チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

8月に読んだ本

ニコライ遭難 吉村昭
奇人横綱 男女ノ川--下足番になった横綱 川端要壽
栃若時代--二人の名力士に見る大相撲戦後昭和史 小坂秀二
本日晴天興行なり--焼け跡の大相撲視 小島貞二
沙高樓綺譚 浅田次郎

ニコライ遭難/吉村昭
明治二十四年(1891)ロシア皇太子ニコライが、滋賀県大津にて沿道警戒中の巡査津田三蔵に斬 りつけられ負傷した、いわゆる「大津事件」を扱った小説。
大津事件」は歴史の授業で触れられた記憶はあるが、ここまで日本国中を揺るがした大事件だったとは。まだ若い日本という国に突き付けられたこれはまさしく「国難」であった。
十数年後に起こる日露戦争の一つの伏線でもある。
その中で国を挙げて国難に必死で対応する人々の姿。
とりわけロシアとの衝突を恐れ容疑者を死刑にさせようとする政府側に対し、法の範囲で裁判を行った「司法の独立」がこの時代にしっかりとなされていたことには驚かされる。
それにしてもこの人の小説は淡々と事実を述べ、感情がほとんど入らないのが独特。
★★★