チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

10月に読んだ本

完本 マイルス・デイビス自叙伝マイルス デイビス、クインシー トループ 他
東京の戦前 昔恋しい散歩地図アイランズ
自由と繁栄の弧麻生 太郎
明治時代の人生相談―一〇〇年前の日本人は何を悩んでいたか山田 邦紀
英雄―具志堅用高佐木 隆三

完本 マイルス・デイビス自叙伝完本 マイルス・デイビス自叙伝
(1991/10)
マイルス デイビス、クインシー トループ 他

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先月からのマイルス本三昧にとどめを刺すのがこの本。ついに本丸にたどり着いた。

マイルス自身が語る自伝なのだが、これがメチャメチャ面白い!!!!!

マイルス自身がもうジャズの歴史そのものなので、語られる内容もジャズの歴史に記されるほとんど全ての人が登場する。パーカー、ガレスピーから始まり、モンク、パウエル、ローチ、ブレイキー、ミンガス・・・そして自身のバンドにいたコルトレーン、ショーター、ハンコック、チック、キース・・・。その全てがそのままジャズの歴史である。

それらの人々との関わりから、伝説的なエピソードの真相、自身の音楽の変遷、その時々に考えていた事、悩んでいた事、薬物との関わり、女性関係、その全てが赤裸々に語られる。どこまでが本人の言葉なのかはわからないが、それにしても大変な記憶力である。

特に60年代の黄金のカルテット。現代に残されたその音を聴いていると、あまりのリズムの複雑さに全くリズムが取れなくなってしまう事がしばしばある。一体何をやっているのかすらもわからないというのに、キメの部分ではさも平然とバッチリ決まる。すげーなーこいつら人間じゃないと脱帽するしかないのだが、マイルスの「トニー・ウィリアムスのやることすべてに油断なく注意を払っていないと、すぐに取り残されて、テンポもタイミングもサウンドも、まるで合わなくなってしまう」という言葉になんだかホッとした。そうだよな、ものすごい緊張感がないとあの演奏は成り立たないんだ。そしてレコーディングの際には、フリーな即興に聴こえる演奏にも綿密にアレンジを施していたという事実も。

常に新しい音に挑み続け、歴史を作り上げた偉大なミュージシャンの全てがここにある。★★★★★

東京の戦前 昔恋しい散歩地図東京の戦前 昔恋しい散歩地図
(2004/01/25)
アイランズ

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戦前の東京地図と現在の地図とを対比させ、その変化と当時をたどる散歩道を紹介した本。俺的には古地図と古写真モノは問答無用で星五つなのであります!!!★★★★★

自由と繁栄の弧自由と繁栄の弧
(2007/06)
麻生 太郎

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麻生太郎氏の外務大臣在職時のスピーチをまとめた本。

その主張は一貫していて、東南アジア~インド~中東に至るユーラシア大陸南端地帯を『自由と繁栄の弧』と名付けて、日本の外交上重要拠点として今後更に力を注いで親密にお付き合いしていこう、というもの。それはもちろん日中関係が前提にあっての事で、中国が批判するような「中国外し」では決してない。

それにしてもこうして読んでみると、麻生氏のスピーチは、自身の過去の体験談や身近な例え話を交えて、とてもわかりやすく話を持っていく。それでいて主張は常に一貫していてブレることがない。

現在の政治家の中にあって、自分の政治観、世界観をしっかりと持ち、それを説得力を持って伝える事の出来る数少ない政治家だ。★★★

明治時代の人生相談―一〇〇年前の日本人は何を悩んでいたか明治時代の人生相談―一〇〇年前の日本人は何を悩んでいたか
(2007/06)
山田 邦紀

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タイトルそのままの内容の本。寄せられる悩みの内容は明治も今も変わらない事もあれば、今の常識とは懸け離れたものもあって中々面白かった。それにしても回答者の答えは一様に現代の常識にもきちんと適ったものが多くて、そっちの方に驚いた。★★★

英雄―具志堅用高伝英雄―具志堅用高伝
(1983/01)
佐木 隆三

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いわゆるNumberスポーツドキュメント的なものかと思ったが、内容は意味不明の小説仕立てだったり、焦点が定まらず、何が言いたいのかわからない部分が多かった。★★