チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

11月に読んだ本

最悪奥田 英朗
日本よ、「歴史力」を磨け―「現代史」の呪縛を解く櫻井 よしこ
家日和奥田 英朗
リベラルが日本を潰す 保守新生櫻井 よしこ、平沼 赳夫 他


最悪 (講談社文庫)最悪 (講談社文庫)
(2002/09/13)
奥田 英朗

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ちょっと苦手な彼の「シリアスもの」だが、それぞれ四人の登場人物がちょっとしたきっかけで転落していく運命の様と、その四人がどうやってある一点で出会うのかという興味と、後半坂を転げ落ちるように一気に加速する展開はやはりそれなりに面白かった。

★★★★


家日和 (集英社文庫)家日和 (集英社文庫)
(2010/05/20)
奥田 英朗

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大好きな作家なのだが、正直当たり外れがあるのも事実。これは残念ながら後者。

よくある家庭を舞台にした短編集。

小説に「あるある~」「わかるわ~」という共感を求める人には面白いのかもしれないが、その感覚がない自分には正直面白さがわからなかった。

★★


日本よ、「歴史力」を磨け―「現代史」の呪縛を解く日本よ、「歴史力」を磨け―「現代史」の呪縛を解く
(2007/09)
櫻井 よしこ

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何にせよ、終戦GHQが日本人に仕込んだ壮大な骨抜きと洗脳計画がアメリカの想定以上に効き過ぎてしまったままもう66年も過ぎてしまった事は動かしようもない事実。

その戦後を生きて来てしまった古い世代に対して今さらこれを払拭するのはもう不可能だろう。

だからといってこうした歴史を正しく見直そうという試みは決して無駄な努力ではなく、若い世代がこれを知る事は大いに意味がある事と思う。

それはともかく昭和以降の日本に決定的に欠けていた事は諜報能力だった事は間違いない。

いみじくも日本国憲法の全文の『平和を愛する諸国民の公正と信義』をそのまま信頼し過ぎてしまったお人好しにも程がある。

まあそれも日本国民の美徳である事は確かなのだがそれをいいように利用されてしまった。

★★★★


リベラルが日本を潰す 保守新生リベラルが日本を潰す 保守新生
(2010/02/13)
櫻井 よしこ、平沼 赳夫 他

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平沼赳夫氏が『たちあがれ日本』を興すにあたっての本。

日本の政治家でも数少ない良心を持った平沼氏の、民主党政権を許してしまった無念さがひしひしと伝わってくる。

言っている事は悉く同意なのだが唯一「今後為すべき政策」の章で原発の安全性を強調し輸出を唱えているのが今となっては皮肉にも空しい内容となってしまった。

それから気になったのが対談本という事で仕方のないことかもしれないが内容の重複。

そして「歴史力」の方では突然何の脈略もなく『左翼の同性愛ファクター』なんていうトンデモ説が出てくる。

何故こんな意見を採用したのか理解に苦しむ。

なにもわざわざ叩かれるネタを仕込む事もなかろうに残念な所。

櫻井氏の著作は内容はいいのにこうした詰めの甘さが時折見受けられるのが非常にもったいない。

★★★