがに連合赤軍に興味を持って読み…

8月に読んだ本

吉村昭『暁の旅人』 幕末にオランダ人から西洋医学を学び、幕府、新撰組、会津藩との関わりの深かった松本良順の物語。 といえば思い出すのが司馬遼太郎の『胡蝶の夢』だが、それを読んだのはもう随分昔なので細かい内容は忘れてしまった。 こちらは吉村氏独…

7月に読んだ本

百田尚樹・石平『「カエルの楽園」が地獄と化す日』 現代の寓話『カエルの楽園』を現実に当てはめて説明するというのは「寓話の種明かし」的で甚だ無粋ではあるが、あの寓話の意味を理解できない人もそれだけ多いということなのだろう。 そして事態は更に物…

坂口弘『あさま山荘1972〈上〉』

一時的に読む本がなくなったので、手元にある、坂口弘『あさま山荘1972〈上〉』を再読した。 連合赤軍事件当事者の著作の中では一番詳細でかつ読みやすいのがこれ。 もうかれこれ読むのは5回目くらいだが、読むたびに自分の受け止める感覚は若い頃から少しず…

6月に読んだ本

西加奈子『サラバ! 上・下』 登場人物に全く共感できないし、ラストも今ひとつ納得いかなかったが、お話は非常に面白く、一気に読みふけった。 自分の痛い青春時代をえぐり出された気分…(;´Д`) サラバ! 上 作者: 西加奈子 出版社/メーカー: 小学館 発売日…

5月に読んだ本

石原慎太郎『天才』 自分は石原慎太郎も田中角栄も政治家としては大好きだし、石原氏の『国家なる幻影』や『歴史の十字路に立って』などの政治に関する著作も非常に面白かったので大いに期待していたが、この本はあっさり拍子抜け。 内容も角栄氏に関する本…

4月に読んだ本

角田光代『ツリーハウス』 新宿で中華料理屋を営む家族三代の戦前の満州から戦後の日本の様々な世情を反映した壮大な物語。 著者のイメージとはやや異色なお話で、面白かったが個人的にはやや散漫でパンチに欠ける印象。 ツリーハウス (文春文庫) 作者: 角田…

2月に読んだ本

浅田次郎『神坐す山の物語』 御岳山の山頂にある神官屋敷を舞台に伯母から少年へ夜語りされる神と人との哀しくも怖いお話の数々。 ここでも安定の浅田節でどの話もしみじみ味わい深い。 神坐す山の物語 作者: 浅田次郎 出版社/メーカー: 双葉社 発売日: 2014…

1月に読んだ本

角田光代『森に眠る魚』 かつて実際に起きた殺人事件をモチーフにしたフィクション。 同じ幼稚園に通う子供を持ついわゆるママ友同士が出会い、最初は仲良かったのが子供の受験をきっかけにほんの些細な行き違いや思い込みが次第に疑心暗鬼となりついには憎…

12月に読んだ本

西加奈子『きりこについて』 「きりこは、ぶすである。」から始まるぶすな女の子きりこと賢い飼い猫ラムセス2世の物語。 最初はこの二人の私的なお話かと思いきや意外にも多くの人を巻き込んだスケールの大きな話になっていく。 この著者独特の言葉遣いで描…

11月に読んだ本

伊東潤『巨鯨の海』 江戸時代から明治にかけて隆盛を誇った太地の捕鯨をテーマにした短編集。命をかけた鯨と人間の戦いにまつわる物語はどれも深い読後感を残す。 巨鯨の海 (光文社時代小説文庫) 作者: 伊東潤 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2015/09/09 …

10月に読んだ本

西加奈子『ふくわらい』 鳴木戸定(ナルキド・サダ)という主人公の名前から人を喰ったような作品なのかと思ったら、読み始めてすぐにそのただならぬ深みに嵌っていった。 言葉を組み合わせることで成り立つ「文章」と、目や鼻や口といったパーツを組み合わ…