去年の8月で活動を停止したペーソス艦隊。
今明かすと、実はその頃の周囲の状況はとても順風満帆だった。
4月に発表した『三択の女王』も各方面で大好評で、事務所などからもいいお誘いの話をいただいていた。あとはこちらが覚悟を決めて本格活動に踏み出すだけだった。
俺自身も試行錯誤を積み重ねた結果、「氷結の森」という自分で納得出来る傑作を作って、リリーさんの歌の特質を完全につかみ、あとは作品を量産するばかりだった。
それまでは単なる準備期間で、まだ何も始まっていなかったのが、ようやく、これからユニットとしての活動が始められるところまでたどりついた。
そう、やっとスタートラインについたところだった。
しかしそれは不可能となった。
いい作品が出来ている自信があっただけに、これは本当に残念。
自分の人生の決定権は本人にしかない。
なのでリリーさん自身が選択した人生は100%尊重すべきで、それに関しては俺は何もとやかく言うことはできない。
そこに至るまでも、ペーカンの活動が順調であればあるほど様々なギャップと問題を抱えつつ、かなり無理をしていたと思うので、いずれにしても最終的な選択肢はそこしかなかったようにも思う。
なので、別に喧嘩別れをしたわけでもなく、音楽性の不一致どころか素晴らしい作品が出来ていたし、問題は全く別の所にあったわけで、リリーさん本人に対しては全く恨む気持ちなどなく、今後はリリーさん自身が選択した人生で幸せになって欲しいと心から願っている。
ってなんか離婚会見みたいだな(笑)。
さて・・・一方取り残されてしまった俺たちはそこで途方に暮れたわけですよ。
だってようやくこれから始まるってところだったんだもん。
当然、せっかく上手いこと軌道に乗り始めていたこのラインをそのまま活かして次につなげなければいけないと思ったので、当初はかなり焦った。
メンバー募集をかけて、ちゅ~☆がメールのやり取りをした人は100人以上いるんじゃないかな?
その中で更に音源をやり取りして、実際に会った人だけでも10人以上いる。
中には学生さんや、ビジュアル系の人まで!!!
みんなにペーカンの曲を歌ってもらうわけだが、もちろんそれぞれ上手いのよ。
しかし決め手がない。
まあそれはある意味当然だ。リリーさん以上の歌い手はなかなかいないことも事実なのだが、ペーカンの曲は全てリリーさんが歌うことを前提に作った曲ばかり。なのでリリーさんと比べたらそれはそれ以上のものになるはずがない。
それに気がついた頃にはもう時間も随分経過してしまっていた。
なので腹を据えることにした。
ペーカンは俺にとってのライフワーク。こうなったら、リリーさんのペーカンを再現するのではなく、また一から新たな世界を構築していこうと。
そう考えたのとほぼ同時進行で、一方で女子ユニットの計画を進めていた。
それが現在のスーパーマァケットにつながることになる。
ペーカンの方は一時中断という形になりつつあった。
ここまでが去年の暮れまでのお話し。
しかしそれは忘れた頃にやってきた。
~以下次回に続く~