チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

九州場所

考えてみたらすご~く久しぶりの相撲ネタです。

今年納めの九州場所も、先日白鵬の優勝で幕を閉じた。

ここでは書く機会がなかったが、もちろん毎場所しっかり見てました。

さてその九州場所、全勝優勝した白鵬は強かったな~。

前半戦はもう一つ調子が乗らなそうだったが、後半は全く危なげがなかった。

これで年間86勝4敗という驚異的な新記録を達成。

本割で一年間に4回しか負けなかったんだよ!?

優勝決定戦で朝青龍に二回と日馬富士に一回負けているのでもう一つ印象が薄いが,この記録はまずもう破られないんではないか。

特に今場所後半戦は、立ち会いの踏み込みといい、まわしを取りにいくスピードといい、左上手を取れなかった時のおっつけの強さといい、足の構えといい、腰の下ろし方といい、全てが完璧だった。

これでは他の力士はどうする事も出来ない。

相撲という競技は、そもそも自分の力を出す以上に、相手の重心を崩して、いかに力を出させないかがキモのスポーツである。

舞の海のような小さい力士が大きい力士に混じって活躍できるのも、この特性があるからこそなのだ。

白鵬はこうした相撲の理にかなった動きで相手に全く力を出させない。

それに加えて攻撃力も非凡な物を持っているので、相手には付け入る隙がないのだ。

この「基本に則った相撲」は規格外の朝青龍とは対照的でさほど面白みはないのだが、その分安定感は素晴らしい。

貴乃花の境地に近づいたと言える。

こうした安定感のある相撲は怪我をするリスクも少ないので、これから益々その強さは充実度を増していくものと思われる。

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方や朝青龍はもはや身体のあらゆる部分が満身創痍で、自分の身体を騙し騙しやっている状態だが、それでも今場所は久しぶりに体調が良かったようで、危なげなく連勝を続けていった。

しかし場所中に体調を崩し、おまけに右肩を痛めて後半四日間は右を全く使えず無念の四連敗。

とても相撲が取れるような状態には見えなかったにもかかわらず、千秋楽の白鵬戦ではいい相撲を見せてくれたところはさすがは朝青龍

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その他大関陣は琴欧洲以外は目を覆いたくなるばかり。

日馬富士は膝を痛めてしまって、これは力士としては致命傷に近い。

残念ながらもうこれからしばらくは以前のような相撲は望めないだろう。

千代大海はついに大関を陥落してしまうし、魁皇お家芸の千秋楽勝ち越し。

でもこれに付いてはとやかく言いっこナシよ♪

大関互助会なんて昔からの伝統だし、それも全て含めて相撲なのだ。

これにつべこべ言う奴は相撲なんか見ちゃいけない。

お陰でファンはまた一場所長く魁皇の相撲を楽しめるってわけだ。

とはいえ連続で千秋楽の相手を務めなければならなかった琴光喜はちょっと気の毒ではあるが。

しかし、明日の我が身かもしれない。

ここは間違っても琴光喜魁皇に勝ってはいけないのです。

今場所は琴奨菊豊ノ島、栃ノ心、嘉風雅山といった平幕に元気な力士がいて面白かった。

とくによかったのは栃ノ心。

この力士は随分前から注目していたのだが、ようやくその力を発揮し出した。

なにしろ全身ハガネのような身体がすごい。

そこに春日野部屋が総力を挙げて英才教育を施しているのだから、強くならないわけがない。

総じてヨーロッパ勢の相撲はレスリング経験者がほとんどで、相撲っぷりも上体を曲げて手を伸ばすレスリングスタイルが多い。

しかしこの栃ノ心はしっかり相撲の英才教育を施されているので、他のヨーロッパ勢とはひと味もふた味も違う、理にかなった相撲を取るところがいい。

このまま素直に稽古を続けていけば間違いなく強くなる。

さて、それにしても目を覆いたくなるのは余りにも空席の目立つ会場。

前半戦の平日なんて、三分の一も埋まってなかったんじゃないか?

それほどまでに人気の落ちてしまった相撲が悲しい。

その原因は不祥事が続いてクソマスコミに寄ってたかって叩かれた事ももちろん大きいが、やはり最大の要因は魅力的な相撲が減ってきてしまったことだろう。

俺は長年相撲を見て来ているが、その中でも朝青龍の相撲に限っては本当に面白いんだけどね。

朝青龍の魅力が世間一般に伝わらないのは歯痒いが、それ以外の相撲がやはり面白くないと言われても仕方ない。

その理由としてまず外人力士が多い事が挙げられるだろう。

俺の日頃の言動からすると外人力士には否定的と思われるかもしれないが、しかし俺個人はそういう気持ちは全くない。

何故かというと、特にモンゴル力士の相撲が単純に面白いから。

確かに昔のただ体力で圧倒するだけの小錦や曙をはじめとするハワイ勢全盛の頃は面白くなかった。

しかし今のモンゴル力士たちの相撲は、日本人力士たちより断然面白い。

しかし盛り上がらないのは、やはりドラマ性が足りないのが致命的なのかもしれない。

かつての若貴時代は、全ての日本人が子供の頃から知っている若貴兄弟が、人間離れしたパワーを持つ黒船のようなハワイ勢に必死に立ち向かう、という素晴らしく共感できるドラマがあった。

おまけにその若貴が二人とも横綱にまで上り詰めてしまうという、奇跡的なまでのドラマがあった。

そんなドラマが今は、うーん、確かにないんだよね。

モンゴル力士の相撲は面白いけれど、やはり外人という事でそこに共感できるドラマが存在しない。

それに対抗すべき日本人力士が全く育ってこない。

確かにこれではいくら朝青龍が頑張っても中々人気は出ないな~・・・。

とはいえこれはなかなか難しい。

なんといっても現代の日本人力士に決定的に掛けているのはハングリー精神だ。

遠い外国から単身夢を抱いてやってくる外人力士にハングリー精神でかなうはずもない。

ただでさえ今の力士は我慢が足りず激しい稽古に耐えられなくなってしまっているのに、タイミングの悪い事に時津風部屋で不幸な事件が起きてしまい、昔のような理不尽なまでの激しいしごきがもう出来ない風潮になってしまった。

昔の相撲の映像を見ると、やはりみんな足腰の粘りが違う。

そのわけは昔の力士は理不尽なまでの激しい稽古を耐え抜いていたから。

時津風部屋の不幸な事件は現代だからこそ問題になったが、実は昔も闇に葬り去られたこんな事は沢山あったんだろうと思われる。

そんな理不尽なまでの激しい稽古を耐え抜いて来たからこそ、攻防も激しく、足腰に粘りがある。

そんな昔の相撲を見てしまうとやはり今の相撲は昔よりレベルが落ちてしまっている事を残念ながら認めざるを得ない。

朝青龍白鵬はこの限りではないが。

よく考えてみると、朝青龍白鵬と、年間80勝以上してしまうケタ違いに強い力士が立て続けに現れるということは、裏を返せばその他の力士が弱過ぎるという事なのだ。

強い力士が一生懸命努力したその限界値は、昔も今もそう変わるものではないと思う。

しかし弱い方はいくらでも弱くなることができる。

全体のレベルが下がったので、朝青龍白鵬といった昔の強豪力士と同じくらいの努力をしている力士が相対的にケタ違いに強くなっているように見えるという事なのだろう。

俺の愛する大相撲。

これからどうなってしまうのだろう?

近い将来、朝青龍が引退してしまったら俺は果たして今までと変わらず相撲を見続けるのだろうか?

あまり、自信は、ない。

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辞めないでね