チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

2015-01-01から1年間の記事一覧

12月に読んだ本

原田伊織『明治維新という過ち―日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト』 我々が歴史の教科書で習ったのが「封建的な江戸幕府に抑圧されていたこの国を幕末志士達の活躍により一気に近代化への道を開いた」とされる明治維新。 司馬遼太郎の小説で活き活きと…

11月に読んだ本

白土三平『カムイ伝』 全15巻、4ヶ月かけて読了。 子供の頃ちょっと目にしてその陰惨さがトラウマになっていたが、改めて読み返してみると要するに階級闘争史観に基づいた漫画版プロレタリア文学だ。 発表当時の時代背景として学生運動周辺で熱狂的に支持さ…

10月に読んだ本

青木理『誘蛾灯』 鳥取連続不審死事件。 同時期に明るみになった首都圏の事件と同様の容姿の冴えない女を巡って多くの男が不審な死を遂げた。 しかしこちらはあちらのような似非セレブ的華やかさや人々の興味を惹くセンセーショナルさは全く無く場末の陰惨さ…

でも

非常に個人的な話になるが、国会前で大騒ぎする若者たちを見るにつけ、なんともいえない居心地悪さと気恥ずかしさといたたまれなさを感じてしまう。 その理由は彼らの中に同じくらいの年齢の自分の姿を見るからだと思う。 自らを振り返ると思わず頭を抱えて…

安保法案成立

法案の意図が上手く国民に伝えられず、政府与党の失態も相次ぎ、かなり強引な形での成立となってしまったのは残念だったが、万が一の事態への最低限の備えができてまずは一安心。 あとは国会審議で指摘された不備な点を詰め、万が一にもこの法案が実際に行使…

8月に読んだ本

伊東潤『峠越え』 凡庸なる己を自覚する家康。 故に目の前の山を着実に一つ一つ乗り越えることで生き残ってきた。 そしてさらなる大きな山が次々を目の前に現れる。 本能寺の変の新解釈。 そして最大の危機伊賀越え。 例によってこの人の作品は登場人物の人…

7月に読んだ本

松本麗華『止まった時計』 言わずと知れたオウム麻原の三女アーチャリー。 当時あれだけ面白可笑しく報道された人物。 常人には到底理解の及ばない壮絶な人生を送ってきたことは間違いなく、それ相当の苦労もあったようだ。 そんな現在の自分の立場をしっか…

ここらで自分的整理をしておく。

今回終始違和感が残ったのは、安保法制を批判する側で「戦争法案」「徴兵制」という言葉があちこちで踊っていたこと。 そりゃ誰だって戦争なんて嫌だし徴兵なんてとんでもない。本当にそんなことを言われたら自分だって全力で反対する。デモに参加した人たち…

最近歯痒く思うこと。

最近歯痒く思うこと。 「戦争を防ぎたい」その思いは誰でも同じ。問題はその同じ目指すところに至る手段が食い違っているだけの話。 一方は戦後70年が経過し世界情勢が当時とは激変している現在、日本の安全保障もその都度変えていかないと何かが起こった時…

6月に読んだ本

黒柳徹子『トットひとり』 ザ・ベストテンの裏話から遡り、向田邦子や渥美清、森繁久彌、沢村貞子等々、テレビ草創期から家族同然の付き合いをした今は亡き同志たちとの思い出を語る。 トットひとり 作者: 黒柳徹子 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2015/04…

4月に読んだ本

浅田次郎『赤猫異聞』 明治維新のドサクサの江戸の大火で牢屋敷から解き放ちとなった三人の重罪人。 「三人のうち一人でも戻らなければ戻った者も死罪、三人共戻れば全員が無罪」というお話。 安心安定の浅田節で面白く読めた。 ただ彼の他の名作と比較する…

3月に読んだ本

岩井志麻子『瞽女の啼く家』 明治の岡山、盲た女達が共同生活する屋敷。 三人の盲女がそれぞれの視点で語るおぞましくも因果な生い立ち。 岩井志麻子の世界にどっぷり。 瞽女の啼く家 作者: 岩井志麻子 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2005/10/01 メディア…

2月に読んだ本

佐藤正午『アンダーリポート』 この作家の作品は初読だったが、とにかくその構成の妙に作者の手の平で転がされる心地よさ。 最後まで読んだ人は間違いなくまた第一章を読み返すだろう。 アンダーリポート (集英社文庫) 作者: 佐藤正午 出版社/メーカー: 集英…

1月に読んだ本

筒井康隆『繁栄の昭和』 宮沢賢治、太宰治と並んで10代の頃の自分の三大作家だった筒井康隆。 当時全集を読破する程だったが、あの断筆宣言以降は全く遠ざかってしまっていたので久しぶりに新作を読んでみた。 御大独特の読者を煙に巻くメタフィクションの世…