チェリーの音楽幕府

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今更ながらの後追いで聴くユーミンアルバムレビューーその11ー(2003)

1973年の『ひこうき雲』から2016年の『宇宙図書館』まで、実に43年間に及ぶユーミンの全てのオリジナルアルバム38枚を辿ってきたが、その間2003年にユーミンが他者に提供した楽曲のセルフカヴァーアルバムがあった。
全曲新録でおまけにかなりクオリティも高かったので、書き留めておくことにする。

39. Yuming Compositions: FACES('03)松任谷由実

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まず特筆すべきは、ユーミンのアルバムはこれまでほぼ全曲松任谷正隆氏の手によるアレンジだったが、このアルバムではその多くがその手を離れリッキーピーターソン氏に委ねられたことで、他のアルバムでは味わえない新鮮な感覚があった。

セルフカヴァーと言っても、ユーミンが他者に提供した楽曲の極々一部に過ぎず、知らない曲もあったが、それにしたってどれもこれも名曲ばかり。
1曲めの稲垣潤一に提供した『オーシャン・ブルー』のイントロが流れたときから、今までなかった世界にワクワクする。

やさしさに包まれたなら』では、若き日の荒井由実とのデュエットも面白い。

『星のクライマー』は初めて聴いたが、マッキンリーで消息を絶った冒険家の植村直己さんをイメージした歌詞とのことで、グッとくる。
曲は麗美なのに敢えてセルフカヴァー集に収録したということは、ユーミンもかなり気に入っている歌詞なのだろう。

松田聖子の『瞳はダイアモンド』ではユーミンお得意のオートチューンでガッチガチに固めた中低音域のクローズドなハーモニーの壁が気持ちいい。

名曲『ベルベット・イースター』もハイセンスなアレンジに乗って、歳を経てこその歌が身にしみる。

一曲一曲が名曲である上に、それぞれのクオリティも高いので、オリジナルアルバムに引けを取らない何度も聴ける優れたアルバムだと思う。

しかしそれにしてもこのアルバムジャケットは一体どうしたことか…(^_^;)

 

【この1曲】

『Woman”Wの悲劇”より』

オリジナルの薬師丸ひろ子バージョンは、自分にとってかなり思い入れが深く、これ以上のアレンジはありえないくらいに思っていたのだが、こちらのアレンジもオリジナルに勝るとも劣らないほど素晴らしい。

やはり名曲は年月を超えて、永遠に輝きを失わない。

 

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