チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

おかえり

ついにあの男が帰って来た!ずっと待ってたよ!!

久しぶりに見た横綱朝青龍の姿は堂々として、元気そうで心から安心した。

記者会見も、これまでの理不尽なバッシングにも関わらず、怒りを見せる事なくよくぞ耐え抜いたよ。

8月17日の記事にも書いたが、思えばこの夏のマスコミによる朝青龍安倍総理に対するバッシングは、あまりにも理不尽で常軌を逸していた。朝青龍が人間不信に陥り、安倍総理が体調を崩してしまうのも当然で、マスコミはその事すらも叩きの材料にした。きっと朝青龍は今までこんなに頑張って来たのに何故自分がこんなに叩かれるのかがわからなかった事だろう。俺だってわかんないもん。

それにしてもいまだに『仮病で巡業をサボってサッカーをして遊んでいた』という悪意と偏見に満ちた誤った前提を信じている人が多いのは困ったもんだ。マスコミのイメージ操作の力は途方もなく大きい。

ここ数場所の朝青龍の相撲を見ていれば、明らかにヒジを痛めていた事は誰でもわかるし、最も強かった頃と比べて身体の切れが落ちていたのと稽古不足の原因は、それに加えて腰も痛めていたんだという事がわかって大いに納得出来た。だから『仮病疑惑』なんてのはそもそも普段相撲を見ていれば一発で解決済みなんだけどねえ??? そんな状態でも一切言い訳せずに名古屋場所で優勝したのだから、この横綱の精神力と相撲に対する意気込みは並大抵の物ではないのだ。

そして『巡業をサボって遊んで』いたわけでもない。サッカーをしたのは場所が終わって巡業が始まるまでのOFFの期間で、この期間は関取であれば通常どの力士も故郷に帰ったりして自由な時間を過ごす時なのだ。なのでよく引き合いに出される、以前に横綱前田山が場所を休場中に野球を観に行って引退に追い込まれたことがある、という話はこの場合当てはまらない。

そしてサッカーも決して『遊んで』いたわけではなく、モンゴル政府やサッカー協会に頼み込まれて、痛みをこらえて子供たちのためにやったことだ。このことは早々とモンゴル大使館から正式な謝罪のコメントが出ているにもかかわらず、何故かマスコミではほとんど問題にされなかった。これが仮に人気絶頂の頃の横綱貴乃花が同じ事をしたら、きっと『横綱が怪我を押して子供たちの為に一肌脱いだ!』と全く逆に美談で語られたような類いの話だと思う。いかにマスコミの主観で恣意的な報道が出来るかのいい例である。これは朝青龍独特のサービス精神と子供好きがあだになってしまったわけで、本当に気の毒というしかない。

『サッカーでは身体がよく動いていた』なんて皮肉を言う人もいるが、怪我をしていても直前の名古屋場所で優勝している超一流のアスリートだぜ? そんなの当然であって、何かここでも話がトンチンカンになっている。それに祖国の英雄である自分が、その子供たちの前で無様な姿を見せられるわけがないではないか!

なので朝青龍が批判されるべき点は、親方に無断で帰国した事くらいで、これについてはしっかりと「自分が悪かった」と非を認めている。まあこれもそもそも親方がそれを放置していたからなんだけどね。

070505sumo-05.jpg

今回『謝罪』会見ということだったが、そもそも一体『誰』に対して『何』を謝罪するのか?

『騒ぎを起こした事』? 騒ぎを起こしたのはマスコミなのだが・・・???

