チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

東京都知事選

東京都知事選、当初は混戦が予想されたが、終わってみれば小池さんの圧勝。今回は特に話題も豊富で、外野からとても楽しませてもらった。

小池百合子氏はとにかく自己プロデュース能力に長けた人だと改めて思った。そして自分の感情と適度に距離を置ける人。なので一見飄々と見え、人によっては「冷たい」とか「人間味がない」と思われることも多そう。しかしそれが気品の奥に独特の凄みが見え隠れして、個人的には昔からとても好きな政治家の一人。

今回は敵失も大いにあったとはいえ、決断のタイミングと臨機応変な発言の切り返しとトータルの選挙戦略がお見事の一言だった。さすが長きに渡って政界の荒波で揉まれに揉まれてきた人だけに、ここ一番のケンカの強さでは他の候補の敵ではなかった。

一時は日本初の女性総理かと取り沙汰された彼女が、ここ最近は自民党内でも干され気味で残念だったが、3年半後、都知事として充分に実績を作った政治家としての小池百合子がどういう立場で国政に戻るのか戻らないのか、今からとても興味深い。

かたや鳥越俊太郎氏はお粗末の一言。終盤では立場的にこの候補を応援しなければならない現場の人たちが気の毒に思えるほどだった。

週刊誌スキャンダルも痛手だっただろうが、それ以前に政治家としてはあまりにもレベルが低すぎた。立候補なんかしなければそれなりに権威のあるジャーナリストとして名を残せたであろうに、晩節を汚す結果になってしまったのは返す返すも後悔しかないだろう。

そしてそれ以上に与野党ともに候補者を選定する過程のゴタゴタが見苦し過ぎた。

この結果を受けて改めて見えてきたのは、現在一見安定的に支持を受けているように見える自民党も、一歩裏を返せば必ずしも自民党としての絶対的な支持ではなく、他の選択肢がない上での消極的支持に過ぎないということ。

実は自分もその一人。自分は基本的に無党派だが、個人的に安倍晋三という政治家が好きなので今のところは自民党を支持している。しかしそれは他があまりにひどすぎるからであり、基本的に自民党の古い体質は好きではないし、不満も山ほどある。なのでもし他に魅力的な政治家と政党が出現したら、いとも簡単に乗り換えることができる。こんな潜在的なふんわりとした支持層は実のところかなり多くを占めているではないか。

今後の政界再編では是非こうした層にアピールできる政党の出現が急務だが、昔の社会党のような単なる反対政党に堕落し、挙げ句の果てに共産党と手を結んでしまった民進党にはもはや不可能だ。

自民党と政策でしのぎを削り、時には政権を任せる選択肢として値する現実的視点を持った政党の出現を心から願う。