吉村昭『脱出』
終戦時日本各地で人知れず繰り広げられた歴史には残らない壮絶な物語を、少年の目を通して淡々と語る短篇集。
どんなに悲惨なエピソードも筆者独特の淡々とした筆致で描かれるので、どれも深い読後感が残る。
吉村昭『戦艦武蔵』
当時の技術の粋を尽くした巨大不沈艦武蔵。
しかしこれが完成した時にはもう既に時代は巨大戦艦から航空機へと移っていた悲劇。
その果てにはその巨体を持て余すかの如く壮絶な最期を遂げる。
後の世の視点からの価値観でこの壮大な悲劇を批判するのは余りにも安易である。