相撲協会に対する謝罪は、7月に騒ぎになって帰国した時に真っ先に理事長に会って済ませている。

『巡業を楽しみにしていたお客さん』に対する謝罪ならわかるが、これだって今まで怪我で巡業を休場した横綱はいくらだっている。何年間にも渡って一人横綱の責任感で相撲界を支えて来た朝青龍が、ようやく待望の白鵬という後輩横綱が誕生したことで、これまで休むに休めなかった満身創痍の身体を治す為にやっと休む事が出来るようになったのを、一体誰が文句を言うというのか? 怪我を抱えたまま無理してハンパな相撲を取るよりも、しっかり治してまたいい相撲を見せてくれ!というのが普通の相撲好きのファンの気持ちだろう。

昨今の謝罪会見流行り。とにかく権勢を誇った人に『謝罪』させて溜飲を下げるのかなんか知らんが、「謝れ!謝れ!!」っていうのはなんかちょっと嫌な風潮だね。ニュースやワイドショーの『街の声』も相変わらずで、相撲を見たこともないような人が『許せない』『引退すべき』などと無責任なことを言っている。わけのわからんコメンテイターと称する人たちしかり、影響力の強いテレビはこういう無責任な発言は無闇と垂れ流すべきではない。無責任な意見のチョイス次第で、いくらでも恣意的な誘導が出来てしまう。とても危険な事だと思う。

ちょうど同じ日にあのボクシングの選手の会見が重なったので、並べて比較される事が多いようだが、冗談じゃない!比較の対象にならないじゃん。朝青龍は悪質な反則行為などしていないし、相手力士を侮辱する暴言など吐いたりしていない。しかも間違いなく全力士の中でN0.1の実力を持った文句の付けようのない横綱である。同列に扱うのが失礼ってもんだ。

自分が一体誰に対して『謝罪』しなければいけないのか、そのそもそもの疑問をぐっとこらえて『ご迷惑をお掛けしたことを謝罪』して頭を下げた朝青龍は立派だった。

堂々としていた朝青龍に比べて高砂親方の必死さはちょっと不自然だった。これに関しては何かありそうだがまだそれはわからない。

そしてもう一つ問題にされるのが『品格』。確かに土俵上の取組だけを見れば、ついエキサイトしてしまう事が多かったのは否定出来ない。とはいえこの程度は格闘技というスポーツの中では充分許容範囲だったと俺は思う。そしてそれが彼の大いなる魅力の一つになっていた。しかしいざ取組を離れれば、彼はとても礼儀正しく、気さくでファンサービスを欠かさない、横綱としての責任感を持った立派な力士だった。そのファンサービスが今回の原因になってしまった事はとても皮肉であり不幸な事だ。

それを問題にするならば、横綱審議委員の中にも著しく品格を欠いた人物がいるような気がするのだが。これまで何かに付けて朝青龍を目の敵にして、ありもしない「手刀の作法」をでっち上げてまで彼を攻撃し、個人的好き嫌いの感情だけで相撲協会を振り回し、天下の横綱を高所から指図するこの委員は、一体何様なのか。よほどこちらの方が問題だと思う。

記者会見のあと、横綱審議委員との会合の席で、朝青龍がこの委員の真正面に座り、背筋をきちんと伸ばして身じろぎもせずに一心にこの委員を睨みつけていたのは痛快だった。

何はともあれ、この不可解な騒動はこれで終わりにしてもらいたい。

あとは実際に初場所の土俵で、結果を出してもらえればいい。確かにこのブランクはとても大きいが、相撲取りというのは年に六場所もあって休むとその分番付が下がってしまうので、怪我を抱えていても中々ゆっくり治す事が出来ない。なのでほとんどの力士が何かしら故障を抱えながら闘っている。それを考えると怪我に関して言えば、これ以上ない休養が取れた事はよかったと思いたい。

朝青龍のいないこの二場所は、頑張っている他の力士には申し訳ないが、やっぱり何か物足りなかった。

初場所で久しぶりにあの相撲が見れるのが今から楽しみで仕方ないよ。

「相撲が大好き」

その言葉が聞けただけでもう充分だ。

そして会見の翌日には真っ先に先代佐渡ケ嶽親方の弔問に訪れたのには涙が出た。

頑張れ!朝青龍!!俺はずっと応援しているよ!!!

honozumo14.jpg