チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

2016-01-01から1年間の記事一覧

12月に読んだ本

西加奈子『きりこについて』 「きりこは、ぶすである。」から始まるぶすな女の子きりこと賢い飼い猫ラムセス2世の物語。 最初はこの二人の私的なお話かと思いきや意外にも多くの人を巻き込んだスケールの大きな話になっていく。 この著者独特の言葉遣いで描…

『日本◯ね』再び

『日本◯ね』 この言葉を思い出すだけで不愉快になるので、もうこの話題には触れないつもりだったが、たまたま今朝のワイドショーを観ていて驚いた。 鳥越俊太郎氏と津田大介氏が出てきてこの言葉の流行語大賞ノミネートに賛成の論を張っていたのだが、その二…

11月に読んだ本

伊東潤『巨鯨の海』 江戸時代から明治にかけて隆盛を誇った太地の捕鯨をテーマにした短編集。命をかけた鯨と人間の戦いにまつわる物語はどれも深い読後感を残す。 巨鯨の海 (光文社時代小説文庫) 作者: 伊東潤 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2015/09/09 …

喪失感

昨日、自分にとってかけがえのない、とても大事なものを失くしてしまった。 その場の人の手を煩わせてくまなく探してもらったが、結局出てこなかった。 失くしてしまって初めて、それがいかに自分にとってこんなにも大事なものだったのかを痛恨の念とともに…

リトルグリーモンスター襲来

2016年秋。世間を騒がせたあのシンゴジラとほぼ時を同じくして襲来し、瞬く間に我が心の中に大きく居座ってしまったモンスターがいる。 それがLittle Glee Monster。通称リトグリ。 女子高生6人組のボーカルグループである。 2年くらい前から「とにかく歌の…

アメリカ大統領選

アメリカ大統領選、まさかのトランプ氏勝利。 色々不安もあるが、決まってしまったものをいつまでも憂いてばかりいても仕方ない。この結果が我が国にとって何をもたらすかを考えよう。 個人的にはさすがのトランプ氏といえどもいざ大統領になれば、優秀なブ…

10月に読んだ本

西加奈子『ふくわらい』 鳴木戸定(ナルキド・サダ)という主人公の名前から人を喰ったような作品なのかと思ったら、読み始めてすぐにそのただならぬ深みに嵌っていった。 言葉を組み合わせることで成り立つ「文章」と、目や鼻や口といったパーツを組み合わ…

定額制音楽配信サービス

当初はどことなく抵抗があって躊躇していたが、ためしにGoogle Play Musicに入ってみたら、すぐにもう自分にとっては無くてはならないものになった。 ここ数年は自分から新たな音楽を欲することがあまりなくなり、基本的にものぐさな上に田舎住まいになった…

9月に読んだ本

西加奈子『漁港の肉子ちゃん』 『円卓』が面白かったのでこちらも読んでみた。 例によって口に出して朗読したくなるテンポの良い文章に、独特の言葉遣い、いつまでも読んでいたい魅力的な登場人物、そしてこのインパクトのあるタイトル! 全てが素晴らしかっ…

民進党代表選

もはや興味もないが、とりあえず三人出揃った。 この中で最も現実的な政党に引き戻してくれそうなのは前原氏だが、いかんせんかつての輝きは色褪せてしまっている。 玉木氏は未知数だが、菅氏が推薦人に入っているのが気になるところ。 三人の中で有力視され…

8月に読んだ本

百田尚樹『カエルの楽園』 言うまでもなく昨今の我が国の憲法9条や安保法案関連にまつわる騒動を風刺した滑稽で恐ろしい寓話。 あまりの面白さに読み終わったあともう一度最初から読みなおしてしまった。 ここの登場人物を現実世界の人物や団体に当てはめて…

千代の富士死す。

去年ガンの手術をしたことは承知していたが、つい最近までテレビで元気な姿を見せていたので、この訃報はあまりにも突然で驚いた。 千代の富士は、自分が相撲好きになるきっかけをくれた人。 初めて意識したのはまだ幕内と十両を行ったり来たりしていた頃。 …

