百田尚樹『カエルの楽園』
言うまでもなく昨今の我が国の憲法9条や安保法案関連にまつわる騒動を風刺した滑稽で恐ろしい寓話。
あまりの面白さに読み終わったあともう一度最初から読みなおしてしまった。
ここの登場人物を現実世界の人物や団体に当てはめてイメージするのが実に面白い。
果たしてこれが「予言の書」となるか、「単なる寓話」で終わるか。
現実世界はもうこの物語の半分以上まで進行している。
日本国民への大きな問題提起である。
西加奈子『円卓』
小学3年生にして物事に達観したかのような少女が個性的で愛すべき登場人物たちに囲まれ成長を遂げていく。
文章のテンポが素晴らしく味わい深いやりとりに声に出して朗読してみたくなる。
面白かった。他の作品も読んでみたい。
前半のツキコとセンセイのなんともいえない距離感を保った淡々と静かに流れる時間がとても心地よい。
色んな意味でこれが女性の視点なんだろうな〜とも思う。
出口治明『「全世界史」講義II 近世・近現代編』
固有名詞が全くチンプンカンプンだった前編からすると、後編ではようやくフランス革命や産業革命あたりから耳に覚えのある名前が出てきて安心する。
それにしてもこうして世界の歴史を通して俯瞰してみると、人類の歴史というものは争いの歴史だということがよくわかる。
とにかくこいつら暇さえあれば戦争ばかりしておる。
そう考えると、「歴史の経験の叡智」として争いを多少は防ぐことはできても、それを全く無くすことは不可能だと痛感させられる。
争いを防ぐ最大限の努力と知恵が大事なのはもちろんだがは、いざ争いが起こってしまった時の備えも同等に大事であると思わざるをえない。
「全世界史」講義 II近世・近現代編:教養に効く! 人類5000年史
- 作者: 出口治明
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2016/01/18
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