政治とは何か―竹下登回顧録 政策研究大学院大学政策情報プロジェクト、COEオーラル政策研究プロジェクト 他 (2001/01) 講談社 この商品の詳細を見る |
政治家の著書を読むのが好きだ。最近では、岸信介・中曽根康弘・石原慎太郎・平沼赳夫・安倍晋三の本を読んだが、みなどれも「自分は日本をこうしたい!」という明確なビジョンを持った政治家としての意気込みや貫かれた信念がひしひしと伝わってきて、尊敬に値するものだった。
田中角栄に関しては政治家としては自分とは相容れない部分が多いが、単純に彼の生涯を描いた「人間ドラマ」としての本はたくさんあって非常に面白い。
その流れで読んでみたのがこの本だった。
それまで読んだ政治家本がどれも面白かったのでそれなりに期待していたのだが、これはひどかった。
話の内容が、やれ「誰それの再就職を世話した」「誰それのポストの面倒を見た」「誰それに金を配った」「役人の年次を全て覚えた」「何なにを調整した」「誰それの国会答弁を書いてやった」「その答弁で誰それが漢字を読めなかった」「自分が一番早くこのポストに就いた」「自分が一番長くそのポストを務めた」「自分が一番国会のしきたりに詳しいので皆自分に聞きにきた」・・・
そんなくだらないことばかりで、この国についての竹下登という政治家としてのビジョンが全く見当たらない。
中でも一番許しがたかったのは、「自分は中国の誰それと仲が良くて、向こうに日中共同で施設を建てる時に相手が土地が百億円だと言ったら自分は何も言わずにそう評価してあげる。だから自分はいい人と思われていた。」というくだり。
こんなのが外交か!? 自分がいい人と思われたい為に国民の血税を使ってこんな下らない外交をしていたのかと、これは本当に頭に来た。
百歩譲ってこれが実際の外交の姿だったとしても、こんなことをさも得意げに話すのは「昔のヤンチャ自慢をする元不良」と同類で見苦しい事この上ない。
こんな言わば町内会レベルの人物が日本のトップにいたというのは驚くばかりだ。
その頃に比べればここ数年の日本の政治家はずいぶんマシになってきてはいると思う。何より派閥やカネでポストを配分する事がなくなったことによって、政治家個人個人の政策が見えるようになってきたのは非常に喜ばしいことだと思う。
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