チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

5月に読んだ本

YUIGON 

~もはや最期だ。すべてを明かそう。

浜田 幸一
三国志 (1)吉川 英治


YUIGON ~もはや最期だ。すべてを明かそう。YUIGON ~もはや最期だ。すべてを明かそう。
(2011/05/20)
浜田 幸一

商品詳細を見る

ヤクザ、右翼、タカ派、恫喝的政治手法、という半分はそのまま、半分は意図的に作られたパブリックイメージで子供の頃はこの人が大嫌いだった。その半ば計算されたパフォーマンスにより誤解されることが多いが、実はこの人意外にも非常にバランスの取れた政治的考え方の持ち主。人を惹きつける言語的感覚にも非常に優れていてその才能は晩年のツイッターでも遺憾なく発揮されていた。

そのハマコーが人生の最期にあたって日本国民に渾身の提言をする。前半は政治を志すまでの彼の生い立ち。ヤクザの出であることを隠しもせずその波乱万丈の生い立ちは面白くて一気に読んでしまう。政治家になってからのエピソードも面白い。あのラスベガス事件の驚くべき真相も語られる。

この人に関して子供心にとてもよく覚えているのは、予算委員長時の共産党に対するあの「ミヤザワケンジ」発言ですったもんだの挙句委員長辞任をした際に、土井たか子を始め当時の野党幹部の異常に腰の引けた発言。普段は威勢のいい彼らが「非常に男らしい行動」などと歯の浮くような事を言っていて、子供心に「これは何か裏があるな」と思ったものだ。

何はともあれ戦後政治界で異彩を放つ特異な存在ハマコー。政治はこのくらいアクの強い人間がいないとつまらない。今の政治家でアクの強い人物と言ったら、石原慎太郎鈴木宗男くらいしか思い浮かばなかった。小選挙区制がこのまま続いていくならばますます政治家は「いい子ちゃん」ばかりが増えていく一方だろう。

政治家というのは有権者にいい顔ばかりをするんではなく、たとえ有権者に嫌な顔をされても「これが国のためになるんだ!今は我慢してくれ!」と信念を持って説得できるのが真の政治家。今の有権者に顔色をうかがう制度ではそんな政治家は育たない。

★★★★★


三国志 (1) (吉川英治歴史時代文庫 33)三国志 (1) (吉川英治歴史時代文庫 33)
(1989/04/11)
吉川 英治

商品詳細を見る

劉備関羽張飛の桃園の誓いから、曹操董卓討伐の檄文、そして董卓の洛陽から長安への遷都まで。

もう最初から面白くて読みだすと止まらない。BSのドラマもちょうど並行して観ているのもナイスなタイミング。お陰で登場人物がみんないきいきと目の前に蘇ってくる。

海外もの、特に中国ものは人物の名前を覚えるのが厄介なので、ドラマのおかげでその苦労がないのは非常に好都合。

それにしてもドラマを見てもそうだが、あまりに血生臭くひたすら権謀術数と策略が渦巻き騙し騙されの世界なのでその辺は国民性の違いだな~と思ってしまうが、それは抜きにしても面白い。

★★★★★