チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

雑誌文化の終焉

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雑誌500誌以上が読み放題になる楽天マガジンが、年額3,600円のところ半額の1,800円というキャンペーンをやっていたので、月額にして150円で1年間読み放題ならこの機会に試してみるか、と入ってみた。

自分にとって雑誌といえば若い頃はビックリハウスに宝島、週刊プレイボーイミュージックマガジン、鉄道ファンに週刊ギャロップあたりをよく読んでいたが、そういえばこの20年くらいほとんど読まなくなっていたので、久しぶりに雑誌の世界を楽しんでみようと思った。

まず最初に眺めてみたのがいわゆる社会ゴシップ系週刊誌。
しかしこれがヒドイもんだった。
そのほとんどが芸能人や社会的地位のある人の「正義の告発」を気取ったスキャンダルやこき下ろしで読む者のルサンチマンをひたすら掻き立てて煽るだけで、そこにあるのはただただ憎悪と嫉妬だけで読んでいて気持ちが荒んでくる。
きっとかつて昭和のおっさん(自分もそうだが)たちはこういう記事でエラそうな人たちがコテンパに叩かれて引き摺り下ろされるのを見て「ざまぁみろ!」と溜飲を下げていたのだろうが、今の時代の若い人たちにこういう前時代的な手法はもう通じないだろう。

気を取り直して他を眺めてみると、昨今のキャンプブームでキャンプ記事が目についた。
これは主にいわゆる男性ライフスタイル誌なのだが、そのほとんどが「周囲と差をつける男の選び抜かれた羨望のこだわりギア」みたいな昭和のおっさんの優越感をくすぐるような記事ばかりで、自分には全く興味が湧かない。
キャンプに行ってまでいちいち周囲のことなんて気にしないし、自分の好きなように必要最小限の道具で楽しみたい。

昔はこうして雑誌がライフスタイルを提唱して人々がこぞってそれに乗ることで流行を生み、経済を動かす原動力になっていたのだろうが、今の時代は自分のライフスタイルなんて雑誌に決めてもらわなくても自分の好きなように生きる。もう大きなお世話だ。

そうなるとあとはもう読みたいのは趣味系の雑誌だけになってしまう。
しかし自分が読みたかった「鉄道ファン」や「相撲」はここにはない(ライバルのdマガジンにはあるのに!)ので、ここで読みたいものといったら週刊Gallopくらい。

とはいえ自分にとっては月額150円で週刊Gallopが読めるならそれだけで十分に価値はあるので、しばらくはGallop目当てのみで継続しようと思う。

それにしても雑誌が売れない時代というが、こうしてみるとそれも時代の必然なのだということを実感してしまう。
かつては時代をリードした紙の雑誌も、今の時代ではその価値は地に落ちつつある。
こうしたネットの雑誌読み放題サービスにしても、紙の雑誌のレイアウトのままでパソコンやスマホでは非常に読みにくいので、この時代の切り替わり時のみの徒花的形態であり、その後はいずれ別の形に取って代わることになるであろう。

これから古き新聞、雑誌の時代が終わり、どんな新しいメディアの時代が訪れるのか。
昭和のおっさんには中々想像が難しい。