言わずと知れたYMOの3rdアルバムにして唯一のライブ盤。
夢中になってYMOを聴いていた当時は、このライブ盤はスタジを録音盤と比べてやや音がチープだな〜などと思っていたが(まあ実際そうなんだけど💦)、年を経るにつれてこのアルバムの愛おしさは増すばかり。
とにかくライブアレンジと手練の優れたミュージシャンたちによる卓越した演奏が素晴らしい。
渡辺香津美のギターが権利の関係上カットされてしまったが、その分差し替えられた坂本龍一によるピッチベンドをほとんど使わない炎のド直球ストレートなキーボードソロ(PolyMoogかな?)の音色とプレイがメチャメチャカッコよくて気持ちいい。
その後『FAKER HOLIC』などで聴くことが出来た渡辺香津美の入ったバージョンはかなりフュージョン寄りで、当時のYMOの「テクノ」というイメージを定着させる上ではこのソロ差し替えが逆にケガの功名になったとも言えるかも知れない。
そして個人的にはこのアルバムは自分にとっての最高の音楽の先生でもあった。
ライブ盤ということで、音がいくつも重なった複雑なスタジオ盤よりもそれぞれのプレイを分離よく聴き取ることが出来たので、家にあった姉貴のピアノや中学校のオルガンで見よう見まねで弾いてみることから自分の音楽が始まった。
たとえば『The End of Asia』の矢野顕子のザ・ペンタトニックなソロは口ずさめるくらいに覚えたし、オーギュメントなどの複雑なコードも、名称なんかを覚えるのはずっと後だけど、その響きを砂地に水が染み込むように自然に吸収して覚えていた。あの年齢の吸収力は凄い。
その後も誰にも教わることなく自己流でピアノが何となく弾けるようになってしまったのも、耳コピすることを覚えたのも、全てはこのアルバムが教科書だったと言っても過言ではない。
今でもたまに取り出して聴いてみたくなる自分にとって大切なアルバム。