東京都知事選

東京都知事選、当初は混戦が予想されたが、終わってみれば小池さんの圧勝。今回は特に話題も豊富で、外野からとても楽しませてもらった。 小池百合子氏はとにかく自己プロデュース能力に長けた人だと改めて思った。そして自分の感情と適度に距離を置ける人。…

【矯正日記】最終回。

昨日は半年ぶりの歯医者。そしてついに最初に医院を訪れてから実に4年9ヶ月に及ぶ歯列矯正終了!長いようであっという間だった。 実際の歯の写真はグロいのでレントゲン写真で。治療前との写真と比べてみるとその結果は一目瞭然。歯並びだけでなく顔の輪郭ま…

6月に読んだ本

カズオイシグロ『わたしを離さないで』 テレビドラマがとても良かったので原作を読んでみた。 歴史のちょっとした選択で十分有り得るような世界の物語。生まれながらの運命に飲み込まれた人々の恐怖と怒りと絶望が淡々としたトーンで描かれていてどっしりと…

「正論オバケ」が今日もゆく。

舛添氏辞職。 世に蔓延る得体の知れない「正論オバケ」が今回も首尾よく一人の人物を叩き潰して引きずり下ろすことに成功したわけだが、これで満足だろうか? いやいや、この巨大なオバケはまた次のターゲットを探すだけだ。 個人的には舛添氏は好きではない…

5月に読んだ本

上橋菜穂子『炎路を行く者』 以前このシリーズを読んだ時に唯一未読だった作品。 若き日のヒュウゴとバルサの姿を描き、これによって壮大なこのシリーズが全て繋がり完結する。 二人の背景を知ったことでもう一度本編を読みたくなる仕組み。 10年後くらいに…

ブライアン・ウィルソン『ペットサウンズ50周年公演』

なんとあの大きな東京国際フォーラムの4列目のセンターというとんでもない良席だった。 鼻毛まで見えそうな手の届きそうな目と鼻の先に、あの偉大なアメリカンポップスの歴史を作り出した張本人が座っている。 おまけにプロンプターの歌詞をガン見しながら歌…

二度目の冬を越して

さて今年も4月になり、こちらに来て2度めの冬をどうやら無事に越えることが出来たようだ。 2年前に山梨に移住するにあたり、最も心配だったのが冬の寒さ。 寒さが苦手な自分にこの地での冬を過ごせるのか? 冬の暖房費は一体どれくらい跳ね上がるのか? しか…

3月に読んだ本

石原慎太郎『歴史の十字路に立って』 石原慎太郎氏の自叙伝。あまりの面白さに時間を忘れて読み耽ってしまった。 GHQ史観や朝日新聞的思想にどっぷり浸かっていた子供の頃の自分にとって石原慎太郎といえば青嵐会でハマコーなどと一緒に吠えている極右危険人…

死ね???

まず最初に断っておくが、自分は、昨今の待機児童問題は深刻であり、一刻も早い対策と解消を願っている。これを前提に。 さて、「日本死ね」だ。このブログの文章は、個人的には日本語として下品極まりない言葉の連呼で文字にするのさえおぞましい。が、それ…

震災から5年〜自分自身の生き方について思うこと〜

あれから5年が経った。 あの震災はそれまでの自分の常識や人生観をものの見事に根本から覆した。 そんな自分にもたらされた多くの劇的変化の中で特に一番大きかったのは、案外とても個人的なことだった。 それは自分自身の生き方に関すること。 それまで自分…

建設的議論

今日は自宅で作業しながらTVで一日国会中継を流していた。 それにしても民主党の質問者は総理の言葉尻を曲解して揚げ足取りをしたり、出所不明のネットの匿名の書き込みをソースに質問したりと、相変わらずしょーもないなぁ。 昔の社会党にどんどん先祖返り…

2月に読んだ本

下村敦史『闇に香る嘘』 江戸川乱歩賞受賞作ということでたまたま手に取った本。基本的にミステリーは得意分野ではないが中々面白かった。視覚を奪われた主人公の不安と恐怖がこれでもかと伝わってきた。あらゆる伏線が最後に解き明かされるのは爽快でありよ…