チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

十六夜

昨日は一日台風ばりの暴風雨。

よりによってそんな日にずっと外に出ていたのだが、家から持って出たビニール傘は瞬時に破壊され、途中で調達した傘もほとんど役には立ってくれなかった。

街にはあちこちに原形をとどめない傘の骨組みの残骸が散らばり、まるで近未来小説の廃墟都市のようだった。

そんな一日が一夜明ければ、大気中の塵や埃や嫉妬や憎しみやしがらみが全て洗い流されたどこまでも高く澄み切った秋の空。

ずいぶんと短くなった日が落ちればそこに満を持して登場したのが十六夜の月。

とはいえ天文学上の月齢では今日が正真正銘の満月。

そのあまりにも美しく、存在感のある姿は古来から多くの人に詠まれて来ただけのことはある。

それを「十六夜(いざよい)」とはまた何と言う美しい響きだろうか。

古き日本人の言語感覚のセンスには脱帽するしかない。

今宵は夜空を見上げてしばし思いを馳せる事にしよう。

     日の丸のように美しい上がったばかりの本日十六夜の月